卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第470話 城門閉鎖

「今のところは、【エアジャンプ】はだいぶ便利、という結論でいいでしょうか」

 

「使い道はなさそう?」

 

 とがみんの問いかけにボクは顎に手を当てながら考える。結局、『全能』で空を飛べば話は解決しますからね……。

 

「自由自在な『全能』による飛行とは違って、ジャンプという手順を踏む必要がありますからねー。エフェクトはきれいなんですけどね」

 

 緑色の光がきらめきながら足元に集まり、跳躍と同時にガラスのように弾け飛ぶ様は、見ているだけで楽しい。さすがは【黄金の才(ユニークスキル)】というだけのことはある演出だ。

 

 しかし演出以上の意味があるわけではなく、この光をプレイヤーに当てても衝撃は起きないし、当然ながらダメージもない。

 

「しばらくはこれを使って遊んでみたいですね。何をしましょうか――」

 

「久々にお散歩配信でもしよっか♥」

 

「【『アイテール』】を使って空中散歩ですか?――そうですね、たまにはのんびり過ごしましょうか」

 

 とがみんを頭に乗せながらぴょんぴょんと跳ねて【ディスポサル城下町】の上空に浮かび、眼下を見下ろしてみる。

 

「うーん、やっぱりプレイヤーが少ないですねー……。あれ?」

 

 噴水のあたりを改めて確認し、そうつぶやいたあと、なにやら人だかりができている場所があることに気づく。あそこは――【ディスポサル城】の城門前だ。

 

 いつもは誰でも立ち入り歓迎と言わんばかりに開いている門が、今日は閉じている。

 

「なにかイベントでもやってるんでしょうか?」

 

「行ってみよっか♥」

 

 とがみんを落とさないよう気をつけながらぴょんぴょんと跳ねて距離を詰め――人混みから少し外れた道路脇にすたりと着地する。

 

 そして目についたプレイヤーに声をかけてみることにした。

 

「すいませーん、なんの集まりですか?」

 

「あ?城門が閉まってるもんだからよォ。イベントの気配を感じて自然と集まってるだけだ」

 

 ボクが声をかけたプレイヤー――帝王龍さんは、快く状況を教えてくれる。

 

「なるほど。ボクたちも同じですからね。ところで――【サバイバル】以来ですね?」

 

「……あまり口に出すもんじゃねェな、そういうことは」

 

 圧倒的な性能を持つ【黄金の才(ユニークスキル)】、【『クロノス』】の所持者……それが帝王龍さんだ。かつては一般プレイヤーを有象無象(フォッダー)と見下す演出で、このゲームを大いに盛り上げてくれていた。

 

 【黄金の才(ユニークスキル)】の所持者に一般プレイヤーは敵わない、そういう主張だったわけだが――。

 

「まだ勝ち残っている【黄金の才(ユニークスキル)】の所持者はいるからな。最終的にそいつが勝てばぎりぎり課金者としての面目は保たれる」

 

「1億円を課金している時点で本来ならぎりぎりどころの話じゃない気はしますが……」

 

「なんなら他の奴は1億円の下駄を履いた上で敗北してるわけだからなァ。よっぽどゲームが下手なんじゃねえか?」

 

「それは自虐ですか?いえ、帝王龍さんもかなりの熟練度(プレイヤースキル)があると思いますけどね。【黄金の才(ユニークスキル)】に1億円相当の価値がないだけでは?」

 

----

>フェアミダス得意そう

 

>それはそれでぼったくられた感があってかわいそう

 

>改めてアイテールのしょうもなさが浮き彫りになってて草

----

 

「いや――【『クロノス』】は控えめに言っても相当なスキルだろ。卍さんがうまかったのが悪いと思うぜェ」

 

「悪役系のロールプレイをしておきながら善性が隠しきれないほど滲み出てくるの、わざとやってます?」

 

「悪ィな、生まれ持った人徳って奴は漏れ出ちまうもんだ」

 

 そんな話をしていると、頭の上にいたとがみんが帝王龍さんの頭に飛び乗る。帝王龍さんは驚きながらも、とがみんを優しく撫で始めた。

 

「うーん、平和ですね――。話を戻しますが、誰か城に入ってみました?城門が閉じてても〈トンネル避け〉で抜けられますよね」

 

「あァ、入ってる奴はいるが、戻ってこねェんだ。そろそろ俺も入ってみようかと思ってたところだ」

 

「なるほど。それでは一緒に入ってみましょうか!」

 

「楽しそうだねー♥」

 

 とがみんが帝王龍さんの頭の上でぴょんぴょんと跳ねる。一番楽しそうなのはあなたですよ。

 

 というわけで、とことこ門に近づき、〈トンネル避け〉で城の中へするりと入り込む。

 

 城の中は一見、以前に来たときと変わらない様子だが……。この城で重要な部屋といえば玉座の間だ。まずはそこに向かってみよう。

 

「にしても、他のプレイヤーがいませんね。玉座の間に集まっているのでしょうか」

 

「消されたんじゃねェか?」

 

「怖いこと言いますね……。なんですか、特定エリアに入っただけで消されるゲームって。」

 

「むしろこのゲームならそれくらい普通でしょ♥」

 

 とがみんにそう言われて少し考え込み、前言を撤回する。たしかに、このゲームならなんでもありだ。もっと緊張感を持たないといけませんね。

 

 そんな話をしながら玉座の間へと近づき、扉をすり抜けると――。

 

 そこには地獄が広がっていた。

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