卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第528話 反撃の狼煙

 【シャラップ】って、【マクロ】も打ち消せるんですか!?詠唱時間(キャストタイム)なんてないんですけど!?

 

 とはいえ起きてしまえば理屈はわかる。恐らくは発動宣言そのものも詠唱時間(キャストタイム)に含まれるのだろう。

 

 原理を考えるより、この場の対処が先だ。【『アイテール』】で空を蹴りながら後退し、【エレウテリア】を撃ち放つ。指定するキーワードは『水属性』と『視界』。水を使うことに抵抗はあるが、炎と風の両方を防がれるのならやむを得ない。

 

 しかし三下さんは【エレウテリア】さえも全くの無傷で受け止め、そのまま光の如く加速する。

 

 まさか、無敵ですか!?『炎属性』『風属性』『物理攻撃』を全て防げる構成で、『水属性』まで防げるなんてありえない。

 

 思い浮かぶのは【神威:無知なる叡智】と《神なる行動(ディバインアクション)》の組み合わせによる無敵コンボだ。だが――神様以外のプレイヤーがあの領域へ容易く至れるとは考え難い。

 

【神威:無知なる叡智】

[パッシブ][ブレッシング]

効果:[認識外]の[攻撃]を[無効化]する。この[スキル]は[自身]が[効果]を[閲覧]している[場合][無効化]される。

 

「メグさん!」

 

「りょーかいなのです――【«アブソリュート»】!」

 

 ボクと入れ替わるように前へ出たメグさんが三下さんに斧を振り下ろす。しかし三下さんは意に介さずアバターで受け止め、そのまま踏み込み、メグさんを横薙ぎに振り払った。

 

 メグさんはあえて【マクロ】では受けず、その勢いのまま距離を取りつつ【ニュートラルヴァリアント】の詠唱を始めるものの、顔色は悪い。

 

 【アブソリュート】を無傷で突破された以上、《神なる行動(ディバインアクション)》である可能性は極めて低い。あの絶大な『権能』は【モーションアシスト】無しで使うにはいささか重すぎる。

 

 ここからは様々な攻撃で牽制しつつ、防御の穴を探していくほかない。だが――ボクたちが相手にしているのは三下さんだけではない。

 

「【サモン・ガイア】!」

 

「うげぇ!?」

 

 明らかに詠唱が早すぎる。近頃は詠唱そのものを踏み倒してくる輩もいたので、それよりははるかにマシだが、盤面を完全に支配されてしまった。

 

【サモン・ガイア】

[アクティブ][自身][エリア][召喚][魔法]

消費MP:28 詠唱時間:1m 再詠唱時間:10m 効果時間:15s

効果:一定時間、[ガイア]を[召喚]する。

[ガイア]は[自身]を[起点]として形成した[エリア]内でのみ活動を行う。

 

[ガイア]は以下の能力を持つ。

【グランドローディング】

[アクティブ]

再詠唱時間:5s

効果:[自身]が[形成]した[エリア]にいる[味方]に[カタパルト]を[発動]させる。この[効果]で[発動]した[スキル]は[キャラクター]の[土属性][耐性]を無視する。

【ガイアグラビティ】

[アクティブ]

効果:[自身]が[形成]した[エリア][範囲]の[任意][投射][ターゲット]を[自身]に[変更]する。また、[範囲]の[キャラクター]が[対象]となっている[スキル]の[対象]を[自身]に[変更]する。また、[範囲]の[敵][モンスター]の[ヘイト]を[増加]させる。

【支配領域】

[パッシブ]

効果:[自身]を[起点]として[エリア]を形成する。

【守護の鉱石】

[パッシブ]

効果:[自身]の[発動]した[エリア]にいる[味方]の[ダメージ]を一部[肩代わり]する。

【大地の鉱石】

[パッシブ]

効果:[自身]の[発動]した[エリア]にいる[味方]の[地属性][ELM]を[増加]させる。

 

 直後に三下さんがボクに指先を向け、【カタパルト】を連続で射出する。惚れ惚れするほど洗練された連携ですが――当たってやるわけにはいかないですね!

 

 ボクは【『アイテール』】を連発して空を蹴り、真正面から立ち向かう。〈トンネル避け〉で岩弾を避けつつ三下さんに迫り――思い切り杖を叩きつけた。

 

 その瞬間、杖先から【アンプルアロー】が放たれて炸裂し、H()P()()()()()()()()()()()()

 

「入った!」

 

 三下さんの振り払うような手刀を今度こそ«テレポート»で回避し、後方へ下がる。追撃のように迫る【カタパルト】を避けながら、メグさんに向けて叫んだ。

 

「三下さんの【権能】は()()()()()()()です!」

 

「そんなことを言われたって、厳しいのですー!」

 

 スキルによる攻撃がスタンダードな【フォッダー】ではなんとも身も蓋もない権能だ。それに加えて【マクロ】まで当然のように無効化してくるので、メグさんにとっては天敵どころの騒ぎではない。

 

 三下さんが地を蹴り、ボクに肉薄しながら呟く。

 

「――惜しいな」

 

 反応している暇はない。全力で対抗する!ボクは【オートユーザー】でHPを回復しつつ、即座に燃料へと切り替える。

 

「【《イグニッション》】!」

 

 スキルを宣言しながら、三下さんの貫手に杖を打ち合わせる。【メイジ】と【ナイト】の物理による衝突。本来なら勝てる要素は存在しない――はずだ。

 

 弾かれたのは三下さんだった。彼は大きく後方に跳ね飛ばされながらも舌打ちする。HPゲージは60%を割っており、【メイジ】の物理攻撃でここまで通せたと考えれば上出来だろう。

 

 そんなボクの頬を横から【カタパルト】が掠める。この場で岩弾を使えるのは、三下さんだけではない。視線を向けると、負け犬さんが陣取っていて――その横からさらにメグさんが斧を叩きつける。

 

「こっちは私に任せるのです!」

 

「了解です!」

 

 お互いに相性のいい相手を別々に狙う。これも【ダブル杯】での戦い方ですよね!

 

 三下さんに視線を戻し、ボクは【フェアリールビーロッド】を構える。

 

「さて――『近接対応(てくにかる)』たる所以を、お見せしましょうか!」

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