卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第448話 三矢の訓

「これでも開かにいのか」

 

 Burontさんの【リジェクション】による多大な物質干渉力をもってしても、扉は条件を満たさなかった。

 

「えー!やっぱり開かないように作られてるんだよー!」

 

 めりぃさんがそう声を上げるが、そんなはずはない。あのユーキさんがそんな完璧な仕様に仕上げてくるはずがない。

 

 いや――ユーキさんは基本的に一般ユーザーでも【加護】を手に入れられるようにする設計方針のはずだ。そのせいで彼女のポンコツが発揮され、逆に絶対に手に入らない仕様になっていても不自然ではない。

 

「さて、どうしましょうか」

 

 ボクは思考を巡らせる。どんなバグやテクニックを使えば開ける? そう考えたところへ、コメント欄から衝撃的な案が飛び込んできた。

 

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>みんなで押せばいいんじゃね?

 

>天才かな?

 

>三矢の訓という名セリフを知らないのかよ

 

>サイダーかな

----

 

「そうか!力を合わせればいいんですね!めりぃさん!Burontさん!」

 

「りょーかいー!」

 

「何いきなり話かけて来てるわけ?」

 

 めりぃさんは元気よく返事をし、Burontさんは心底鬱陶しそうな声で答える。それでも協力の意思はあるらしく、3人で扉の前に並び、扉に手を触れながら息を合わせた。

 

力を合わせて……一気に押す! ボクとめりぃさんが同時に押し込み、Burontさんが遅れて力を込める。

 

 金属が軋む鈍い音が洞窟に反響した。

 

 すると扉はゆっくりと開いていき、その先の部屋が見えた。中には老人が座っていた。老人はボクたちを見つめると、口を開いた。

 

「この扉は【権能】を持つ者でなければ開けられぬ扉――それを開けられたということは、おぬしらは【権能】の持ち主なのだろう。【加護】を授けようぞ」

 

 そしてボクたちのスキルに【加護】が追加された。

 

【勝神の加護】

[パッシブ][ブレッシング]

効果:[判定]に[勝利]した[時]に[出力]を[増加]させる。

 

 なるほど、判定に勝利した時にメリットを得られるスキルですか。たとえば自分の炎弾と相手の水弾がぶつかり合って相殺判定が行われたとする。その結果、炎弾が勝利した場合、炎は激しさを増して威力が上がるということだ。

 

 ボクのスキルはその火力からして、この手の判定には滅法強い。役に立つことだろう。

 

 そして視聴者さんからの依頼を達成したことで、【カード】も送られてきた。

 

【連撃のディバインウルフ】

COST:2 HP:2 AT:3

効果:[ダブルアタック]を[持つ]。[自身]の[攻撃]が[成功]した[時]、[自身]の[AT]を[1][ポイント][増加]させる。

 

「えっ、強い」

 

 思わずそう呟くほどの強さだった。たぶん【ダブルアタック】が【ネームド】としての効果なんだろうけれど、元々の効果に噛み合いすぎている。

 

 これに【クラスチェンジ】で補強してやれば、相手は悠長に【ヒュマデサタン】の召喚なんて待っていられないだろう。

 

「なんだおまえ【カード】が欲しいのか?」

 

「あっ、はい。集めてます。強そうなやつを」

 

 そう答えると、Burontさんは【ストレージ】から【カード】を取り出して突き出してきた。

 

「9枚で良い」

 

「いや、そのセリフって受け取る立場の人が言うセリフなんじゃ……。ありがとうございます!すごいなーあこがれちゃうなー」

 

 いつもなら無償での施しは受け取らないが、Burontさんは施しをするというロールプレイをしたいのだろう。そう判断し、遠慮せず受け取ることにした。9枚もあるとなると、すべてが使える【カード】というわけではないと思うが……。

 

 そう思いながら【カード】を確認すると、衝撃が走った。え、こんな【カード】があるんですか?

 

【Buront】

COST:4 HP:4 AT:4

効果:[タウント][カウンター]を[持つ]。[自身]の[カウンター]の[出力]を[2][倍]にする。

 

 明らかに通常のモンスターではない。プレイヤーをコンセプトにした【カード】だ。しかもかなり強い。

 

「Burontさん、この【カード】、どうやって――」

 

「おまえは一級廃人のおれの足元にも及ばない貧弱一般人か?」

 

 Burontさんはそう言い放つ。

 

「――いいえ、ボクも二級廃人くらいは自称したいのでね、自分で調べますよ」

 

「ほう、経験が生きたな」

 

 短いやりとりながらもBurontさんとの仲を深めていると、

 

「もー、意味がわからないんだけどー!?」

 

 と、蚊帳の外にされためりぃさんが騒ぎ出す。めりぃさんはほっぺを膨らませ、納得いかない様子でボクの腕を組んだ。

 

「時既に時間切れ、俺は行くぞ。LSメンバーが待ってるからな」

 

「はい、ありがとうございました! めりぃさんや置いてけぼりの視聴者さんには後で解説しますね」

 

 そしてBurontさんは«デジョン»を使ってその場から去っていった。

 

 

「つまり、Burontさんは古代のMMOにいた有名なプレイヤーをロールプレイしている人なんですよ」

 

「へーそうなんだー。でも話を聞くと問題を起こしてる人って感じであんまり尊敬される人って感じじゃないようなー」

 

「まあ、歴史上の人物は時に神格化されるものですからね。特にBurontさんについては、いろんなゲームで一級廃人として活躍するロールプレイヤーも多く、その姿に憧れる方も少なくないようです」

 

「へーそうなんだー」

 

 あんまり興味なさそうですね、めりぃさん。

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