卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

527 / 543
第514話 対策の対策

 ボクがスキルの宣言を行うと、空中に星が生成される。燃え盛る白い火炎を放ちながら無敵丸さんをめがけて墜ちる――。

 

 ――しかし。

 

「【アームズスイッチ】」

 

 やはりというべきか、対策された。無敵丸さんは一瞬で炎属性の耐性装備に換装し、【メテオ】を無傷で受け止めた。

 

「はっ!さすがにこんな序盤で落ちるわけにはいかねーぜ!」

 

「――いや、ここで落ちるのです」

 

 一瞬で無敵丸さんの背後へ«テレポート»したメグさんが、携えた剣を一気に振り抜く。

 

 無敵丸さんはそれだけで終わった。HPが全損し、粒子になって溶けていく。

 

「【ナイト】が近接攻撃の一撃で刈られた……!?」

 

 マイナー厨さんがバックステッポで距離を取りながら呟く。

 

 メグさんの一撃はただの近接攻撃とはわけが違う。ELMの恩恵を最大限に受けた、絶大な一撃なのだから。

 

 ――彼女の手には氷でできた剣があった。凍てつく冷気を放つその武器がメグさんの手に握られていた。

 

 あの武器はボクに対する特攻武器だ。

 

 つまり、ボクの攻撃を受け止めるために炎属性ELMを高めてきた相手にとっても、致命的な一撃になり得る。

 

 あの武器を見つけてから全力でクローバーを厳選していたメグさんは、実に目敏い。今日の【ダブル杯】でこれほど頼りになる武器は他にないだろう。

 

「ちっ……言わんこっちゃねえ……後で奢れよな」

 

 マイナー厨さんはメグさんに銃を向けると、【ダブルバレット】を発動させる。2回連続で放たれた弾丸は風を切りながら宙を駆け抜けるが――。

 

「«空間掌握»」

 

 弾丸はメグさんの周囲に展開されていた気体の領域によってあっけなく弾き飛ばされる。

 

「【アームズスイッチ】!」

 

 メグさんはすかさず武器を巨大な斧に換装し、神速で間合いを詰めてその圧倒的な質量を振り下ろした。

 

 しかしマイナー厨さんは――。

 

「銃で――受け止めたのですっ!?」

 

「これがマイナー厨たる所以よなッ!」

 

 圧倒的な質量を銃身で受け止め、そのまま勢いよく弾き飛ばす。本来ならメグさんの振り下ろしは【マクロ】であり、それ以外の何物にも止められない。裏を返せば――【マクロ】同士が衝突すれば、例外は生じ得るということだ。

 

 斧を大きくはね上げられた隙に弾丸が差し込まれるが、メグさんは«テレポート»を発動してボクのもとへ退避してくる。

 

「数的優位は得られたけど……。なかなか手強そうなのです」

 

「大丈夫ですよ。ここまではメグさんとゴブ蔵に活躍してもらっちゃいましたし……。ここはボクの面目躍如といたしましょうか!」

 

 そう宣言すると、ボクは【フェアリールビーロッド】の妖精さんに指示を出す。妖精さんはのんびりした雰囲気のままでも速度だけは光の速度で空を駆け抜け、マイナー厨さんのもとへ向かう。同時にボク自身も床を蹴って一直線に駆け出した。

 

「【ユビキタス】!」

 

 マイナー厨さんは分身を生み出すスキル【ユビキタス】を起動し、自身のコピーを作り出す。生成された分身は後方に位置取りながら【ダブルバレット】を撃ち放ち、本体は銃を鈍器扱いするかのように構えて立ちふさがる。

 

 1つの武器で2つの役割を担う(ビルド)ですか、さすがですね。

 

 風を切ってボクをめがけて放たれた【ダブルバレット】に対し、妖精さんが勢いよく体当たりする。

 

 

 小さな武器の妖精さんに対し、相手は弾丸。齎された結果は歴然だ。銃弾は勢いよく弾き飛ばされ、射線から逸れる。

 

 そのまま妖精さんはまっすぐ突進して、マイナー厨さんに肉薄する。

 

「【«リジェクション»】!」

 

 しかし彼もその程度で終わる器ではなかったらしい。周囲に衝撃波を発生させるスキル【リジェクション】を【マクロ】の優先度に合わせて起動し、妖精さんを弾き飛ばす。

 

 そのままボクと選手交代するかのように後方へふっ飛ばされていくが――大丈夫ですよ。あとは任せてください。

 

「『近接対応(てくにかる)』の手捌きをお見せしましょう!」

 

「アームズ――ちっ、舐めんじゃねえぞカス!叩き潰してやる!」

 

 現時点で攻め手に回っているのはボクだけだが、後方で凍てつく剣を構えるメグさんの圧を感じているのだろう。素直に炎属性の耐性装備に換装することを躊躇わせている。

 

 そう、この場は【ダブル杯】。たとえ1人だけを相手取る局面でも、常にもう1人の存在を意識し続けなければならない。

 

「【アブソリュート】!」

 

 肉薄するボクに対して近接(ビルド)の伝家の宝刀、【モーションアシスト】を無効化する必殺の一撃が放たれる。銃を水色に発光させながら剣のように振り抜くが――。

 

「【ソウルフレア】!」

 

 それに合わせて【フェアリールビーロッド】を叩き込み、命の灯火を爆発させる!火力勝負でボクが負けることはありえない。力技で相手のスキルを叩き潰し、絶大なる干渉力で相手を弾き飛ばす。

 

 マイナー厨さんはHPが『1』にまで減少するが、即座に【オートユーザー】を発動して全回復させる。しかしボクを相手取るのであればHPが『1』だろうが『10000』だろうが同じことだ。

 

 マイナー厨さんの分身が牽制のように【インパクトバレット】を発動させるが、【フェアリーストームワンド】から放たれた【ゲールウィンド】が容易く打ち消す。そのまま【シルフストーム】が投射を起点に炸裂し、緑の息吹が分身のHPを全損させた。

 

「くそっ、舐めやがって――!インパクト――」

 

「舐めてるのはそちらですよ」

 

 メグさんを気にしているのはわかっているが、もう一匹を軽視しすぎだ。

 

【バスターバレット】(ゴブブーゴブッブ)

 

 呟くようにゴブ蔵がスキルを発動させる。反射的にマイナー厨さんはそちらに視線を向けるが、その手に機関銃は握られていない。疑問に思った次の瞬間だった――視覚外から放たれた弾丸の一撃が彼のHPを静かに刈り取った。

 

 『ゲームセット WIN:卍荒罹崇卍&メグ LOSE:x無敵丸x&マイナー厨』




マクロその20 『リジェクション』
周囲に多大な物質干渉力を発生させるスキルである【リジェクション】を【マクロ】で起動することによって【マクロ】特有の優先度の恩恵を最大限に受けることが出来ます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。