卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
メグさんに可愛がられながら、トーナメント表を確認する。おっさんやテトリスさんと戦うことを前提に考えていたが、案外普通に負けてるかもしれない。
そう思いつつ次の対戦相手を確認したが、普通におっさんとテトリスさんだった。
「『決勝で会おう』なんて約束をすると、どちらかが普通に敗退する、みたいなジンクスもありますが、今回は、ある意味で予定調和でしたね」
ジンクスというか、俗にいうフラグというやつですけど。今のところボクの《『第六感』》は外れたことがない。ある意味では全く心配していなかったが、されど《『第六感』》。根拠もないものを全面的に信頼するのもどうかと思う。
「それにしても、卍さんはすごいのです。ついに恐怖だけで外傷を与えられるようになったのです」
「乱用はしませんけどね。痛みを与えるテクニックなんて、あまり使うものじゃありませんし」
考えてみれば『傷』や『痛み』なんてものは恐怖との親和性が非常に高い。むしろ恐怖の根源に近しいものだ。
とんでもない化物が目の前にいたとして、なぜ人はそれを恐れるのか? 『クトゥルフ神話』の文脈では『理解できないもの』に対する恐怖ということになるが、一般論としては、『危害を加えられるかもしれない』からこそ怖いのだ。
とはいえ、《SANチェック》という〈
こういう使い方をしすぎると、〈
要は、《運命変転》を1日1回しか使えない縛りと同じだ。実際にはできないこともないが、躊躇するし、縛りを緩めていくと、だんだん軽視するようになってしまう。
そんな感じで説明したが、メグさんには難しかったようだ。
「使えるけど使わない……。うーん、難しいのです」
「まあこういうのはその人が原義をどの程度重視しているかによりますからね。緩い性格の人なら平気で逸脱できるし、独自解釈もしてくるでしょう」
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>元ネタがある言葉は使いづらいってことだね
>確かにオリジナルの座右の銘なら関係ないな
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「ですね。《
恐らく【フォッダー】のほとんどのプレイヤーにとって、あの〈
全能たる神の御業としての言葉だったはずなのに、ありえないほど劣化してしまっている。かわいそう。
「メグさんもなにか心に残っているフレーズとかないんですか? 【ダブル杯】の決勝戦ですし、燃えるふれーずを持ち出しておっさんたちを圧倒しましょう!」
「えー? 特に思いつかないのです。【マクロ】は好きだけど、〈
「オリジナルの言葉でもいいんですよ。なぜ【マクロ】が好きなのかという根源的な理屈とか――なーんて、そんなにすぐ思いつくわけないですよね」
ボクがそう言うと、はっとしたような表情を見せ、そのまま考え込んでいた。
最終戦の開始までのごくわずかな時間で思いつけるかはわからないけど、試してみるだけの価値はありますからね。
先ほど戦った負け犬さんも三下さんもかなりの強敵だった。【フォッダー】で勝利するため、あらゆる策を弄していたように見える。全身を改造し、『固有魔導』までも行使していた。
挙げ句の果てに、『固有魔導』で作り出した刃を物質として再構成していたようにも見える。そういう技術もあるのかと、ただただ感心するばかりだ。
「〈魔導〉を物理法則に落とし込む……とんでもない技術ですね。小手先のテクニックではなく、純然たる科学技術なのでしょうか」
「突然何を言い出したのです??」
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>卍さんは独り言が多い
>心の中でも実況してるから脈絡がない発言をしてることに自分でも気づいてないらしい
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「失礼な。みなさんなら〈ロールプレイング〉で思考の文脈を読んでくれると思っただけですよ」
『んなわけねーだろ』『馬鹿かお前』『卍さんのチャンネル登録外します』と流れてくるコメントを尻目に、戦いの始まりを待つ。
「なんか始まりませんね??」
「なんでなのです? もう対戦カードが決定してるはずなのです」
対戦カードが決まってるなら、別に試合が終わるまで時間がかかっているわけではないということだ。おっさんとテトリスさんも、ボクたちと同じように競技エリアへの転送を待っていることだろう。
『すいません。設備トラブルです! 陰謀とかじゃないです! 異世界からの侵略とかでもないです! 直すまで待っててください!』
などとユーキさんの声が聞こえてきた。よっぽど疑われたくないのだろうけど、ユーキさんと【フォッダー】には前科が無限にありますからね……。