卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
【シルフストーム】に【追撃のカノン】を組み合わせて連続ダメージを与えていくが、やはりスライムのHPが高すぎる。ゲージが削れていくのが目に見えるだけまだマシだが、やはり炎属性で圧を掛けていく必要がありそうだ。
そう判断して【フルバーニング】を起動しようとした瞬間に、スライムが目にも止まらぬ速さで距離を詰めてくる。
「わわっ」
反射的にバックステッポで飛び退くと、入れ替わるようにゆうたさんが盾を取り出しながら前へ出て受け止める。
「«絶対防壁»!」
【マクロ】の力により、スライムの物質干渉力を正面から受け、
「【【リジェクション】】!」
同じスキルを複数同時に起動することで、強烈な衝撃波を発生させ、強引に跳ね返した。
やはりゆうたさんはさすがですね。ほかのプレイヤーたちが主軸としている戦い方を取り込んで効果的に活かしています。
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>スキルの多段起動ができるんか
>AIやMultaの特権じゃなかったっけ?
>卍さんもやってた気がするし、がんばればできるんでしょ
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「今のゆうたさんの動きは〘Multa〙とはちょっと違いますね。彼らは完全に同期させてスキルを宣言することで、
「解説してる場合か!」
スライムが大きく
「【《イグニッション》】――」
ボクが着火を宣言するのと同時に、ゆうたさんは【アームズスイッチ】で装備を換装する。相変わらず未鑑定の防具で見た目に変化はないが、間違いなく炎属性耐性の装備だ。
スライムが再び凄まじい勢いで突進してくるが、ゆうたさんは受け止めず〈トンネル避け〉ですり抜ける。そのままボクの方へ向かってくる巨大な敵を前にして、ボクは呟いた。
「【フルバーニング】」
瞬間、銀色の爆炎が空間を制圧する。極長のHPゲージは一瞬にして黒に染まり、スライムは粒子になって溶けていった。
「よし、楽勝でしたね」
「その火力が無ければかなり手こずっただろうな。対モンスターには滅法強い
「それ、対人では弱いって言ってます?」
炎属性に特化してるプレイヤーがいるから炎属性の対策をしよう、というモンスターはなかなかいないですからね。少なくとも対モンスターと対人のどちらで強いか? と聞かれたら対モンスターのほうであることに疑いの余地はない。
「ぷちも頑張ったぷち!」
「そうですね。ありがとうございます。桜餅プチさん。……あれ、【フルバーニング】に巻き込まれてませんでした?」
ゴブ蔵のほうは普通に巻き込まれて骨になっている。桜餅プチさんの特殊能力だろうか。
「おっ、【カード】が手に入ったぞ」
考察しようとしたところで、ゆうたさんが戦利品を報告してきた。
「えっ、いいなー。多重【ネームド】の【カード】は【フォールダウン】でも【転生】でもかなり使えますからね。ボクのほうは――」
【ストレージ】を確認すると、水属性のELMを大きく引き上げて炎属性のELMを下げるというカスみたいな剣が入っていた。ハズレですね。
「こっちはハズレアイテムでした。【ストレージ】に入ってること自体が悍ましいくらいのハズレアイテムでした」
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>かなり強くて草
>いますぐ水属性ビルドに転換しろ
>【悲報】卍さん、強い装備の区別がつかない
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コメント欄が騒がしいが、ハズレアイテムであることに疑いの余地はない。軽く流して、ダンジョンの攻略を再開しよう。
「頑張るぷち!」
それからは強敵が出ることもなく、【フルバーニング】で大量のモンスターを一掃しながら進んでいき、無事に脱獄に成功した。
ダンジョンから出ると、そこは【ディスポサル城下町】の噴水前。いつも通りの景色だ。しいて言うなら噴水がやる気を出す時間帯のようで、いつもより激しく水を辺りに散らしている。
「さて、無事に脱出できましたね」
「そうだな。次の予定は考えていないが、荒罹崇は何かあるか?」
「とりあえず桜餅プチさんの育成ですね。それからは適当なPvPに参加して場を荒らします。野良試合も重ねていきたいですね」
「わーいぷち」
「随分と過密なスケジュールだな。なにかあったのか?」
「……いえ、なにもないですよ?」
《SANチェック》を使い倒して人類の耐久性能を測る、とは言わない。極めて自然に連発していくつもりだ。
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>普段ならまったり観光ばっかりしてる卍さんがPvPに精を出す……?
>最終戦が近いしね
>また何か陰謀が渦巻いているに違いない
>怪しい
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「まあひとまずは『超高層射撃支援型展望台コメット』で桜餅プチさんに遠隔射撃をしてもらいますよ」
そう言ってコメットの最上階に«テレポート»で移動すると、ゆうたさんも後から転移してきた。