卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
第506話 決戦の日
「ついにやってきましたね……【フォッダー】公式大会本戦、【ダブル杯】!」
ここまで実に長かった。毎日のように宝箱の中から米粒を拾い集めるだけの日々だった。時折、息抜きがてらあきなさんと一緒に冒険をしていたが、米粒集めがスケジュールの大半を占めていたのは言うまでもない。
「ここまでありがとうなのです!おかげで3つもの【たまごかけごはん】が完成したのです!」
そう、そこまで頑張ってなお完成した【たまごかけごはん】は、たったの3つ。料理の
「絶対に
「わかったのです!上書きされるか全損するかの二択なら即断で全損を選ぶのです!」
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>本末転倒で草
>なお全損したらバフも消える模様
>対戦相手が積極的に上書きを狙ってきそう
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現在ボクたちがいるのは大会専用の【闘技場】。いつもの【闘技場】とは違い、広さも段違いでNPCの屋台がずらりと並んでいるのが目に入る。もちろん、それに便乗するようにプレイヤーの屋台もあちらこちらに見受けられる。
「これから本戦に出場するならうちの【狂戦C − ウルトラデラックス】は欠かせないね!」
「【ハイパーウルトラメガデラックストライデント】あるよー!環境Tier1だよー!」
「【魔界の御札】全種類取り揃えてます!」
なにやら聞き覚えのあるアイテムの改良版から、聞いたこともない環境Tier1のアイテムまで、さまざまなバトル向きの商品を扱っているようだ。もしかしたら対戦相手が使ってくるかもしれないので、冷やかし混じりに声をかけてみる。
「こんにちは!【狂戦C − ウルトラデラックス】って、普通の【狂戦C】と何が違うんですか?確か、アバターが自動操作になってしまう代わりに、ステータスが上がるアイテムだと記憶していますが」
台の上には半透明の茶色い小瓶がいくつも並んでいて、サプリの瓶にも見える。
さすがにその辺のモンスター相手ならまだしも、【フォッダー】の頂点を決める戦いで、自身の意志が介在しない自動戦闘は通用しないだろうと、つい穿った見方をしてしまう。
「はっはっは、この薬はただの【狂戦C】如きとは比べ物にならないぜ。ステータス上昇量は2.5倍!さらに無数の
と、店員さんが自慢げに小瓶を持ち上げて見せてくる。確かにそこそこ強そうですね。普通の【狂戦C】はデメリットがメリットを上回る印象がありましたが、【狂戦C − ウルトラデラックス】は天秤にかけるだけの価値はありそうだ。
「まぁ、いまさらなのです。仮にこれで勝てたらプレイヤーの技術力なんて関係ないスペックバトルになってしまうのです」
「ですね。玉石混交の大会ならまだしも、【サバイバル杯】を突破してきた猛者がいまさらこんな外法に手を出すとは思えません」
とは言ったものの、アバターのスペックをとことん積み上げるような戦略も、それで勝てるのなら正義だ。ボクは天秤にかけた末にそれを否定したが、使ってくる人もいるかもしれない。頭の片隅に入れておこう。
「で、そっちは……環境Tier1?どこの世界でTier1なのです?」
メグさんが次に興味を示したのは【ハイパーウルトラメガデラックストライデント】。シンプルな形状をした三つ又の槍だ。
あまりにも特徴がなさすぎる。スキルが付与されていれば、外見にも何らかの特徴が出ると思うのだけど、この装備にはその傾向が見られない。かといって、未鑑定装備にも見えない。
「これは【OA-YS】でTier1の装備だよ」
「なるほど。【フォッダー】とは仕組みが違うから、付与されている効果が見た目に反映されるとは限らないんですね」
「そうそう。そしてこの武器は『混沌』『邪悪』『魔滅』の3属性で追加ダメージを与えるテンプレ構成になってるんだ」
「なんか初めて聞く属性ばかりですね。【フォッダー】の装備耐性では軽減できなさそう」
「これら3属性は【OA-YS】では『状態異常属性三銃士』とも呼ばれていて、1つの属性に複数の
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>すっごい強そう
>Tier1というだけのことはある
>でもOA-YSってランダムエンチャ制だよな?環境装備とかあるの?
>OA-YSではこの3つが同時に付与される装備を期待して延々と掘り続ける文化がある。要は結論装備みたいなもん
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――結論装備。少なくとも武器というカテゴリにおいて、この組み合わせはTier1級だということらしい。結論だからといって誰もが使っているわけではなく、いわばゲームにおける目標のような理想の組み合わせだ。
「ボクはさすがに近接武器を使う予定はありませんが……メグさんはどうします?一品ものみたいですけど」
「うーん……。私が使ってる武器は戦術に最適化された装備だけど……この武器も気になるのです。ちなみにおいくらなのです?絶対高いのです」
「550,000,000,000Z。ビタ一文まからないよ」
「絶対ムリなのです。生産系特化のプレイヤーでも届くかどうか……」
メグさんが言う。もとから手が届かないだろうとは思っていたようで、あっけらかんとした様子だ。
「まあ、そうですよね。ボクたちはここまでに積み上げてきた装備と戦術で勝負しましょうか」