卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第531話 魔眼対決

 その断面を見て、少し逡巡してからメグさんへ告げる。

 

「ダメですね、少なくともこの試合中にくっつけるのは難しいですよ」

 

「なぜなのです?」

 

「断面が〈進化(エボルド)〉させられてます」

 

 メグさんの腕の断面は上位次元の()()に変質しており、すでに物質ではなくなっている。無理やりくっつけようとしても、断面以外の部分で接合するしかなく、腕の可動は相当に不安定になるだろう。

 

 そんな分析をしている間にも、負け犬さんは動いている。

 

「【サモン・アネモイ】!」

 

 次の瞬間、魔法陣が形成され、【アネモイ】が呼び出される。やはり極端に短い詠唱時間(キャストタイム)が厄介ですね……。

 

【サモン・アネモイ】

[アクティブ][自身][エリア][召喚][魔法]

消費MP:28 詠唱時間:1m 再詠唱時間:10m 効果時間:15s

効果:一定時間、[アネモイ]を[召喚]する。

[アネモイ]は[自身]を[起点]として形成した[エリア]内でのみ活動を行う。

 

[アネモイ]は以下の能力を持つ。

【アネモイストーム】

[アクティブ]

効果:[味方]が[発動]した[投射][魔法]を[起点]として[エリア]を[形成]し、[範囲]の[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。[キャラクター]の[風属性][耐性]を無視する。

【支配領域】

[パッシブ]

効果:[自身]を[起点]として[エリア]を形成する。

【疾風の軌跡】

[パッシブ]

効果:自身の[発動]した[エリア]にいる[味方]の[詠唱時間]を[低下]させる。

【祝風の軌跡】

[パッシブ]

効果:自身の[発動]した[エリア]にいる[味方]の[再詠唱時間]を[低下]させる。

【暴風の軌跡】

[パッシブ]

効果:[自身]の[発動]した[エリア]にいる味方の[風属性][ELM]を[増加]させる。

 

 【アネモイ】の顕現と同時に、負け犬さんの周囲に漂う〘ビット〙から無数の投射攻撃が放たれる。【アネモイストーム】の起点にするつもりだろうが――そうはさせない。

 

 ボクが視線を向けるだけで、【エレウテリア】の暴威が視界の全てに撃ち放たれ、風の魔眼が攻撃を相殺していく。暴威の対象は負け犬さんも例外ではないが――。

 

 彼が【ストレージ】から()()()を取り出すのを察知し、反射的に目を閉じた。

 

 瞳は閉じていても、《『心眼』》で感じ取れる。あれは鏡だ。

 

 同時に鋭い刃のようなものが迫ってくるのを察知する。

 

「あれに当たってはいけないのです!」

 

 スキルではないので【アトラクト】で引き寄せることもできない。メグさんも万全ではない以上、ボクが対処するしかない。

 

 ボクは空間を強く踏みにじって、同じような鋭い刃を生成し、力強く射出する。刃は刹那の間に宙を駆け抜け、負け犬さんの放った刃と衝突するが――勢いを弱めることすらできず、一方的に砕かれる。

 

 極めて高い練度の全能――いや、違う。

 

「〚アンチマジック〛!」

 

 ボクが〈魔導〉を発動させると、刃は即座に跡形もなく消える。

 

「え、〈魔導〉だったのです!?」

 

 以前にも似たようなものを見た覚えがある。なんなら動作原理まで同じようだ。負け犬さんを《『心眼』》で見据えると、右目に膨大な魔力が凝縮されているのがわかる。

 

 『固有魔導』を起動する《『魔眼』》だ。

 

 その瞬間、《『第六感』》が危険を感じ取り、ボクは考えるよりも先に前へ出る。直後、先ほどまでボクがいた場所に鋭い刃が生成されていた。

 

 アバターを損傷させる上位次元の刃だ。ダメージ自体は耐えられても、迂闊に受けるわけにはいかない。

 

 ボクは詠唱を始めながら弾丸の如く負け犬さんへと加速する。

 

「【パワーアップ】なのです!」

 

【パワーアップ】

[アクティブ][キャラクター][炎属性][支援][魔法]

消費MP:2 詠唱時間:5s 再詠唱時間:30s 効果時間:4m

効果:[キャラクター]の[物理威力]を[増加]させる。

 

 すかさずメグさんが後方支援に回ってくれる。炎属性の支援(バフ)魔法である【パワーアップ】はボクの高いELMによって強化され、前衛としては及第点の物理戦闘力を引き出す。

 

「«五月雨突き»!」

 

 ボクの後方に『マクロシャドウ』が出現し、【アンプルアロー】を連射する。本来なら動作が終わるまでは身動きが取れなくなるが、【『アイテール』】で強引にモーションをキャンセルし、矢を放ったという結果だけを受け取った。

 

 【アンプルアロー】はボクより先に宙を駆け、負け犬さんへと襲いかかる――。

 

 しかし負け犬さんに当たる直前、矢は向きを変えて明後日の方向へと飛んでいく。ボクの〈流水誘導〉を上回る出力で、射線を操られたのだ。

 

 そのまま【アンプルアロー】はくるりと急旋回し、ボクめがけて跳ね返ってくる。

 

 ボクは一瞬だけ瞳を開き、【エレウテリア】の暴威を解き放つ。【アンプルアロー】は風の魔眼によって一瞬にしてばらばらに砕け散った。

 

 負け犬さんの持つ鏡のせいでボクにも多少のダメージは入ったが、問題ない。むしろ【煈颷の刻印】のトリガーになった。

 

【煈颷の刻印】

[パッシブ][オート][スイッチ] 再詠唱時間:0s 効果時間:30s

効果:[風属性]を[受けた][場合]は[炎属性][ELM]を[増加]させる。

[炎属性]を[受けた][場合]は[風属性][ELM]を[増加]させる。

それぞれ[1回]まで[適用]され、[発動]の[度]に[効果時間]は[リセット]される。

 

 その勢いのままボクは負け犬さんに肉薄し、至近距離から【アンプルアロー】を撃ち放つ!今度の【アンプルアロー】は火炎瓶で、ボクのELMによって決して無視できないダメージになるはずだ。

 

 さすがの彼もこの距離では矢を逸らせなかったようで、火炎瓶が炸裂してHPゲージを大きく削り取る。よし、このまま押し切って――。

 

「【【【【リジェクション】】】】」

 

 その瞬間、負け犬さんを起点に衝撃波が生まれ、圧倒的な物質干渉力によって()()()()()()()弾き飛ばされた。

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