卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
次弾が発射される前に最速で攻め込む。
全能の風を身に受け、塔の最上階へ全速力で突っ込む!〈トンネル避け〉で外壁を突き抜け、部屋の中へ滑り込んだ。
部屋には猫ですさんと新しいフォルダさん、それに一面に広がる砲台たちがボクを歓迎してくれた。
「飛んで火に入る夏の虫、ですにゃん!」
猫ですさんが左手を上げて命じる。すると周囲の砲台がボクに照準を合わせ、砲弾を撃ち出す。見るからにただの砲弾ではない。強い冷気を撒き散らしながら宙を駆け抜けてくる。その様子からして、明らかに負の炎属性が付与された砲弾だ。疑う余地すらない。
けれど、当たらなければ関係ない。
「«ガゼルフット»」
先の【アブソリュート】の影響で起動できずにいた【マクロ】を改めて起動し、砲弾など無視して一直線に猫ですさんへ迫る。
〈
「おっと、俺を忘れてもらったら困るよ」
ボクの進路を遮るように新しいフォルダさんが割り込む。
忘れていませんよ。端から猫ですさんだけを先に落とそうなんて考えてはいない。新しいフォルダさんが立ちふさがることも想定済みの展開だ。
「«五月雨突き»!」
ボクは«五月雨突き»を起動し、即座に【『アイテール』】で軽く跳躍して動作をキャンセルする。動作を中断したはずなのに、6つの【アンプルアロー】がボクの前方へ射出される。狙いは新しいフォルダさんだ。
命中した瞬間、瓶が割れて中の液体が新しいフォルダさんに降り注ぐ。だが、
「【ウォーリア】の
【アンチジャマー】
[パッシブ][スイッチ]
効果:
[自身]を[対象]とする[妨害:確定]を[妨害]に[変更]する。
[自身]が[受ける][妨害]に対する[抵抗率]を[増加]させる。
そう誇示するとともに、【アームズスイッチ】で巨大な疑問符のハンマーを取り出し、大きく振るう。当然のように【アブソリュート】を込めた一撃だ。回避は困難だけど――不可能ではない。
「【『アイテール』】!」
自由の象徴たる【権能】の力で小さく跳躍して軌道を変える。新しいフォルダさんのハンマーはボクに当たることなく虚空を裂いた。そのままボクは彼の背後に回り込む。
「ちっ……」
そのまま振り抜き、ハンマーを回転させて【アブソリュート】を維持したまま次の攻撃に遷ろうとするが――。
「【ソウルフレア】!」
ボクが杖を叩き込む方が先だ。杖先から輝く炎が噴き上がり、新しいフォルダさんを呑み込むように広がる。
その威力を確かめ、ボクはバックステッポで彼から距離を取る。やはりというべきか、ほとんど効いていない。【ジョーカー】に特化している分だけ耐性には穴があると読んでいたのだが、まったくそんなことはなかったらしい。
「【魔力障壁】に【守護の奇跡】……無数の有能
ゲージは微かに減ったが……すぐさま回復に転じる。【ヒーリングエリア】が張られているのか。
「〈魔の法に則り、眼前の獲物より全てを収奪せん〉【アブソーブ】!」
バックステッポで下がった先は猫ですさんの間合いだった。すかさず
即座に【オートユーザー】でポーションを起動して回復し、そのまま猫ですさんを無視し、新しいフォルダさんを追撃する。
【フェアリーストームワンド】から放たれたのは【ゲールウィンド】だ。妖精さんが詠唱を代行し、隙なく放たれた緑の風が神速の如く新しいフォルダさんを突き抜ける。
「こっちも耐性は完備というわけですか」
風属性のスキルは火力が低いとはいえ、異様なくらいダメージが通らない。
その直後に砲台から次の砲弾が発射される。込められているのはやはり【アブソリュート】。ボクは大きく跳び上がって砲弾から距離を取るが、砲弾は追いすがるように軌道を変えて迫ってくる。
「【アトラクト】、なのです!」
澄んだ声が部屋中に響き渡ると、砲弾はくるりと旋回し、いつの間にやら部屋に入り込んでいたメグさんへと狙いを変えた。ゴブ蔵も一緒のようだ。
「分断できているうちに各個撃破したかったのですが、難しいですにゃん」
メグさんは«絶対防壁»で余裕を持って砲弾を受け止め、こちらに叫ぶ。
「卍さん!«空間掌握»!」
メグさんが【マクロ】を起動した瞬間、ボクも«テレポート»を起動する。
«空間掌握»によってメグさんの周囲から【〈パウダーホーム〉】が取り除かれ、安全地帯に変わったのだ。
メグさんの後方へ転移し、礼を言う。
「ありがとうございます、メグさん。いやー、どいつもこいつも炎属性に対する対策が万全ですよ。ボクなんかを相方にして後悔してないですか?」
「問題ないのです。お相手は誰も彼もが卍さんの対策に寄せすぎて、本来の戦い方ができていない――打ち砕くのは容易いのです!」