卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
塔の壁面から無数の銃口がずらりと顔を出す――。
この手のギミックは〈魔導〉の発射機構であることが多い。だがひと目でわかった。あれは〈魔導〉由来の兵装ではない。
「メグさん!」
「【アトラクト】、なのです!」
銃口から【ダブルバレット】が発射されると同時に、メグさんが【アトラクト】を起動する。銃弾はすべて彼女へ吸い寄せられ、一点へ収束していく。
「そして、«絶対防壁»!」
無敵の防御壁が吸い寄せられた銃弾を受け止め、ボクらは無傷で弾幕を切り抜けたが――。
「まずいですね。あれはうちのゴブ蔵の上位互換の代物ですよ」
離れた箇所の銃を起動する【セミマニュアル】。うちのゴブ蔵が妖精さんと協力するために使っているスキルが、とんでもない規模の軍事兵器へ転用されている。
本来ならプレイヤーがシステム上装備できる武器には限りがある。だが【アイテムマスター】には装備数の上限を増やす【アドアームズ】がある。さすがにこれだけの銃を一度に装備できるとは思えない。それでも何らかの方法で装備する銃を切り替えながら、スキル発動の起点にしているのだろう。
【アドアームズ】
[パッシブ][パーミッション]
効果:[装備][上限数]を[増加]させる。
そんな思考を遮るように、さらに銃弾が放たれる。今度は先ほどよりひと回り大きい弾――【バスターバレット】だ。
【アトラクト】の
「【フルバーニング】!」
ボクの宣言と同時に、輝く爆炎が弾けるように周囲へ広がる。一瞬で銃弾をすべて弾き飛ばす。
「前衛とか後衛とか言ってる場合じゃなさそうですね!」
ボクは大きく踏み込み、塔の上へ跳躍する。重力を制御しながら加速し、一瞬で塔の高さを越えた。
それに合わせて塔の頂上に設置された砲台がボクをめがけてくるりと旋回する。
「【アブソリュート】、ですにゃん!」
「【ショットダウン】!」
スキル宣言が同時に発されると、
まさか2人で装備を共有している……!?
【アブソリュート】の影響で【モーションアシスト】による自動制御が失われ、手動に切り替え、〈トンネル避け〉を試みようとするが、逡巡の末にその選択肢を捨てる。【アイテムマスター】も【ガンナー】もDEXが高い
「【エレウテリア】!」
炎と風の属性を混ぜ合わせた『魔眼』の力で相殺を狙う。ボクのELMなら【フォッダー】でも最高峰の破壊力だ。
しかし砲弾は『魔眼』の暴威を受けても相殺されるどころか、速度すら鈍らないままボクをめがけて空を駆け抜けてくる。
「なっ……」
「【アトラクト】!」
動揺したボクだったが、メグさんがすかさず割って入り、攻撃を受け止めてくれた。同時に【ショットダウン】の効果を受け、彼女は地上に凄まじい速度で落下していく。
「すいません、ありがとうございます!」
「相殺は期待しないほうがいいのです!」
メグさんが落下しながらもそう叫ぶ。確かにその通りだった。このゲームには相殺を無効化して押し切る類の
潤沢なアイテムと装備を持つ新しいフォルダさんと猫ですさんなら、何が飛び出してきてもおかしくない。試合前に抱いていた警戒ですら足りなかったのだと、深く反省した。
続けて二射目の【アブソリュート】が砲台から放たれる。【モーションアシスト】は常に無効化しておきたいという構えのようだ。メグさんはこの場にいないが、もう大丈夫。
「《イグニッション》――《ガゼルフット》!」
回避の意思を込めた〈
「対策済みにゃん!【ポップガン】!」
――毒が来る。
次の瞬間、【アブソリュート】の弾がポップコーンのように炸裂し、周囲に飛散する。さすがの《ガゼルフット》でも『エリア』を対象にした攻撃は対処できない。一瞬にしてHPを『1』にまで削り取られる。
【ポップガン】
[アクティブ][投射][エリア][補助][条件:銃器][弾丸]
消費MP:4 詠唱時間:0s 再詠唱時間:60s
効果:[自身]の発動している[投射]の[ターゲット]を[エリア]として[再発動]する。
ボクはその攻撃を受けると同時に【ストレージ】から【解毒剤】を取り出して自身に振りかける。
やっぱりだ。猫ですさんならやってくると思ってた。
《ガゼルフット》の起動もむなしくダメージを受けてしまったが、
テクニックその148『ウェポンシェアリング』
【パーティストレージ】を使って共有した武器を同じタイミングで複数人のプレイヤーが装備の実行をすることで、武器を共有することができるテクニック、とのことです。タイミングがかなりシビアらしいのですが、仮にシビアだとしても同じようなタイミングでコマンドを実行しただけでこんな現象が起きるのは派手にやばいですね。