卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第450話 爆音テロ

「出ませんね……」

 

「出ないねー……」

 

 結局どれだけ狩りを続けても【カード】がドロップすることはなかった。【訓練場】では検証のために再使用時間(リキャストタイム)効果時間(エフェクトタイム)を好きなように変えられるので、大量に分身を召喚して乱獲しているのだが、それでもだめだった。

 

「【ヒュマデサタン】とは違って相当な数を乱獲していますから、これで出ないのならもうドロップしないと考えたほうが良さそうですね」

 

 となれば別の可能性を探る必要がある。他にキャラクターの性質を変えられるようなスキルや装備はあるだろうか……?

 

 深い思考の海に沈み、自分自身を〈ロールプレイング〉で再現しながら、これまでの記憶を振り返っていく。

 

 思考を加速させる〈魔導〉〚マインドフルネス〛を使い、体感で1時間ほど思考を巡らせて――可能性を見出した。

 

「『それはHPが0になった時にアンデッドとして転生させる』――【サモン・ゴブリン】!」

 

「ゴブー!」

 

 気づいたのはゴブ蔵が持つ装備の効果だ。【暗闇を流離う滅びのイヤリング】にはHPの全損時にアンデッドを生成する能力がある。

 

暗闇を流離う滅びのイヤリング

・それは闇属性に35%の補正を加える

・それは自身の死亡時に闇属性の追加ダメージを与える

・それはHPが0になった時にアンデッドとして転生させる

 

「まずはゴブ蔵の【カード】が取れるかを検証すべきですね。それではゴブ蔵。申し訳ないんですけど……死んでください!」

 

「ゴブー!?」

 

 ゴブ蔵はボクのお願いに驚いたようだが、【対価契約】を発動させて最大HPを1%に変えた。殺ってくれということらしい。

 

【対価契約】

[アクティブ]詠唱時間:5s 再詠唱時間:24h

[数字:x]を指定する。

[パッシブ]

効果:[最大HP]を[数字:x]% 低下させ、[魔法][攻撃][命中時]に以下の[効果]を[発動]する。

[キャラクター][攻撃][魔法]

効果:[命中]した[魔法]の[数字:x]%の[出力]で[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。

 

「これからゴブ蔵をたくさん倒す必要があるんだよねー? じゃああれをやってみるー? アンデッドをたくさん作るやつ」

 

「そんなのもありましたね。【ライフコラプス】で最大HPを0にして、【フィーニクス】で無限に全損と蘇生を繰り返す奴。さすがに忘れている方も多いと思うので解説を貼っておきましょう」

 

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テクニックその105 『ゾンビ現象』

なんらかの形でプレイヤーの最大HPが0になってしまった場合、蘇生したら最大HPが0なのに死亡しないという仕様です。

これはダメージを受けた時に初めて死亡判定が行われるというゲーム内の処理によるものなのだとか。

もちろんこの状態でダメージを受ければタンスの角に足をぶつけた程度のダメージでも死にます。

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テクニックその107 『輪廻蘇生』『死者の軍勢』

最大HPが0になったモンスターを【フィーニクス】の継続回復(リジェネ)で回復し続け、復活と死亡を延々と連鎖させることでアンデッドの無限生成を狙うテクニックです。今回はゴブ蔵が死亡をトリガーとしてアンデッドを作ることができることからこういった使い方になりましたが、死亡をトリガーとする装備であれば他にも応用は可能です。あまりにも酷すぎる絵面を無視すれば圧倒的なリソースを瞬間的に獲得できますね!

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 ボクが管理しているテクニック一覧ページから該当する解説を抜き出すと、視聴者さんから『これか』『そういえばあったな』とコメントが流れてくる。何度も活用しているテクニックと違って、こういうのは記憶に残りづらいですからね。復習は大事ですよ。

 

 最大HPを削り取るスキル【ライフコラプス】が必要だが、【訓練場】はテスト用の施設なのでスキルの組み換えも自由自在だ。さっそく取得してゴブ蔵のHPを削っていく。もともと【対価契約】の効果で1%になっていたので、すぐに最大HPが0になった。

 

「〈始まりの炎より生誕せし、根源たる一柱、灼熱の翼に風を受け、輪廻を廻る一羽の鳥よ、世界の狭間より森羅万象を睥睨せし神、果てなき夢幻の彼方を駆け抜け、無限の果てへと辿り着かん事を〉【サモン・フィーニクス】!」

 

 長々しい詠唱を唱えて【フィーニクス】を召喚すると、継続回復(リジェネ)によって回復判定が生じるたび、ゴブ蔵が死亡してアンデッドのゴブ蔵が生成される。本物のゴブ蔵は【フィーニクス】の能力であるリスポーン地点の変更により即座に復活し、またすぐに全損する。

 

 これを繰り返すことで、瞬く間に部屋中がアンデッドのゴブ蔵で埋め尽くされた。なんならゴブ蔵の上にゴブ蔵が生成されるものだから、天井のあたりまでひしめき合っていて窮屈さを覚える。

 

「わー! すごいいっぱいだー!」

 

 めりぃさんは召喚モンスターが大好きなこともあり楽しそうだが、本題はゴブ蔵に埋もれておしくらまんじゅうをすることではない。

 

 ボクは【ストレージ】から杖を取り出し、スキルを発動させる。

 

「【チェインボム】!」

 

 その瞬間、視界は爆ぜる光に焼き潰された。

 

 想像を絶する破壊力によってゴブ蔵たちとめりぃさんのHPは一瞬にして全損し、炎属性に対するELMを持つボクだけが生き残る。連鎖するたびに破壊力を増していく恐るべきスキルで、条件さえ揃えばこの火力を超えるダメージを叩き出せるものは他に存在しないだろう。

 

【チェインボム】

[アクティブ][投射][炎属性][攻撃][魔法]

消費MP:8 詠唱時間:0s 再詠唱時間:30m

効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。[命中時][周囲]の[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。[連鎖]に[比例]して[出力]を[増加]させる。

 

 めりぃさんはすぐにリスポーンしてきたが、ゴブ蔵は【フィーニクス】の効果が切れていたことで戻ってこれなかったようだ。【サモン・ゴブリン】で呼び出す。

 

「すごい爆発だったねー!」

 

「ゴブー!」

 

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> なんか急に音量0になったけど故障か?

 

> 爆音テロやめろ

> なんか急に視界が暗くなったんだけど夜か?

 

> 五感失調民は病院に行け

 

> で、結果はどうなんだよ?早く教えて

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 コメント欄で急かされて思い出した。そうだった、最大ダメージを叩き出す企画じゃありませんでしたね。問題は【カード】です。ボクは慌てて【ストレージ】を確認して――。

 

「あった……。ありますよ!【ゴブゾウスケルトン】に【ゴブゾンビ】が! 売るほどあります!」

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