卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第476話 レジーナ

たこの丸焼きを食べて満足したボクたちは改めて【ユズレス大森林】に向かう。本来なら«テレポート»や【コールグループ】で移動するところだが、今回は初心者の引率だ。景色を眺めながら、とことことのんびり歩いていく。

 

「あっ、みてみて。あそこに【ジュエルラビット】がいるよ♥」

 

 ボクの頭上のとがみんが耳で指す方向には、ぴょんぴょんと草原を跳ね回る3匹のうさぎさんがいた。

 

「とがみんさんと同じだ!かわいいー!」

 

 【ジュエルラビット】は【フォッダー】の全域で出現する可能性があるが、その出現率はかなり低い。3匹も同時に出現するなんて、かなりレアですね。

 

「なんだか楽しそうですね。とがみんも遊んできたらどうですか?」

 

 そんな軽口を叩いていると、こちらに気づいたうさぎさんたちが駆け寄ってくる。ボクの足元まで来ると、ぴょんぴょんと大きく跳ね始めた。やっぱりとがみんを仲間だと思ってるのでしょう。

 

 微笑ましく眺めていると、帝王龍さんが後ろから1匹のうさぎを抱え上げた。

 

「おォーよしよし、かわいいなァ」

 

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>草

 

>かわいいからね仕方ないね

 

>レアモンスターやぞ、殺せ

 

>そんなことできるわけないだろ!!!

----

 

 帝王龍さんは楽しそうにうさぎさんをなで回している。うさぎさん側も悪い気はしないらしく、されるがままに身を任せていた。

 

 あきなさんも触手を動かしてうさぎさんたちをなで回している。

 

「【ジュエルラビット】は耳を引っ張られると喜ぶよ♥ソースはわたし」

 

「それ、とがみんだけじゃないんですか……?」

 

 そう思いながら、ボクもうさぎさんを抱え上げてうにょーんとお耳を引っ張ってあげると、うさぎさんは身体の力を抜いてリラックスしてしまった。かわいすぎる。

 

 そのままうさぎさんたちがなついてしまったので、それぞれうさぎさんを抱えながらのんびりと森に向かうことにした。

 

 やがて森に入ると、群れをなしたゴブリンが襲ってきたので、あきなさんに戦ってもらう。

 

 【ユズレス大森林】に生息するゴブリンは初心者が相手取るには強敵だが、大量の触手によって手数とリーチを両立しているあきなさんの敵ではない。それに加えて、とがみんや周囲のうさぎさんはそこにいるだけで、さまざまな支援(バフ)をかけてくれる。

 

 あっという間に【正拳突き】だけでゴブリンを片付けたあきなさん。レベルが上がったので【女神像のネックレス】をお貸しして、新たなスキルを覚えてもらう。

 

「最初は【連撃】や【秘孔】がおすすめですよ。どちらもダメージの上がり幅が大きいです」

 

【連撃】

[アクティブ][自身][支援][条件:素手]

消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:30s

効果:[キャラクター]が次に使う[攻撃]を[2回]として[扱う]。

 

【秘孔】

[アクティブ][自身][支援][妨害][条件:素手]

消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:30s

効果:[キャラクター]が次に使う[攻撃]を[敵]の[弱点]として[計算]する。

 

「特に【秘孔】はモンスター相手には強いですね。モンスターは弱点と耐性が極端なことが多いので」

 

「なるほどー!それじゃあ【秘孔】にしようかな?」

 

 そんな調子でモンスターを倒しながらレベルを上げていき、魔王と遭遇した地点にたどり着いた。すると視界の先に1人の少女の姿が映る。レジーナさんだ。

 

「あれがレジーナさんかな?」

 

「そっか、あきなさんは初対面でしたね。あれがレジーナさん……なんですが……」

 

 そういうボクも、通常のメインクエストで会える彼女のことは知らなかった。

 

 そこにはまるで幽鬼のような表情を浮かべた少女がいた。左手には禍々しい光を放つ剣を携え、右手には苦悶の顔が刻まれた盾を構えている。明らかに勇者とは相反する存在であり、魔王の配下だと言われても納得するような様相だった。

 

「――誰?」

 

 レジーナさんが問いかけると、あきなさんが答える。

 

「あきなだよ!勇者の娘さんのことを探しに来たの!いったん城に戻ろう?魔王を倒す方法も見つかって――」

 

「あなたたちの助けはいらない。私が魔王を倒す。邪魔をするなら――斬る」

 

 父を失った深い悲しみを、憎悪へと転じさせてしまった少女。普通に考えたら勇者が負けたのに、その娘が策もなしに魔王に挑んで勝てるはずもない。そんな理屈すらわからないほどに怒りに支配されているのだ。

 

「それなら、止めるよ。そして一緒に連れ戻す!」

 

「なるほど、戦うのか。それならうさぎを預かってやるよ。ほら、貸しな」

 

 帝王龍さんはあきなさんが大事に抱えていたうさぎを受け取ると、ちょこんと頭の上に乗せた。なんだかしゅーるで、きゅーとですね。

 

「……ちなみに、他の選択肢もあるんですか?」

 

「いい感じに会話が成立すれば説得できるぜ。とはいえ戦って無理やり引きずってくのが実情としては一番多いだろうなァ」

 

 なるほど。導線が雑なぶん、自由度は高いんですね。

 

「ちなみにレジーナちゃんはどのくらい強いの?」

 

「かなり強いぜ。そもそもここで負けた後に【勇心の石板】を集めてから再挑戦するルートもあるからな。まあ、さんざん寄り道してからメインクエストに来るような奴なら初見で勝てるだろうぜェ」

 

「となると、このゲームを始めてから一直線にクエストを進めてきたあきなさん的には不利。ですが――」

 

 負けイベントではないのなら、遠慮せずにフォローしてもかまいませんよね?

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