卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
【エレウテリア】で迷宮を蹂躙するのは他のプレイヤーにとっても弊社の社員にとっても迷惑なようなので、今日はおとなしく普通に攻略していくことになった。
「よし、これで宝箱は4つめですね!」
宝箱を開けると当然のように米粒が入っている。ボクたちはこのお米を集めに来ているのだから構いませんが、普通のプレイヤーにとっては相当なクソ要素ですよね。
「これで12粒……。先は長いのです」
「あの……やっぱり卍さんの社員に任せてわたくし達は戻りませんこと?」
「ダメですよ!社員に辛いことだけ押し付けて自分たちだけ遊びほうけているなんて、社長の名折れです!せめて100粒は集めていきましょう!」
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>管理職が現場で働いてて草
>社長なら社員を殺した責任を取って自首しろ
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さっきの社員は不幸な事故でしたから!ボクは悪くありませんから!そう自己弁護を重ねながら、迷宮の奥へと進んでいく。
「レベルも上がってスキルも充実してきましたわね。これでもう一度卍さんと戦うのも楽しそうですわ」
「私も猫姫さんと戦ってみたいのです!いい感じの【転生】先を見つけたら、勝負してほしいのです」
「構いませんわ、いつでも勝負を受け付けてますの!」
「メグさんも【アイズ・ファミリア】になってみませんか?きゅーとですよ?」
【転生】アバター談義に花を咲かせつつ、目の前のモンスターをさくさく倒していると、近くにプレイヤーの気配を捉えた。【パスファインダー】の能力が壁の向こうにプレイヤーがいることを告げており、《『第六感』》によってその正体を察した。
「おや、あきなさんがいますね」
「あきなさん?卍さんの配信で見たのです。なんだか強そうな『異形』さんなのです。ابتسامةさんと似ていたような?」
「ابتسامةさんも触手系の『異形』ですから、確かに似た雰囲気はありますね。ただابتسامةさんはスライム系の触手で、あきなさんは生物系の触手なんですよ」
「合流しますの?」
「お二人がよろしければ、ご挨拶したいですね」
メグさんも猫姫さんも快く承諾してくれたので、壁をひょいと抜け、声をかけてみた。
「あきなさん、こんにちはー!」
「わわっ、びっくりしたー!その声は、卍さん?」
あきなさんは〈トンネル避け〉に慣れていなかったらしく、面白いくらい驚いてくれた。プレイヤーの気配を感じ取る能力もまだ備わっていないようだった。
「ふっふっふ、この程度で驚くようではまだまだですね!」
後からメグさんと猫姫さんが同じように壁を抜けて、あきなさんに挨拶をした。
「私はメグなのです!卍さんのお友達なのです!」
「……わたくしは✝聖天使猫姫✝ですわ。猫姫と呼んでくださいまし」
猫姫さんはほんの僅かに逡巡したが、ぺこりと首を下げる。一方でメグさんはまったく気にしていないようだ。
あきなさんからは『異形』特有のオーラが発せられている様子はない。猫姫さんが気にしたのはテレビで見た顔だったからだろう。
「わたしはあきなだよ、よろしくね!今はクエストの攻略中なの!10階層でレジーナさんが待ってるんだ!」
星型の
「ボクたちはこの迷宮の宝箱を開けて回ってるんです。よければ一緒に行きませんか?」
「いいよー!あれからわたしも強くなったんだからね!」
というわけで、あきなさんと一緒に迷宮の探索を開始することになった。せっかくなのでお手並みを拝見しようと、次に出てきたモンスターをあきなさんに倒してもらうことにした。
あきなさんを先頭に複雑怪奇な迷宮を進んでいると、曲がり角から全身鎧の甲冑が現れた。高性能な装備を揃えているボクたちなら、レベル差を考慮してもなお軽く蹴散らせる相手だが――。
するとあきなさんは3本の触手を鋭く伸ばし、【正拳突き】を発動させる。〈マルチウェポンスキル〉によって全ての触手にスキルの効果が乗っているので、単純に考えればその威力は3倍だ。
甲冑のモンスター、【デッドナイト】は触手に対して右手を突き出すと、瞬間的に黒い壁が出現した。防御系スキルでの応戦――しかし次の瞬間、壁は粉々に砕け散り、触手が鎧を突き飛ばす。
さすがに3倍撃の【正拳突き】と言えども、障壁を崩した上で、一撃で全損させるほどの威力はなかったらしい。【デッドナイト】は勢いよく壁に叩きつけられながらも戦意を喪失していない。
しかし息をつく間もなく、2度目の【正拳突き】が発動する。すかさず追撃の触手による一撃を受けた【デッドナイト】はHPを失い、粒子になって溶けるように消えていった。
「ふふーん、どう?どう?」
「【デュアルスキル】ですか!手堅い
【モンク】の持つスキルである【正拳突き】は
そこであきなさんはサブ
【デュアルスキル】
[パッシブ][パーミッション]
効果:[アクティブ][スキル]を[重複]して[習得]できる。ただし[ジョーカー]は[習得]できない。
「帝王龍さんがアドバイスしてくれたんだよ!」
「さすが帝王龍さんですね。やっぱりあの人、いい人すぎませんか?『生粋の良い人』の二つ名を進呈しましょう」