卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「それで、こちらの屋台はなんでしたっけ、【魔界の御札】?どういうアイテムなんですか?」
「きみ、【魔界の御札】を知らないの……!?よく【フォッダー】を遊べてるね……」
「え、え、なんか常識を知らないみたいな口ぶりはやめてくださいね!?」
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>マジかよ、卍さんって魔界の御札を知らないのか……
>情弱にも程があるだろ
>無知すぎて草
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コメント欄でもさも当然みたいに煽られてるが、本当に聞いたことがない。
「卍さん……。まさか、本当に知らないのです……?」
「えー!ごめんなさい、知らないです……」
「まぁウチが作った独自のアイテムだから知らなくても当然だけどね」
「殴りたい」
コメントを送ってくるだけの視聴者さんは殴りようがないので、代わりにメグさんをぽかぽかと叩いておく。メグさんはボクに叩かれながらも、にへらと笑っていた。
「それでは改めて【魔界の御札】について教えてください」
「いいよー。【魔界の御札】はね、最大HPを一時的に減らすことで特殊な
そう言って店員さんは黒い御札を見せてくれる。
「この御札は【ウォーリア】の
「【ウォーリア】……。確か、【NOA-YS】の
【フォッダー】でいう
【ウォーリア】
・あなたは近接武器のエンチャントを強化する
・あなたは近距離攻撃の威力を増加させる
・あなたは近距離攻撃の威力を軽減できる
・あなたは運動能力に対して追加補正を持つ
・あなたは状態異常に対して強い抵抗を持つ
【ウォーリア】の場合はその名に違わぬ物理戦闘向けの
なぜ『らしい』なのかというと、相手がどの
これまでに相手が設定している
ただそれはそれとして、ボク自身は【パスファインダー】に度々助けられているので、他の
「私も【ウォーリア】の
「そうなんですか?結構役に立ってます?」
「【ウォーリア】の強いところは運動能力の追加補正だと思うのです。基本的に【フォッダー】ではDEXが低いと〈トンネル避け〉を捉えられないけど……【ウォーリア】なら初期値でも当てられるのです」
「マジですか、かなり重要じゃないですか!」
そういえばメグさんが対人で攻撃を外しているところはあまり見た記憶がない。
いや、そもそもの前提が違う。
【マクロ】によって固定された物理攻撃は本質的に〈トンネル避け〉への対処が難しいはずだ。その前提を覆すのが【ウォーリア】だとすれば、相当に重要な能力といえる。
「ちなみに、他にはどんな
ボクが尋ねると、店員さんが追加の御札を取り出しながら快く教えてくれる。
「【ウォーリア】以外だと……【スナイパー】・【ソーサラー】・【ゼネラル】・【パスファインダー】だね」
「あぁ、思い出してきました。確か【スナイパー】は弾道を操作できるんですよね。これもDEXの高低に関係なく付与される能力だから印象に残っています。【ソーサラー】は……杖をうまく使えるんでしたっけ」
【スナイパー】
・あなたは遠距離武器のエンチャントを強化する
・あなたは遠距離攻撃の威力を増加させる
・あなたは遠距離攻撃の威力を軽減できる
・あなたは遠距離攻撃の射程を増加させる
・あなたは遠距離攻撃の弾道を操作できる
【ソーサラー】
・あなたは杖をうまく扱える
・あなたは魔法攻撃の威力を増加させる
・あなたは魔法攻撃の威力を軽減できる
・あなたは祝福の効果を増加させる
・あなたは呪縛の効果を減少させる
【ゼネラル】
・あなたは近接武器のエンチャントを強化する
・あなたは遠距離武器のエンチャントを強化する
・あなたは近距離攻撃の威力を増加させる
・あなたは遠距離攻撃の威力を増加させる
・あなたは魔法攻撃の威力を増加させる
【パスファインダー】
・あなたはライフを確認できる
・あなたはプレイヤーを探知できる
・あなたはエネミーを探知できる
・あなたはトラップを探知できる
・あなたはオブジェクトを探知できる
「ここでいう杖は【NOA-YS】で発掘される使い捨てのアイテムのことだよ。使用回数が設定されていて、【ソーサラー】だと確率で回数が減らなかったり、種類によっては追加効果が付いたりするっぽい」
「と、なると。ボクが【メイジ】だから【ソーサラー】を選ぶべき、みたいな短絡的な話ではなさそうですね」
ボク的には【パスファインダー】を
「私は【パスファインダー】の御札を買っておくのです!使い道があるかはわからないけど、【ストレージ】が空いてるなら持ってれば持ってるほどお得なのです」
どれを買うべきかと悩んでいたところ、メグさんの考えを聞いてはっとする。【ストレージ】の容量で言えば【アイテムマスター】のボクは家が入るほどに余ってますからね。価格に問題がなければ、使わなくても全部買い占めるべきでした。
「よし、【パスファインダー】以外の全種類を10枚ください!良さげだったら今後も買いますよ!」
「まいどありー!今後ともウチのお店をご贔屓に!」
店員さんの名前は『伝説の山田』さんですか。覚えておくとしましょう。
それからもメグさんと一緒に屋台巡りを続けていく。大半のアイテムは自分が使うには適さないものだったが、存在だけでも覚えておいて損がない。相手に使われたとき、初見でびっくりしないための準備と心構えは重要だ。
そんなことを考えていると、背後から声を掛けられた。
「やぁ、小虎ちゃんじゃないかい。お久しブリーフだね」
「その呼称、その古臭さを通り越して意味不明な語彙力――おっさんですね」