卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「貴様、この俺に
《まぁ、思ってなかったけど。この手の力は格下にしか通用しないのが当たり前だよね》
グャギゼウスさんの威圧が込められた怒声をアクタニアさんは飄々と受け流す。自身が格下だと認めているにもかかわらず、その態度は大した自信の表れにも見える。だが――心中は全く穏やかではないようだ。
思考そのものを演ずる〈ロールプレイング〉ではないものの、怯えを外に出さないその演技力は称賛に値する。
「アクタニア、頑張ってるねー❤」
とがみんは明日香さんの考えを受け継いでいることもあり、アクタニアにあまり良い感情を持っていないはずだけど、それでもベッドの上で応援する気になるくらいには好感触を得たらしい。
「ここから始まるのは能力バトルではなく、印象バトルですからね。それをわかっているのでしょう」
「まずは貴様から消してやろうか」
《世界を終わらせる力があるのに、僕を消すのが先とはずいぶんと迂遠なことだね。世界ごと消せばいいんじゃないのかい?》
アクタニアさんの指摘は、グャギゼウスさんの能力の限界を突くものだ。グャギゼウスさんにとって、『異形』を消す行為と世界を消す行為とでは、かかるコストが等価ではない。そのことを暗に示している。
それは神の全能性に対する疑問の提示であり、グャギゼウスさんにとっては自身の『権能』を否定されるに等しい。
「ッ――!《『弾けろ』》!」
次の瞬間、グャギゼウスさんが命ずると、アクタニアさんは瞬間的に膨れ上がる――が、すぐに元の大きさに戻る。
《おや、弾けるんじゃなかったのかい?《『能力の有効性が疑われるね?』》》
アクタニアさんが影響を受ける刹那、対象と世界を隔てる〈魔導〉――〚エデン〛が有害な干渉を無効化したのだ。
「もしかして、灑智が裏にいるのかな?」
「みたいですね。アクタニアさんでも〚エデン〛を張れるとは思いますが、使い方が贅沢すぎる。干渉を防いだあとも、展開しっぱなしじゃないですか」
ボクの魔力では〚エデン〛を張れるのはほんの一瞬だけ。人よりも魔力の多いアクタニアさんでも展開し続けるなんて真似は到底できない。本来はピンポイントで運用すべき防御〈魔導〉を無尽蔵に垂れ流すのは灑智にしかできない芸当だ。
「貴様、〈魔導〉を使っておいて――!」
《なるほど、少なくともキミの『権能』は〈魔導〉よりも下位に位置する
グャギゼウスさんの怒りに呼応し、アクタニアさんは疑問を投げかける。
アクタニアさんが問いかけるたびに、彼の持つ『権能』が起動するのが《『心眼』》によって見て取れる。
「効かぬと言っているだろう!そんなチャチな小細工!」
力を振るうまでもなく、グャギゼウスさんは存在としての格によってその干渉を無効化する。
「《『唸れ、グャディアス』》!」
グャギゼウスさんが一本の触手を天に掲げながらそう叫ぶと、禍々しい紫色の剣が虚空から顕現する。
「これは〈魔導〉殺しの覇剣『グャディアス』。俺の前に立ち塞がった『魔導師』は、そのすべてがこの剣の錆となった!結界なぞ無意味よ、叩き壊してくれる!」
《随分とご大層な武器だね》
『グャディアス』を起点に、周囲の魔力が吸い込まれるように消えていくのが見て取れる。確かにあれなら〚エデン〛を打ち消すのは不可能ではないだろう。
《《『果たして本当に斬れるのか?』》試してみようじゃないか》
「疑問を挟む余地すらない!」
グャギゼウスさんが剣を上段から振り下ろし、アクタニアさんに叩きつける。その瞬間、確かに〚エデン〛は無効化された。しかし――甲高い金属音と共に剣は弾かれる。
「なっ!?」
《おいおい、〈魔導〉を無効化できるからって、なまくらを振るっても意味がないんじゃないのかい?《『その程度の武器しか創れないのか?』》》
すかさずアクタニアさんの煽り文句が命中し、グャギゼウスさんはますます怒りに支配される。
「ここまでいけば、勝負はありましたね」
アクタニアさんの『権能』はグャギゼウスさんの力には、なんの干渉も及ぼせていない。それでも事実としてグャギゼウスさんは弱体化していき、その大いなる力は失われていく。
――弱体化というのも、ふさわしくはないか。正確に言えば、ボクたちが強くなっているのだ。
アクタニアさんが疑問を投げかけるたびに『権能』の力がメディアを通じて世界中に伝搬し、確かな違和感を植え付ける。
本当は言うほど強くないのではないか。世界は終わらないのではないか。アクタニアさんはそうした感覚に訴えかけ、人類はそれに呼応して《『
もはやグャギゼウスさんの力は、少なくともこの地球上においてはまともに機能しない。ボクたちの全能と同程度の作用しか及ぼせないだろう。