卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
しかし次の瞬間、ボクの左腕が三下さんの手刀によって切り落とされた。盛大に血が吹き出し、ボクは動揺する。
「いっっったぁ!?」
予想だにしなかった感覚に思わず声が漏れる。アバターを切られるだけならまだしも、痛覚まで与えてくる!?いったいどんなからくりですか!?
さすがに腕を切られるほどの痛みを受けて、《
切られた腕そのものが存在しないアバターに切り替えたためか、痛みはすっと落ち着いたが、精神は乱れっぱなしのままだ。だがさらなる追撃の〘ロケットパンチ〙が眼前に迫る。
「《運命変転》!」
気分転換も兼ねて力強く宣言し、〈トンネル避け〉で迫りくる拳を回避する。絶好調の気分に切り替わったためか、容易くすり抜けることができた。
そのままくるりと振り返り、きゅーとなおめめで三下さんを見据える。
「〈禍眼よ、見据えし者の力を蝕め〉【イービルアイ】!」
【イービルアイ】
[アクティブ][キャラクター][視界][攻撃][魔法]
消費MP:6 詠唱時間:5s 再詠唱時間:30s 効果時間:4m
効果:[効果時間中][視界]の[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。
しかしやはり当然のようにダメージは0だ。
やはりこの圧倒的な防御性能は【
一方で、ボクの腕を切断した一撃はシステムによるものとは思えない。プレイヤーに痛みを与える攻撃が正式実装されているとも思えない。この大会の開催前にユーキさんが警告していた免責事項のバグ技か――。
「【引力】!」
しびれを切らした三下さんが、鋭く拳を突き出しながら【引力】を起動する。キャラクターを強制的に吸い寄せ、〈トンネル避け〉を封じられる便利なスキルだが、わかっていれば通じない。
【『アイテール』】を多段起動して瞬間的に加速し、スキルの強制的な引き寄せを無視して強引に距離を取る。あらゆる条件を無視して跳躍できるこの【権能】の前では、移動制限などまるで無意味だ。移動を兼ねた跳躍で全能を起動し、牽制のための強風まで生み出した。
刃のような突風が三下さんのHPを細かく削っていく。だがやはり足りない。【黙想】持ちの【モンク】を倒すには、この程度の小細工ではお話にならない!
しかしいつまでも躱し続けてはいられない。«テレポート»で眼前に詰め寄った三下さんが手刀を振り下ろすと、アバターの隅っこが薄く削り取られる。
このままでは勝ち目がない。大きく後方へ下がりながら、ボクは相手の【
スキルを無効化するスキル。その効果に例外はないのか?
――そんなはずはない。【権能】とはいえど――むしろ【
「【正拳突き】」
後方から迫りくる〘ロケットパンチ〙の圧力を感じながら、ボクは動いた。これが決まらなければ、なす術はない。だからこそ絶対に決める!
「【イグニッション】――【エレウテリア】!」
風の魔眼が刹那にも満たない間に三下さんを鋭く貫く。どうやら【パインサラダ】は使っていなかったらしい。一瞬でHPが全損し、粒子となって溶けていく。
「よし!」
ボクが【エレウテリア】のキーワードとして設定したのは『視界』――それと『オーソリティ』。後者は【
【
ボクの相手を無事に仕留めたところで、メグさんへ視線を向ける。
メグさんはすでに両腕を落とされ、武器を取り落としたまま耐え忍んでいた。
ボクは【『アイテール』】を起動して加速し、メグさんのもとに向かう。
「だ、大丈夫ですか!?」
「あんまり大丈夫じゃないけど……まだいけるのです。それより、腕を拾ってきてほしいのです」
「……わかりました」
ボクは空を踏み鳴らして全能を起動し、遠くに飛ばされていたメグさんの腕を引き寄せていく。
もちろんその隙を負け犬さんが見逃すはずもない。負け犬さんの周囲には無数の〘ビット〙が浮かび、それぞれが投射スキルを打ち放つ。
「【アトラクト】っ!」
メグさんはそれらすべてを引き寄せ、«絶対防壁»を呼び出す。【マクロ】はいかなる状況でも動作を再現する。腕がないにもかかわらず、防壁はメグさんの前に張り出され、すべての攻撃を受け止めた。
ボクはその間にメグさんの腕を回収することに成功するが――。その断面を見てから少し逡巡してメグさんへ告げる。
「ダメですね、少なくともこの試合中にくっつけるのは難しいですよ」
「なぜなのです?」
「断面が〈
【『ムネーモシュネー』】
[パッシブ][パーミッション][オーソリティ]
効果:[オーソリティ][以外]の[スキル]を[無視]できる。
あらゆるスキルを実質的に無効化することができる【
ただし本質的には『無効化』ではなく『無視』。しかも『できる』なので
無視してもいいし、しなくてもいい。1つのスキルにメリットとデメリットがあるなら、メリットだけを受け取って、デメリットを無視できるのだとか。
〘Code:Rods from God〙の互換的な〈
ドローンのサイズを大きめに設計することで、〈魔導〉だけではなく
スキルの発動起点としても使用できるようにする設計のようですね。