卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
急に味が劣化してしまった【まろやかピリ辛オムカレー】をもぐもぐと頬張りながら、周囲の席を見回す。
やはり周りの人も困惑しているらしい。逆にこれまでOKだったのはなんだったのかと騒いでいる。もっともな主張である。
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>卍さんが配信したからバレてしまった
>マジかよ卍さん最低だなチャンネル登録外します
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「い、いや! たまたまですよ! ボクは悪くないです!」
確かにタイミングとしてはぴったりだ。ぴったりすぎて作為的だとまで思えるが、偶然のはずである。ボクが知っていた味覚の規制の話や、【フォッダー】でそれが許されていたという事実も、別にボクが提唱しているわけではなく、ただのネット上の定説である。
「おい。デモをするべきじゃないか??」
レストランの中で、誰かがぽつりと呟いた。
「その通りだ、俺たちの楽しむ権利は侵害されるべきではない!」
その声に同調して、人々は勝手に盛り上がっていく。ボクはそれを横目に、【まろやかピリ辛オムカレー】を食べ続けていた。
「そもそも《SANチェック》が許されてるのに痛覚程度で制限するのもおかしな話だろ!」
「おっと、飛び火してきましたね」
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>正論なんだよなぁ
>人体が勝手に進化するゲームの時点で規制しろ定期
>どうすんだよ、それで規制されたら
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「よーし! これからみんなで大規模デモオフ会するぞ!!!」
「おー!!」
そして集団はどこかに立ち去っていった。デモをするのは別に自由ですけど、どこに抗議するんでしょう?
「あ、すいません。お会計を――あれ?」
ボクも店を出ようと立ち上がって周囲を見渡すと、給仕さんがいない。
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>デモに参加しに行ったよ
>店員さんにとっても死活問題だからね仕方ないね
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おいしい料理を出すと評判のお店なら、NPCさんにも誇りがあるでしょうからね……。
まあボクにとって料理の味はゲームの必須条件ではない。ボクが軸足を置いている要素がナーフされなければそれで――。
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【重要なお知らせ】
法的機関からの指導により、人体に著しい影響を及ぼす【モーションアシスト】への指示に制限を設ける事が決定しました。
今後は〈
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「はぁ?」
視界に入ってきた次なるナーフの宣告に、唖然とした。これは大会中にやっていいことではない。ナーフ前後で環境が一変してしまう。百歩譲って、大会が終わった後でなら構わないが、ここまで長々と続けておいて、それはないだろう。
「これは抗議デモですね。さすがにキレました。ユーキさんにメールボムを送りましょう」
先ほど抗議に出かけた人の気持ちがよくわかった。ユーキさんがあくまで法的機関の指導を受けた側なのもわかっているが、それとこれとは別だ。法的機関とやらに抗議するよりは、まずユーキさんに文句を言うべきだろう。
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卍荒罹崇卍
〇月x日 10時30分
大会の開催期間中にバランス調整しないでください! そもそもいまさら人体への配慮とか必要なくないですか? 手遅れですよ。
フォッダー運営
〇月x日 10時31分
いつもフォッダーをご愛顧くださり誠にありがとうございます。運営のユーキと申します。
ご報告いただいた件についてですが、それは仕様となっております。
今後ともフォッダーをよろしくお願いします。
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【フォッダー】のお問い合わせ機能で抗議してみたが、いつもどおりのメールが返ってきた。ユーキさんは返事こそ自動送信に任せているが、それとは別に、お問い合わせの内容はちゃんと読んでいるらしい。送らないよりはマシだろう。
さて。さすがにすぐ戻ることはないだろうし、ナーフ範囲を確認しておきますか。
キッチンのほうを探してみたが、NPCさんは1人もいなかったので、仕方なく店を出る。すると、視界に通知が表示された。
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【システムメッセージ】
無銭飲食が検知されました。
あなたの数々の悪行を考慮した結果、『指名手配』されることになりました。
現在、多額の懸賞金がかけられており、倒されると同時に『牢獄』マップへ移動します。
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「ちょっと! 店員さんがいないんだからしかたないじゃないですか!」
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>草
>マジかよ卍さん通報したわ
>これは炎上しますね
>さっそく討伐しにいきます!!
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「これはバグですよ! 修正されるべきです!」
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卍荒罹崇卍
〇月x日 10時31分
飲食店で食事をしたあと、NPCの店員さんがいなくなってしまったのでやむを得ず支払わずに店を出たら、指名手配されました。修正してください。
フォッダー運営
〇月x日 10時32分
いつもフォッダーをご愛顧くださり誠にありがとうございます。運営のユーキと申します。
ご報告いただいた件についてですが、それは仕様となっております。
今後ともフォッダーをよろしくお願いします。
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「もう!!!」