卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

484 / 541
第472話 通常攻略

「なるほど、そんな感じか。あとで試してみよっと♥」

 

「あァ。試すといいぜ。やってみりゃ拍子抜けするくらいに簡単なことだ。無論、これにもからくりがあるんだがな」

 

 ……さすがはとがみんですね。

 

 とはいえ、気になる言葉も聞けた。

 

「今しがた見せてもらった『異形』のオーラを操作する技術は【モーションアシスト】に対して『確信』に近い指示を送ることによって、精度を大きく引き上げているようでしたが……。それ以外にもからくりがあるんですか?」

 

 一つ気になっているのは、原理がわからない点だ。観測した限りでは『異形』のオーラを体内に封じ込めているような挙動だった。無理やり他者のオーラを操作するくらいならボクでもできるとは思うけど、封じ込めたオーラが出てこないようにしている仕組みは何なのだろう?

 

「卍さんにはわからねェかもな?」

 

 どうやらそのからくりとやらを教えてくれる気はないらしい。とがみんが頭の上で「おしえてよー♥」とぴょんぴょん飛び跳ねているが、知らん顔だ。まあ、自分の切り札を完全に開示しては優位性を失ってしまいますからね。

 

「難しい話は終わったー?一緒にあそぼうよ!」

 

 完全に恐怖感が失われ、きゅーとなマスコットと化した『異形』さんが触手で床を叩きながら催促する。どうやら新規プレイヤーのようですし、サポートしてあげましょうか。

 

「よし、それでは一緒にメインクエストを攻略しに行きましょうか!職業(クラス)は何にしました?」

 

「んーとね、【モンク】だよ!」

 

「ほう、【モンク】ですか!手が複数ありますし、悪くない選択肢ですね!」

 

 実際には、得意の支援(バフ)スキルを行使してから武器を装備する〈ウェポンモンク〉や魔法を使いこなす『破戒僧』(ビルド)、挙げ句の果てには〘機関銃〙など、職業(クラス)の根本を覆すようなさまざまなテクニックが存在するが、正攻法も別に弱いわけではない。

 

「ひとまず【正拳突き】を覚えたよ!えいえい!」

 

 触手を鋭く突き出すその動きは明らかに洗練されている。現実(リアル)での戦闘経験があるのかもしれないが、友好的なので気にする必要はないだろう。

 

「【正拳突き】は物理スキルの中ではトップクラスの攻撃性能だからねー♥下手な剣を振り回すよりよっぽど強いよ♥」

 

「やっぱりそうだったかー!わたしの見る目は確かだね!」

 

「まあ〈ウェポンモンク〉では死にスキルになるんだがなァ……」

 

「こら!夢を壊さない!素手こそ【モンク】の本分ですからね!」

 

【正拳突き】

[アクティブ][近接][攻撃][物理][条件:素手]

消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:10s

効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。

 

 スキル説明を改めて確認したが、やはり再詠唱時間(リキャストタイム)が10秒というのは優秀だ。下手な後衛職業(クラス)なら一撃で葬り去れるほどの火力も魅力的だし、弱くはない、弱くはないんですよ……!

 

----

>ようやく戻ってこれたわ

 

>純正モンクはアサシンとの組み合わせが強いよ。デュアルスキルで正拳突きを3つくらい覚えとくと連発しやすい

----

 

【デュアルスキル】

[パッシブ][パーミッション]

効果:[アクティブ][スキル]を[重複]して[習得]できる。ただし[ジョーカー]は[習得]できない。

 

「なるほど!再詠唱時間(リキャストタイム)が短いから、数個覚えただけで好きなだけ使い回せるんですね」

 

 とはいえ、始めたてならまだそんなことを気にする段階ではない。スキルポイントもまだまだ少ないし、一緒にメインクエストでも攻略していこう。

 

「メインクエストは受けました?よければ一緒に攻略しませんか?」

 

「うん、いいよ!確か森に行くんだっけ?さっそくごーごー!」

 

 

 森に向かう道中、名前を教えてもらった。✙あきな✙さんというらしい。灑智と同じ装飾記号を使っていて、親近感が湧きますね。触手を巧みに動かしながら進んでいる。

 

「で、どうすんだ?初見でやっちまうのか?」

 

「帝王龍さんもついてきてくれるんですね。それはさておき、初見でやっちゃうのはやめておきましょう。メインクエストの大半がスキップされてしまいますから」

 

「そういう匂わせはやめようね♥」

 

 ボクは初見で魔王を討伐してしまったせいで、せっかくの長編シナリオの大半を遊べていない。あきなさんが負けイベント突破のネタバレを知っていて、かつ競技性を重視するプレイヤーだったら、最速で現環境に駆け上がる方法を伝授していたが、そうではないようだし。そもそも大会の本戦はすでに始まっているので、いまさら新規プレイヤーがスタートダッシュで環境を駆け抜ける意味も薄い。

 

「アリンドさん、死んじゃうの……?大丈夫?」

 

「ハッハッハー!心配すんな!【魔王】なんて早々出てくるようなものじゃねえし、いても俺が倒すからな!」

 

 恒例の登場人物紹介ネタバレを踏んだ初見さんの様子を微笑ましく眺めながら、ボクたちは森に入っていく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。