卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
すでに【イグニッション】の重ねがけは完了した。ここから取れる手は2つ。
1つは無属性の攻撃スキルである【アブソーブ】を放つこと。キャラクターを対象にするスキルだから必中だし、火力が十分に足りていればこちらがベストだろう。
しかし【破魔】の【ネームド】である【砂もぐら】を相手に確殺へ持ち込めるかは微妙なところだ。ELMの恩恵を受けられるならともかく、今は【ルビーロッド】もないし、そもそも炎属性の攻撃は通らない。
それならば――
「〈始まりの炎より生誕せし、根源たる一柱〉――」
ボクが詠唱を始めると、
「【サモン・フィーニクス】か――撃たせると思うかい?」
彼女は大きく息を吸い込み、邪悪な黒い吐息を吹き出す。闇属性の投射攻撃――既存の
【ダークブレス】
[アクティブ][投射][攻撃][魔法][妨害]
詠唱時間:2.5s 再詠唱時間:120s 効果時間:10s
効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。[毒][状態]にする。[睡眠][状態]にする。[沈黙][状態]にする。[麻痺][状態]にする。[全て]の[ステータス]を[下降]させる。[全て]の[ELM]を[下降]させる。
彼女の持つ【ネームド】スキル【世界に愛されし】の効果で、攻撃を受けた時点ですべての
「«テレポート»!」
その宣言とともに
----
>なんかどっかいって草
>卍さん置いてかれててかわいそう
----
直後、彼女は慌てて«テレポート»を再発動して戻ってくるが、【ダークブレス】の大半はどことも知れない世界の果てで撃ち切ってしまっていた。
「お、おまえ――!」
「〈灼熱の翼に風を受け、輪廻を廻る一羽の鳥よ〉――」
ボクがやったことは極めて単純だ。«テレポート»で回避したと錯覚させただけ。
逃げなければ敗北は必定――だからこそ普通なら«テレポート»しないわけがない。だからボクはその場に居座るだけで、相手が勝手に深読みしたのだ。
ボクがやったのは、動くという意思だけを【モーションアシスト】に送り込む錯誤のテクニック〈行動撤回〉に〈感受誘導〉を重ねただけだ。最小限のアクションで最良の結果を導き出すのがボクの流儀だ。
「それなら、シャラッ――」
すぐに仕留めることはできないと判断した彼女は、詠唱を止めるスキル【シャラップ】を発動させようとする。しかし、それはいただけない。止めなければならない。そう考えた瞬間、ボクの身体からこの世ならざる恐怖の根源が撃ち放たれる。
ボクは常々思っていた。《SANチェック》には先があると。
宣言した後に襲い来る、わかりきった恐怖に鮮度はない。明日香さんなら、来るとわかっている恐怖にすら確かな鮮度を与えられるが、ボクにそこまでの技術はない。
だからこそボクが選んだのは邪道にして正道――宣言を挟まず、唐突な恐怖を呼び起こす浅はかな〈ジャンプスケア〉だ。
新たな恐怖をその身に受けた
「あ、《SANチェック》お願いしまーす」
「ひゃぁああぁああアアアア!!!」
ただの〈ジャンプスケア〉如きが《SANチェック》の先?そんなわけがないでしょう。恐怖の演出に添えた真の判定が、彼女を発狂へと導く。
《SANチェック》とは本来なら、恐怖したという事実に対して適用される判定であり、それ自体が恐怖に値する概念ではない。
この判定は、これまでの《SANチェック》とは意味の込め方が違う。積み重ねてきた恐怖をもとに、感情を清算する。ただそれだけの〈
最近は《SANチェック》の恐怖に慣れてきたプレイヤーが多いので趣向を変えてみたが、どうやら面白いくらいにはまったらしい。
「〈世界の狭間より森羅万象を睥睨せし神〉――」
発狂した
「〈果てなき夢幻の彼方を駆け抜け、無限の果てへと辿り着かん事を〉――【サモン・フィーニクス】!」
テクニックその140『ジャンプスケア』
簡易的な恐怖を唐突に送り込むことで相手をビビらせるテクニックです。恐怖の出力は《SANチェック》には遠く及びません。しかし《SANチェック》は〈
これまでに何度も活躍してきた《SANチェック》の別側面、異なる意味を込めた〈