卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
【ヒュマデサタン】の【カード】を入手できないまま、次の日を迎えた。
「おはようございまーす!卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねるにようこそー!今日もいつも通り【ヒュマデサタン】の狩りを行おうと思います……おや、メールボックスにいくつかお手紙が来ていますね」
お手紙は昨日の配信で募集した【ネームド】の【カード】に関するお問い合わせだった。条件次第では【カード】を提供してもいいという文面で、その多くには向こうからの提案が記されている。単純なお金による取引を提案しているものはなく、その多くはボクにやってほしいことがあるという内容だった。
「どうやら【ネームド】をお譲りいただけるようですね!肝心の【カード】の効果については書いてないようですけど……」
カードゲームでは勝利を目指す上でデッキに投入する必要のないカードというものが存在し得る。【ネームド】はたしかに貴重だが、だからといって強い【カード】とは限らない。むしろ弱い【カード】であることが否定できないからこそ、その効果を提示していないのだろう。
という推測はできるが、だからといって貴重な【ネームド】を入手しないという選択は考えられない。そもそも【フォールダウン】のプレイヤーはそう多くはない。所持者が弱そうだと思っても、意外な使い道があるかもしれない。
「よし!今日は【ヒュマデサタン】狩りを中止して、視聴者さんの交換条件を達成していきましょうか!」
「でしたら私はおねえさまの為に【ヒュマデサタン】狩りを継続いたします♥」
「いや、継続していただくのは勝手ですが、それで【カード】が出てもただでは受け取りませんからね?」
ボクの運が悪いせいで【カード】がドロップしないのだとしたら、明日香さんだけで狩りをすればあっさり落ちそうだな……なんて思うけど。
「よし、それではおたよりを確認していきましょう!まず最初の内容は……『卍さん、実は私には好きな人がいます。けれど私は嫌われているみたいで「べ、別にあんたの為じゃないんだからね!勘違いしないでよね!」と何度も念を押してきて……』はい、次の方どうぞー」
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>いつもの
>恋愛相談される事に定評のある卍さん
>これもう半分わざとだろ
>全部わざとだぞ
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どうやら恋愛相談という名の自慢話を聞いてほしかっただけらしく、すぐに報酬の【カード】が送られてきた。
【疾風のファイアエレメンタル】
COST:2 HP:1 AT:1
効果:[ファストムーブ]を[持つ]。[エレメンタル]を[持つ]。[自身]が[場]に[存在]する[限り]、[味方][エレメンタル][モンスター]の[AT]を[1][ポイント][増加]させる。
「おー、これが噂の【ファストムーブ】付きの【カード】ですね。基礎ステータスは低く見えますが、効果で自身のATも上がるなら悪くないですね。【エレメンタル】を軸にしたデッキなら使い道もあるでしょう」
とはいえ、これ一枚でライフを削り切るには火力が足りなすぎる。コスト1の【エレメンタル】を大量に並べて数で押し切る?要検討かな。
「コスト1で【ファストムーブ】+【エレメンタル】なんて【カード】が大量にあればチャンスがありそうですけど……そんな強い【カード】はそれこそ【ネームド】くらいでしょうね。さて、次のお願いを見ていきましょう」
どうやら次のお願いは【祠】の調査依頼らしい。久々ですね。【
「【祠】の場所は【ロジング砂漠】の隅ですか。座標も書いてあるようなので、早速行ってみましょう。«テレポート»!」
【マクロ】による«テレポート»の力は【フォッダー】の全てを射程に収めている。座標さえわかればひとっ飛びだ。こうして【ロジング砂漠】に転移したところ、目の前には人が一人入れるくらいの小さな【祠】があった。
【祠】の扉は硬く閉ざされており、ボクが見るに、恐らくは『不壊』だ。この中には【加護】を授けてくれるNPCがいるのだろう。
「すいませーん、【加護】をくれませんか?」
「この扉を開けた者にのみ【加護】は授けられる……」
中から声がした。どうやら密閉空間というわけではないようだ。
「【加護】取得の条件は扉を開けることですか?中に入ることですか?」
「扉を開けること、である……」
「なるほど」
『不壊』であることを考えると、普通に扉を破壊して開けることはできない。それなら扉を開ける条件があるのかと確認すると、扉にはこう刻まれていた。
『物質干渉力判定に勝利せよ。さすれば扉は開かれん』
「なるほどね。ここは判定に勝利する【
恐らく普通にプレイしていたら到底達成できないような目標値を要求されているのだと思うが、こうして条件を示されたからには、まずは試してみないとならない。
「よし、ここは物質干渉力のプロをお呼びしましょうか!」