卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第560話 全体攻撃

NAME:『神の如き』『王者の』『神聖なる』『滅びの』『絶望を呼ぶ』『狂気の』フェイクゴッド

 

「うーん、強そう! 勝てますかね?」

 

 ゲームの初期環境では6人で【パーティ】を組み、連携してようやく倒せるレベルの雑魚モンスターだ。今は環境もインフレ気味だが、付与された【ネームド】は、どれも字面からして明らかに強そうだ。

 

「1つでも強さの枷が外れるタイプの【ネームド】が無数に付いているな。特に『滅びの』は厄介だ。すべての攻撃が最大HPを削るようになるという噂を聞いている」

 

「やばすぎじゃないですか! ゆうたさんに『盾役(タンク)』をお願いするのも難しそうですね」

 

「いや、最大HPの減少は妨害(デバフ)として扱われるから、【キュアバレット】などを準備しておけば受けられなくはない。回数制限はあるがな」

 

 そう言うとゆうたさんは【ストレージ】から【女神像のネックレス】を取り出し、サブ職業(クラス)を【ビショップ】に変更する。続けて【キュアバレット】を発動させた。

 

【キュアバレット】

[アクティブ][5回][投射][聖属性][回復][魔法]

消費MP:12 詠唱時間:20s 再詠唱待機時間:30s 効果時間:20m

効果:[キャラクター]の[妨害]を[1つ][回復]させる。この[効果]は[詠唱後][5回]まで[任意]の[タイミング]で[発動]できる。

 

「これでよし。卍荒罹崇卍も使っておくといい。使用したあとにサブ職業(クラス)を変えても、効果時間中は使えるからな」

 

「そうなんですか? 地味に便利ですね」

 

 そう言われてボクも【ビショップ】を呼び出して【キュアバレット】を発動しておいた。これで安心ですね。

 

「さて、考えていても仕方ありません。作戦を練っていると【キュアバレット】の効果時間がすぎちゃいますし、当たって砕けていきますか!」

 

「砕かれるのは【フェイクゴッド】だがな?」

 

 そう言いながらゆうたさんは【ストレージ】から剣を引き抜き、疾駆する。今回はオーソドックスな前衛盾役(タンク)として動くらしい。それならボクは――。

 

「【イグニッション】――〈夜空に輝く神の一欠片、大いなる炎の源よ――〉」

 

「合わせるぷちっ!」

 

「〈灼熱の業火を身に纏い、天空より顕現せん〉ッ! 【メテオ】!」

 

 スキルを宣言すると、白銀の炎を纏い、淡い翠色の光を放つ隕石が【フェイクゴッド】めがけて一直線に落下する。直後、凄まじい轟音が響き、白銀の炎が噴き上がった。

 

 【空神の加護】の効果を二重に乗せ、桜餅プチさんの支援(バフ)まで重ねた至高の一撃。なんならボスすら吹き飛ばす火力なのだが、残念ながら【フェイクゴッド】を仕留めるには足りなかったらしい。

 

 【フェイクゴッド】の視線がボクを捉えた瞬間、ゆうたさんがスキルを発動しながら剣を振るう。

 

「【タウント】!」

 

 ボクの攻撃ほどの脅威はないはずだが、それでも【ナイト】が敵の狙いを引きつける力は絶大だ。

 

 【フェイクゴッド】の視線がボクからゆうたさんへと移り、すぐさま黒い剣を生み出して反撃する。ボクは次の詠唱に入りかけたところで、彼のHPに意識を向けた。

 

「【キュアバレット】!」

 

 HPは相変わらず満タンだ。だけどそれは最大HPそのものが削られているからにすぎない。ボクは出し惜しみせずに治療の弾丸をゆうたさんへ撃ち込む。妨害(デバフ)を解除された彼はすかさず【オートユーザー】でポーションを発動させ、HPを全回復させた。

 

「助かる!」

 

 ゆうたさんはバックステッポで軽く間合いを切り、剣を槍に持ち替えて【フェイクゴッド】を突く。その一撃を受けた【フェイクゴッド】はぴたりと静止した。

 

 すかさずボクは«テレポート»で【フェイクゴッド】に肉薄し、【ソウルフレア】を叩き込む。HPがさらに大きく削れたのを確認し、再び«テレポート»で後方へ退避した。

 

 ボクが退くのと入れ替わるように、ゴブ蔵が機関銃を構えて前へ出る。

 

 そこで【フェイクゴッド】が再び動き出した。周囲に瘴気のようなものを展開すると、無数の黒弾を生み出し、ゆうたさんとゴブ蔵をめがけて撃ち放つ。

 

「【アトラクト】」

 

 ゆうたさんが飛来する黒弾をすべて引き寄せ、ゴブ蔵は安心して銃撃を再開した。一発の威力よりも手数を重視した通常攻撃だが、敵のHPがみるみる削れていく。

 

「ぷち〜♪ぷちっぷち〜」

 

 ボクの肩で歌う桜餅プチさんの【追撃のカノン】が、機関銃の一発一発に追加ダメージを重ねているためだ。ゴブ蔵と桜餅プチさんはかなり相性がいいですね。

 

 ボクが【フェアリーストームワンド】を向けると【ゲールウィンド】が放たれ、一瞬で【フェイクゴッド】へ到達する。直後、その投射を起点に【シルフストーム】が大きく拡散し、さらなる多段ヒットを重ねた。

 

 その瞬間、【フェイクゴッド】が右手を頭上に掲げた。同時に、【グレイブウッド】全体を覆い尽くすほど広大な魔法陣が展開される。

 

「げっ、そんな範囲攻撃、ありですか!?」

 

 慌てて防御態勢を取ろうとしたが、遅かった。魔法陣から凄まじい闇の瘴気が放たれるが――思ったよりダメージはない。

 

 あんまり心配する必要はなかったですね。そう考えて改めて【フェイクゴッド】のNAME表示を見ると、絶句した。

 

NAME:『神の如き』『王者の』『神聖なる』『滅びの』『絶望を呼ぶ』『狂気の』『神速の』『大いなる』『嵐を呼ぶ』『鉄壁の』フェイクゴッド

 

 【ネームド】が、増えている。

 

 




テクニックその160 『支援(バフ)用職業(クラス)チェンジ』
一時的に支援(バフ)などを受けるために職業(クラス)を変更するテクニックです。純然たる仕様ではありますが、いつでもどこでも職業(クラス)を変えられるこのゲームでは強力。野良試合では必須級かもですね。
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