卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第558話 邪神の呪い

 ゆうたさんと【パーティ杯】で一緒に戦う約束をした。それなら大会までに桜餅プチさんが実戦級になるようレベルを上げていかないとですね。

 

「もちゅもちゅ」

 

 桜餅プチさんは今も望遠鏡を動かしながらせっせとレベル上げを続けている。

 

 ただ、『コメット』はあくまで初期レベルから安全に育てるための手段であって、レベル上げを加速させる装置ではない。ほどほどのところで実戦にも連れていかなきゃですね。

 

「せっかくだからボクが行ったことがないダンジョンや、やったことないクエストをこなしながらレベル上げをしたいんですけど、なんかあります?」

 

「荒罹崇の体験まで考慮した上で提案する必要があるのか?」

 

「配信見てるなら考慮してくれそうだなーって」

 

「【ノーグッド】で『エリン』のクエストを進めるのはどうだ? 俺も手を付けてないものがある」

 

「あぁ、【錬金工房】ですね」

 

 以前こなしたクエストでは、感情表現(エモート)を他者に向けて発動できる特殊なスキルをもらった覚えがある。報酬としてかなり珍しかったので頭の片隅に残っていた。ほかにも面白いクエストがあるなら達成しておきたいですね。

 

 というわけで«テレポート»を使って【ノーグッド】へ転移する。転移先は【錬金工房】の眼の前、完璧ですね。

 

「まてまて、【錬金工房】に関わるクエストだが、依頼者は別なんだ」

 

「そうなんですか?」

 

「あぁ、まずは【サッド街】の祭壇を調べる必要があるらしい」

 

「了解です。では転移しますね」

 

 改めて【サッド街】へ転移し、【邪神】の【祠】へ向かう。

 

 【祠】の中には禍々しいドクロが刻みつけられた、いかにも怪しい祭壇があった。以前はここで【邪神の加護】をもらったのだけど……。

 

「調べると言っても、どうするんですか?」

 

「攻略サイトには調べるとしか書いてなかったな」

 

「とりあえず叩いてみますか。ゴブ蔵、お願いします!」

 

「ゴブ!?」

 

 突然役割を押し付けられて慌てた様子のゴブ蔵はおずおずと祭壇へ近づき、こんこんと叩き始める。しばらくは何も起きなかったようだが、それでも叩き続けているうちに調子が出てきたのか、やがて叩く音がリズムを刻み始めたところで異変が起こった。

 

『我の祭壇を荒らす者に、永久の呪いを……!』

 

 その声と同時に、新たな受動(パッシブ)スキルが追加されたことを知らせる表示が視界に現れる。

 

【邪神の呪い】

[パッシブ][ブレッシング]

効果:[自身]の[スキル][発動時]の[コスト][消費]が[増加]する。

 

「ちょっとちょっと、ボクは何もしてませんよ!」

 

『おまえが命令していたのは見ていたぞ……』

 

「……」

 

「なら俺は何もしてないのではないか?」

 

『おまけだ』

 

「……」

 

 表示された効果だけなら、かなりきついペナルティ系のイベントに見えるが、これがクエスト開始の合図らしい。

 

「クエストの進行中はペナルティを受けると聞いていたから、後回しにしていたのだ。当然、大会まで残しておくわけにはいかん、片付けるぞ」

 

「了解です。これで【錬金工房】に相談しに行くんですね?」

 

 再び【錬金工房】の前へ転移すると、今度こそ扉を開く。

 

「こんにちはー、相談に乗ってほしいんですけどー」

 

 扉を開けたのとほぼ同時に、部屋の中から爆音が轟く。

 

 音のした方を見ると、大釜から煙がもくもくと立ち上っていた。

 

 大窯の横では、踏み台に乗った少女が墨を被っている。

 

「また失敗しちゃったなー。……って、おや? 冒険者さんたち? どうしたの?」

 

「また実験をしてるのか?」

 

「よくぞきいてくれました! 私は今、受けた呪いのエネルギーを力へ転換する、とっておきのスキルを開発しているのです!」

 

「随分と今の状況に即した実験ですね。ちょうどボクたちも呪いを受けてしまったのですが、なんとかなりますか?」

 

 そう聞くと、エリンさんは踏み台から飛び降り、懐から虫眼鏡を取り出しながらこちらへ近づいてくる。

 

「そーなの? むむむ……たしかに【加護】とは違う雰囲気があるね……。いや、仕組みは【加護】と同じなのに、それが負の影響を及ぼしているように見える……」

 

 しばらく虫眼鏡越しにボクの顔を覗き込んだあと、ゆうたさんの顔も確認したエリンさんは、

 

「でも大丈夫! 天才錬金術師たるこのエリンさんが解決してみせよう!」

 

 そう快く引き受けてくれた。

 

「わーい、ありがとうございます!」

 

「ゴブー!」

 

「だが、まだ完成していないのだろう? 材料が必要ならこちらで集めるが」

 

「そうなんだよね。【神聖なる狂気のフェイクゴッドの咎十字】が必要なんだけど、なかなか手に入らなくて」

 

「【フェイクゴッド】は確か【グレイブウッド】にいるモンスターですよね……まさか、【ネームド】のものを要求しているんですか?」

 

「そう、ただの【フェイクゴッド】じゃダメなんだよ!」

 

「……ゆうたさん、このクエスト、本当にクリアできるんですか?」

 

「……クリア後報酬の記載はあった」

 

 ゆうたさんの返答からして、ボクたちがクリアできるかは未知数のようだが、挑むほかあるまい。

 

「ちなみに、余計な【ネームド】が付いててもいいですか?」

 

「それは問題ないよ。【神聖なる狂気の疾風の如きフェイクゴッド】でもいいよ。効果はたぶん同じだけどね」

 

「となると、養殖ですかね」

 

 以前にも、この方法で養殖したことがある。【ネームド】はランダムで出現するだけでなく、モンスターを意図的に成長させて発生させることもできるのだ。どの【ネームド】が付くかはランダムだが――。

 

「それじゃあ頑張ってね!!」

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