卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第557話 二人ぼっちのパーティプレイ

「まあひとまずは『超高層射撃支援型展望台コメット』で桜餅プチさんに遠隔射撃してもらいますよ」

 

 そう言って«テレポート»でコメットの最上階に移動すると、ゆうたさんも後から転移してきた。

 

「おや、ゆうたさん。ついてくるんですか?」

 

「ついてきちゃ駄目なのか?」

 

「いや、ダメじゃないですよ、歓迎です!」

 

 普段は特に目的もなくついてくる人じゃないから、気になっただけだ。たまにはそういうこともあるのだろう。

 

「1人で配信するより2人のほうが楽しいですからね! 代わりにゆうたさんにもトークに参加してもらいますよ!」

 

「いいぞ。荒罹崇と話すのは楽しいからな」

 

「なんか急に恥ずかしいこと言いだしましたよ、この人」

 

 ちょっとだけどきどきしたのをからかうような口調で流しながら、望遠鏡に近づく。

 

「初見さんには説明しておきますね。この望遠鏡は【フォッダー】中のあらゆるモンスターに遠距離攻撃ができる射撃装置でもあるんですよ」

 

 『視界』を条件に発動するスキルを離れたところに撃ち込める。望遠鏡自体はなんの変哲もないものだが、展望台と組み合わせることで、マップを徘徊するモンスターに安全な位置から攻撃を仕掛けられるのだ。

 

 望遠鏡の横には組み換え用のレンズが置かれていた。それぞれに『視界』型の能動(アクティブ)スキルが込められているようで、自前のスキルがなくても展望台の力を十全に発揮できるようだ。

 

「それでは桜餅プチさん――おや、いなくなってますね。【桜餅プチさん召喚】!」

 

「ぷちー!」

 

 効果時間が切れてしまっていたようなので、再び召喚する。一方でゴブ蔵は平然と召喚を維持したまま後をついてきていた。

 

 これはゴブ蔵を召喚すると【吸血悪鬼の機関銃】がゴブ蔵の所有物になるという特殊仕様に由来しており、一度彼を召喚したあとはゴブ蔵が勝手に召喚スキルを発動して効果時間を延長してくれるのだ。

 

 特にスキルの説明にはそういう仕様は書いてない。装備に由来するスキルなのに挙動が違うのはちょっと不思議。

 

 幸いにして【桜餅プチさん召喚】は詠唱文の長さの割には実詠唱時間(キャストタイム)が2.5秒とやたら短いので、戦闘中にちょこまか召喚しても不便はなさそうだ。

 

 逆にゴブ蔵は召喚しておけば以降は勝手に管理してくれるけど、初回の詠唱時間(キャストタイム)がちょっと長い。

 

「――ということみたいです。召喚系スキルにも個性がありますね」

 

「ゴブゴブ」

 

----

>自分で召喚を延長するの半分バグだろ……

 

>仕様だぞ

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「というわけで桜餅プチさん! 望遠鏡を覗いてみてください! で、適当なモンスターに攻撃してください!」

 

 桜餅プチさんを手で持って望遠鏡を覗かせてあげると、自分からレンズにぴったりとくっついた。そのまま支えていると「支えなくても大丈夫ぷちー」と言うのでそっと離したら、レンズに張り付いたまま望遠鏡を覗き続けている。すごい。

 

「これでボクらはしばらくゆったりしているだけで、レベル上げが終わりますね」

 

 ふと見るとゴブ蔵も望遠鏡を覗いて狩りを始めていた。ゴブ蔵はいまさらコメットで狩りを続けてもレベルはそう簡単に上がらないけど、それでも自己判断で動いてくれるのが彼の良いところだ。

 

「そういえばゆうたさん、次に開かれる有力なPvPのイベントとかってありますか? 諸事情があって、対人を重ねておきたいんですよね」

 

 別にノルマがあるわけじゃないが、できるだけ様々なパターンで《SANチェック》を行使しておきたい。さっきの【牢獄】では十分な成果があったけど、まだまだサンプルが必要だ。

 

「直近にはないな。【パーティ杯】が近々開かれる予定だが、報酬も代わり映えしないし、出場者は少ないだろう。本選は【シングル】だから【パーティ】で戦っても経験になりづらいのもある」

 

「そうですか……。それなら野良でPKでも重ねていきましょうかね」

 

「目的はなんだ? やはり本選に向けた研究か?」

 

「誰でもいいから他人を恐怖に陥れたいんですよねー」

 

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>草

 

>こいつ、イカれてやがる……

 

>チャンネル登録外しました

 

>ついにおかしくなった

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「それなら【パーティ杯】に出る意味はあるだろうが……」

 

「いえ、メンバーを集めるのに苦労しますからね。やめておきますよ」

 

「――二人で出るという手もあるぞ」

 

「はい?」

 

「【パーティ杯】は【パーティ】を結成していることが条件で、その参加人数は問われない。俺と荒罹崇で組んで優勝を目指すことも理論上は可能だ。今回は有力候補も出張ってこないし、意外といけるんじゃないか?」

 

 さも当然のようにそんな事をのたまうゆうたさんを前にしてたじろぐが――考えてみれば悪くない。

 

 そもそも先程も【牢獄】で多人数を一方的に潰してきたところだ。人数の不足はゴブ蔵や桜餅プチさんで補うこともできるし、他のプレイヤーが常識的なら6人のチームを組んでくるはずだから、《SANチェック》の実験台になってくれる対象も多い。

 

「いいですね。ゆうたさんがよければですけど――一緒に優勝、目指してみませんか?」

 

「当然だ」

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