卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「何!?魔王を名乗る者が現れ……アリンドを倒した!?ばかな!」
「うん……わたしたち、まったく役に立てなかった……。ごめんね……」
「……気にするでない。もともと新人研修のはずだったのだ。それに、誰がその場にいようとアリンドを倒すほどの実力者に太刀打ちできるはずもない」
ことの顛末を王様に報告すると、衝撃的な異常事態にもかかわらず、思いのほか冷静に対応してくれた。
なぜなら、国王であるヨッヘンは魔王の傀儡で、アリンドを死地に送ったのも意図的な策であり、こうなることもわかっていたのだろう。
その後、ある程度の事情を説明すると、ボクらは玉座の間を後にする。
「次は何をすればいいんだろう?」
あきなさんが疑問を投げかけると、帝王龍さんが答える。
「決まってんだろ?魔王は正攻法じゃ倒せねェ。【封魔石】を集めるんだ」
「【封魔石】?魔王を弱体化させるアイテムということですか?」
そんな会話をしていると、ボクらの前に赤い髪の少年が現れた。
「【封魔石】をご存知なんですか……!?」
【NEW! 登場人物一覧が更新されました】
アレク
ディスポサル図書館の司書。魔王の力を封印する封魔石の在り処を教えてくれる。封魔石はトラシュ山の頂上とグレイブウッドの深層にあるという。彼は善意で封魔石の収集を依頼するものの、後にヨッヘンによって魔族の手先として地下牢に閉じ込められてしまう。
相変わらずネタバレ盛りだくさんな登場人物紹介にあきれるが、もはや突っ込むまい。
「まァな。【トラシュ山】の頂上と【グレイブウッド】の深層にあるんだろ?」
「さすがですね……!【ガベジー荒野】にあるという【図書館】の原本にしかない情報をご存知とは……!」
まあ、登場人物紹介に書いてありますからね。帝王龍さんはシナリオをクリア済みだから知ってるのだろうけど、未クリアでも知ったかぶりできるのは面白い。
「だが、【封魔石】は現地に赴いただけでは簡単に手に入るものじゃねェ。そうだろう?」
「よくご存知ですね……!その通りです。【封魔石】を手に入れるには4つの【勇心の石版】を集める必要があります。なぜなら――」
「勇者の力を受け継ぎし者にしか【封魔石】を手に入れることはできないから、だな」
「全部教えてくれますね、帝王龍さん……。【勇心の石版】を集めれば、アリンドさん亡きこの状況でも、勇者の力を伝承できるということですか?」
「そういうことだな。もちろん勇者の力を継承できるのは娘であるレジーナだけだ。まずはレジーナに状況を説明しなきゃならねェが――」
「ちなみに【勇心の石版】はどこにあるの?」
「あァ、それはだな。【試練の迷宮】に――」
あきなさんの疑問に帝王龍さんが答えようとしていると、通路の奥から兵士さんがやってきた。
「大変です!レジーナ様が行方不明になりました!」
「なんだって……!?」
「アリンド様の死を説明し、ご助力を願ったのですが、レジーナ様は突然暴走して兵士を突き飛ばし、そのまま――」
「馬鹿……!レジーナ様はまだ10歳だぞ……!正直にすべてを説明する奴があるか……!」
アレクが兵士を叱咤する様子を眺めながら、ボクは状況を整理する。
「魔王を倒すには2つの【封魔石】が必要で、それを手に入れるには勇者の力が必要。勇者の力を得るには4つの【勇心の石版】を集める必要があるけれど、肝心のレジーナさんが行方不明……。一度にずいぶんたくさんの目標を提示してきますね?」
こういうのって普通、徐々に先を提示していくものじゃないんですか?
「レジーナちゃんを探すクエストと【勇心の石版】を探すクエスト、どちらから進めてもいいっていうお計らいだよ、きっと♥」
「そういうことだ。どうする、あきな?お前が決めていいぜ」
「うーん、まずはレジーナちゃんかな。会ったことないけど、心配だし……」
「そうか。それならレジーナを探すか。まずはどこに行く?聞き込み調査でも始めるか?」
帝王龍さんが問いかけると、あきなさんがうーんと悩み始める。
ボクとしては【ユズレス大森林】にいると思いますね。魔王が出現した場所ですし、衝動的に家を飛び出したのなら森に向かうのが自然だろう。
「もしかしたらお腹が減ったのかもしれないね。食堂を調査してみよう!」
「え!?……そ、そうですね。まずは食堂で聞き込みをしてみますか!」
というわけで街の食堂を調べるため、城下町へ向かうことになった。
「このゲーム、シナリオ進行の誘導とかないんだねー♥」
「そうですね。これは長引くかも……」
「レジーナちゃんかい?来てないねえ。他の店にも聞いてみたらどうだい?」
「え、レジーナ?うちの店には来ないよ。ここはあいつの嫌いなピーマンをふんだんに使っているからな」
「レジーナって誰だ?……あぁ、勇者の娘さんか。会ったことないからわからんなー」
「うーん、絶対どこかの食堂にいるはずなのに!おかしいなー」
「……こういうのって、さりげなく誘導してあげたほうがいいんですかね?」
「まあまあ、もうちょっと見守ってあげようよ♥」