卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
絶大な描写により底上げされた【エレウテリア】の破壊力は一撃で
【闘技場】の観客席を突き抜けて大きく弾き飛ばされながらも、彼女のアバターは残存し続ける。
「《
『矛盾』を体現することによりゲームシステムにすら反旗を翻す恐るべき力だ。個人の感性に依存する〈
「〈ロールプレイング〉で思考を模倣すれば〈
いつの間にやら発動のハードルが大幅に引き下げられた〈ロールプレイング〉に引きずられて、有用な〈魂の言葉〉は『引用』されやすい傾向にあるようだ。
「とはいえ、単なる悪あがきですがね」
《
実際にはあらゆるプレイヤーが《
しかしそんなことは
彼女のアバターが瞬間的に明滅し、切り替わるその瞬間を狙い、【ゲールウィンド】による突風を叩きつける。
「おっと、【ガードジャスト】!」
スキルの効果により突風は完全に無効化され、アバターの変更が完了する。そこにいたのは人間の体躯を大きく上回る巨大な土竜――【砂もぐら】だった。
しかしただの【砂もぐら】ではない。ボクの知っているモンスターとは違い、全身が金属質な装甲に覆われている。さらに燃え盛る炎に包まれ、いかにも炎属性だと言わんばかりの様相だ。
「なるほど、【ネームド】に【転生】したわけですか。アバターを切り替えることで全損の事実を打ち消しつつ、強力なアバターを振り回す。見事な戦術ですよ」
【カード】として【ネームド】が存在する以上、【転生】することができるのは当たり前だ。そして【砂もぐら】は【ネームド】を厳選しやすいと定評のあるモンスターであり、まず間違いなく強力な補正をいくつも重ねていると確信した。
特徴的な炎属性の【ネームド】は――ボクに対するピンポイントメタだ。単に【フォールダウン】を荒らしに来たというわけではなく、ボクとの対戦そのものが彼女の目的であったことがうかがえる。
「これが【爆炎の暴風の堅牢なる神域の邪悪なる神話に名を遺す滅びの歴戦の永劫なる世界に愛されし破魔の砂もぐら】さ。各種【ネームド】の性質については――」
「いえ、解説は不要ですよ――読ませていただきましたから」
【爆炎】……最低でも炎属性を無効化できるELMの獲得とランダムな炎属性魔法の獲得
【暴風】……最低でも風属性を無効化できるELMの獲得とランダムな風属性魔法の獲得
【堅牢なる】……物理防御力×1.5
【神域】……【ビショップ】の『
【邪悪なる】……最低でも闇属性を無効化できるELMの獲得と物理攻撃に闇属性の付与
【神話に名を遺す】……ランダムな【加護】系
【滅び】……攻撃時に対象の最大HPを減少
【歴戦】……【モーションアシスト】の精度を大幅に増加
【永劫なる】……MPの自然回復速度を大幅に増加
【世界に愛されし】……確率の絡む判定に必ず勝利
【破魔】……自身が受ける魔法系スキルの出力を大幅に軽減
結論としては最悪レベルの強力な【ネームド】の詰め合わせだ。物理にも魔法にも高度な耐性を持ち、全ての攻撃が回復を許さず不可逆的なダメージとなる。絡め手は【世界に愛されし】の効果で封殺され、無制限と言っても差し支えないMPリソースまで振り回してくる。
読まれても関係ない――そんな自信のほどが伝わってくるかのようだ。
「ご丁重に炎属性も風属性も封殺してくるなんてね、よほどボクのことが怖いようで」
「怖いさ。所詮はコピー、オリジナル様に勝てるはずもない――そんな不安を埋めきるための『無敵の鎧』が必要だった」
だから、周到な不意打ちでボクを倒し、自分の劣等感を越えたかった。
そんな彼女の気持ちには共感できる。加えて言えば、ボクにとってこの戦いは絶対に負けられない戦いというわけでもない。
幾重にも重ねられたメタ戦術の防壁の前に屈し、敗北を喫するのは実に簡単なことだ。
しかし――ボクは期待されている。
『ここまでやっても負けるかもしれない』
――その信頼に応えなければ、嘘でしょう?
「――【《イグニッション》】」
ボクは魂の灯火を点火させる。心の中を確かな熱が巡っていく。
「そんな凡庸な〈
「凡庸、ねぇ。確かにボクの〈
ボクはひと呼吸置いて、彼女に告げる。
「『カードゲーム』で最も厄介なのは
テクニックその137『神なる全損回避』
《