卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第511話 Welcome to Underground

 メグさんは猫ですさんとエンチャントの厳選を始めてしまった。ボクは呆れた視線を向けつつその場を後にする。大会が始まったら合流しましょう。

 

 とことこと、目的もなく会場を歩き続ける。なんとなく人混みの多いほうへ流れていくと、その奥でやたら盛り上がっている一角が目に入った。

 

 そのあたりの人たちはこぢんまりとした広場を取り囲み、中心に立つ二人のプレイヤーに声援を送っているらしい。

 

 有名なプレイヤーさんなのかな、と思ってボクも人々の視線の先を追ってみたが、あいにく知らないプレイヤーのようだ。

 

「地下民ども〜!ひれ伏せー!!!」

 

 煌めくピンク色の衣装を着た女性プレイヤーがダンボール製のステージの上で歌って踊っている。

 

「あ、あのっ……恥ずかしい……」

 

 隣の青い衣装のプレイヤーは控えめな性格らしく、手で顔を覆っている。そんな様子も周囲の方々には人気のようだ。

 

「有名なプレイヤーさんなんですかね?」

 

「は?貴様……『Welcome to Underground』を知らんのか?どこのモグリだ?」

 

「古の掲示板みたいなユニット名ですね……」

 

 そのプレイヤーさんはボクに推しを熱心に紹介してくれた。なんでもピンク色のほうがモモさんで、青色のほうがアクエリアスさんらしい。

 

 これまではゲームとは無縁のアイドルユニットだったらしいが、【フォッダー】ではそこそこ活躍し、ファンの支援も受けつつ一回戦の【サバイバル杯】を突破したらしい。

 

 ファンの支援を引き出せるのも実力ではありますからね。【ダブル杯】では直接の支援は受けられませんが、それでも要注意プレイヤーになりそうです。

 

 しばらく見ているとモモさんは【ストレージ】から一回り大きなベルを取り出し、リズムよく振りながら踊り始める。少なくともパフォーマーとしての実力はボクを超えていますね。

 

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>卍さんのチャンネル登録を外してモモちゃんのファンになります

 

>卍さんもあれくらい愛嬌があればねぇ

 

>モモちゃーん!愛してるよー!

 

>アクエリアスチャンカワイイヤッター!!

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 とはいえ明らかにエンジョイ系のプレイヤーといった様子だ。

 

 見た目を重視しているのか、未鑑定装備を採用している様子もない。布製の防具ということは、少なくとも【ナイト】ではないだろう。このゲームはどの職業であってもあらゆる装備を身に着けられるが、適正外の装備は最大限の性能を発揮できないからだ。

 

 戦闘用とパフォーマンス用で分けている可能性もあるが、今見えている情報からは考えにくい。

 

 モモさんのほうからは【バード】の詠唱をパフォーマンスに乗せている様子がうかがえる。メインは【バード】なのだろう。アクエリアスさんはずっと恥ずかしがっているので、よくわからないけど……。

 

 ブラウザを開いて『Welcome to Underground』で検索すると、【フォッダー】での活躍ぶりも見えてきた。なんでも独特な演奏でフィールドをコントロールする前衛【バード】なのだとか。面白そうですね。

 

 話してみたいとも思ったが、周囲の方々へのファンサービスに熱心なようで、その機会はなさそうだ。【ダブル杯】で戦えたら面白そうですね。

 

 

 熱狂的な人だかりから離れて、ボクは会場を練り歩く。

 

 人が集まっているところには面白そうなものがありそうだと視線を向けてみるが、そもそも近づくのも難しそうだ。特に猫姫さんが屋台をやっているエリアなんかにはとてつもない行列ができている。少し離れた場所には自動販売機が併設されているようだ。ただ、猫姫さんと直接話せればオーダーメイドも受け付けてくれるようで、やはり本人の人気は非常に高い。

 

 ボクやメグさんなんかはかなり前から依頼していたので、今日は高みの見物ですね。というよりも当日に料理を作ってもらおうなんて、さすがに準備が甘いのでは?

 

「偵察はこんなところですかね。そろそろメグさんのところに戻りましょうか。時間も近いですし」

 

 

 メグさんのところに戻ってくると、相変わらずの様子だ。きらきらと輝く氷の剣に【三ツ葉のクローバー】を貼ってはその辺に放り捨てる。猫ですさんから受け取った次の剣に、また【三ツ葉のクローバー】を貼っている。

 

「だいぶ難航しているようですね」

 

「なかなかよさげな効果が出ないのです。できれば【マクロ】系統の効果と両立したいところなのです……」

 

 メグさんのメイン武器は基本的に【マクロ】に対する補正付きですからね。ボクは打ち捨てられた氷の剣を適当に拾い、エンチャントをざっと見てみる。

 

「ほら、この剣で妥協しましょうよ。炎属性耐性が付いてますよ。まさに攻防一体じゃないですか」

 

「そんなんじゃだめなのです!大会での実用に耐えるぱーふぇくとな武器を求めるです!」

 

 あと5分で大会が始まっちゃいますよ!まあ、始まってもすぐに対戦がマッチングされるわけではないと思うが、区切りは大事だ。

 

「これじゃない、これでもない。惜しい、もうちょっと……。来た、来たのです!」

 

 うつろな表情でクローバーを貼り続けていたメグさんの瞳に光が灯る。

 

「おっ、来ましたか!じゃあ次は【四ツ葉のクローバー】ガチャですね!」

 

「……ぐぬぬ。もう四ツ葉のほうはこの際妥協するのです。てやっ」

 

 続けて【四ツ葉のクローバー】を貼り付けたメグさんは、妥協なりにそこそこのエンチャントが付いたのか、うんうんと頷く。

 

 

『はーい、みなさんお待たせしました!これより【フォッダー】公式大会の第2回戦……【ダブル杯】を開催します!』

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