卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第453話 荒罹崇(こうらすう)

 ボクと非常に似た赤髪の少女『✛荒罹崇✛』――通称✛さんはボクに問いかける。

 

「さて、ご主人様。何か聞きたいことがあるのかと存じますが」

 

 ✛さんは首をかしげ、翡翠色の瞳をこちらに向けた。

 

「あぁ、そうでしたね。とはいえこの場所にいるのでしたら聞くまでもないことでした。大会に参加するのかと聞こうと思っていたのですが――」

 

「いえ、ボクは参加しませんよ」

 

「ですよね、当然参加しますよね……え!?」

 

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>ただの観戦で草

 

>プレイする側としてならまだしもわざわざ観戦する価値あるか??

 

>めりぃさんも観戦だけどな

 

>この配信見てる奴も観戦してるけどな

 

>べ、べつにこんなクソゲーに興味なんて無いんだからね、卍さんの配信だから見てるだけなんだからね!

 

>これは新機軸のツンデレ

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「ボクも付き添いなんですよ。ご主人様が大会に出場するのでね」

 

「誰も彼もみんなご主人様呼びだからわかりづらいんですけど……とにかくお知り合いが出場するんですね」

 

 ✛さんのお知り合いかー。ちょっと興味ありますね。そう思っていたら、彼女の後ろからとことこと誰かが近づいてきた。

 

「やぁ、こんにちは。本人サマがお相手とは光栄だね」

 

「また『ボク』ですか、✛さんのご主人様ですか?」

 

 ちょっと喋り方が違うようだが、やっぱり『ボク』だった。ボクの特徴である赤髪をばっさりとカットしていて、どことなくボーイッシュな雰囲気を漂わせている。服装は未鑑定の軽装装備で統一されている。ずいぶんと性質の違う『ボク』ですね。

 

「こっちの卍さんもくーるでかっこかわいいー!」

 

「ボクに装飾記号は無いよ、荒罹崇(こうらすう)と呼んでくれ」

 

「言葉にすれば伝わりますけど、ややこしいですね。ルビが必須になりそうです。ちなみにボクの名前は荒罹崇(ありす)ですよ」

 

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>卍さんは卍さんなんだよなぁ

 

>こうらすうさんかっこいいね

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「なんで荒罹崇(こうらすう)さんは名前で呼ぶのにボクは卍さんなんですか!?……それはともかく、荒罹崇(こうらすう)さんは【フォールダウン】の大会に出場するってことで良いんですよね?」

 

「あぁ、その通りだ。ボク達の連携を楽しみにしていてくれ」

 

「頑張りますよ、ご主人様!」

 

「連携って……」

 

 【フォールダウン】は個人競技だ。特に連携するような要素はないと思うのだけど……。あるいは✛さんをモチーフにした【カード】を採用しているということなのかな?

 

「あたしも卍さんに協力するからねー!」

 

「あちらのおねえさまも素敵ですわ……♥浮気してしまいそう……」

 

「こらこら、浮気はダメですからね!明日香さんはボクのものです!」

 

----

>ここにキマシタワーを建てよう

 

>【速報】明日香さん、卍さんのものだった

 

>は?卍さんは俺のものなんだが????

 

>おまえらっていつも辛辣な割にこういう時は独占欲発揮するよな

 

>ツンデレだからね仕方ないね

----

 

 ボクの発言を巡ってコメント欄が盛り上がってきてしまっているが、本題ではないので話を軌道修正していく。

 

「一応、聞いてみますが、連携というのは……」

 

「それはもちろん秘密さ。まあ驚くと思うよ。本人サマが気に入るかはわからないけどね」

 

 そんな会話をしていると、大会の開始時刻がやってきた。システムによって対戦カードが自動的に決定していく。

 

 ボクの一回戦はこの後すぐらしい。それとほぼ同時に別エリアで荒罹崇(こうらすう)さんも戦うようなので、その戦いを見学することはできなさそうだ。

 

 一回戦のお相手は、ロック☆シュターさんか。ランクマッチを回しているガチ勢のようだが、相手として不足なし。全力でいこう。

 

「一回戦はご主人様へのサポートは必要なさそうですね。応援してますよ!」

 

 ✛さんはハートの感情表現(エモート)を撒き散らしながら、両手の指でハートを作って荒罹崇(こうらすう)さんにおまじないをかけている。それを真似してめりぃさんもボクにおまじないをかけてくれた。

 

「卍さん、頑張ってー!」

 

「私は大会に出場しますから、あえて応援はいたしませんわ。試合で戦えることを願っています♥」

 

「明日香さんと戦うには当然ながら一回戦の突破は必須ですからね、それは応援されてるのと同じことですよ!それじゃあ――行ってきます!」

 

 時間になり、ボクは試合会場へと転移する。

 

 さすがは大会の舞台。足元には硬質ガラスのように透き通る床が敷かれ、四方のホログラム壁が淡く脈動している。【シングル】マッチでよく使われる正方形の試合エリアで相手と対峙する。

 

「一回戦から卍さんか……運がないわね」

 

 彼女は肩をすくめつつも、口元には自信の笑みを浮かべている。

 

「もしかして、嫌われてます?」

 

「強豪プレイヤーと初戦から当たりたくないのは当然のことでしょ?」

 

「いえいえ、普通のバトルならまだしも【フォールダウン】は素人ですよ。お手柔らかにお願いしますね」

 

「本当の素人相手ならともかく――特定ジャンルのゲームに慣れたプレイヤーは他のゲームであっても侮れないものよ」

 

「まあ、その通りですね。それではその期待に応えて、実力を示してあげましょうかっ!」

 

『【フォールダウン】――』

 

【START!!】

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