卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
僅かな後隙をついて彼の後方に転移したメグさんの斧が、その首を一撃のもとに刈り取った。
《
ボクはおっさんに目を向けた。メグさんもくるりと旋回しながら、斧を向ける。
「せっかく
そう言いながらおっさんは【アームズスイッチ】で1本の杖を取り出した。多人数に
おっさんが杖を振るうと、一条の光線が空を裂いて突き進む。一見すると『投射』に見えるが、その性質は『エリア』。周囲に稲妻を撒き散らしながら、小規模なドーム型のダメージ判定を炸裂させていく。
明らかに強力な攻撃だが、お手軽に出せる通常攻撃というわけでもないらしい。彼が握っていた杖が粒子になって溶けていくのを観測した。
「«テレポート»!」
大きく右に転移して射線から逃れるが、光線は小刻みに軌道を修正してボクを狙う。
おっさんは続けて杖を取り出し、メグさんに向けて光線を撃ち放った。
「«絶対防壁»――」
直線の攻撃なんてメグさんの«絶対防壁»の前ではそよ風に等しい。だからこそおっさんがそんな無意味な技を撃つはずがない。
光線は完全無敵の鉄壁をすり抜け、メグさんに直撃――せず、さらにすり抜けて明後日の方向に飛んでいく。
「あれ?」
「《ガゼルフット》なのです!」
やはりメグさんはボクの〈
ボクも安心して自分自身の危機に対処できる。
あちらの光線と違って、ボクに向かってきている攻撃は『エリア』型。《ガゼルフット》で綺麗に躱しきるのは難しい。迎撃するべきだ。
稲妻を撒き散らしながら迫りくる光線に対して、ボクは指を鳴らす。ただそれだけで巨大で鋭い刃が形成され、勢いよく射出された。
刃は光線に当たると同時に甲高い音を立て、粉々に炸裂する。完全に力負けした形に見えるが、炸裂した破片が意思を持ったかのように光線を遮ると、光線もまた急速に力を失って溶けるように消えていった。
「全能に負けた!? そんな馬鹿な!」
これは単なる全能ではない。負け犬さんが使っていた力を忠実に再現して構築した最強の刃だ。組成がわかれば誰でも簡単に作れるけどね。
斬れないものでも斬れてしまうと錯覚させるほどの武器としての完全性は、時にシステムすら凌駕し得る。まったく、これを作った人は天才ですね。
「【イグニッション】」
すかさずボクは自分が信頼する最強の
「«五月雨突き»!」
瞬間的におっさんの前に転移したメグさんが、文字通り目にも留まらぬ六連撃を放つ。
本来なら【マクロ】の出力そのものを【イグニッション】で引き上げることはできない。
しかし今は【ニュートラルヴァリアント】によって通常攻撃そのものがスキルとしての性質を帯びている。
ボクの
『ゲームセット WIN:卍荒罹崇卍&メグ LOSE:凸テトリス凹&おっ』
『最終トーナメント 出場決定!』
「やったやった! やりましたよー! これで最終戦に出られます!」
「お疲れ様なのです! 今日は疲れたのです。ログアウトしてゆっくり休むのです」
「えー? これからお祝いしないんですか?」
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>風呂あがったらなんか勝ってた
>【悲報】卍さん、全能に魂を売る
>最初から最後までずっと耐性に苦しめられてたな
>これメグさんがいたから勝てたけどシングルだと勝ち筋なくね?
>そんときゃ刃を連射して勝つだろ
>卍さんが全能連打で戦うわけないだろ!!!!!11
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確かにコメントの言うとおり、窮屈な戦いが多かったですね。炎属性だけならまだしも、サブとして運用している風属性まで対策されるほどでした。
最後の【シングル杯】に向けて、さらなる戦術を固めていかなければなりませんね。
「小虎ちゃん、メグさん」
ふと呼ばれて振り返ると、そこにはおっさんがいた。
「勝たせてもらいましたよ」
ボクがそう言うと、おっさんは僅かに沈黙した後、
「悔しいね、届かなかった」
「大丈夫なのです。卍さんは責任をとって【シングル杯】で倒しておくのです。私が」
メグさんが倒置法で宣言すると、おっさんは苦笑する。
「だったら、【OA-YS】の装備を提供するよ。対価は貰うけどね」
おっさんがそう言いながら【ストレージ】の中を探し始めると、テトリスさんがやってきた。
「もったいない! 【OA-YS】をプレイしてもらう動機になるじゃないか! 装備は自分で掘るのが醍醐味だよ!」
テクニックその158『最強刃』
これはテクニックというよりも、最強の刃を作るための設計ですね。負け犬さんが作った刃の構造を全能で再現することで、理外の強度を得ることができます。加えて、その刃を意図的に炸裂させることで、総合的な威力がさらに向上します。量子単位の鋭利な刃による手数で攻めるイメージですね。どうしてこの構造がすぐれているのかはよくわかりません。ボクは強い組成を再現しただけなので。