卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第563話 開幕

 翌日、ボクらは【闘技場】に来ていた。

 

「うーん、【フォールダウン】の大会よりは遥かにマシですが、活気はありませんね」

 

「賞品に旨味がないからな」

 

「いったい何が賞品なんですか?」

 

「【願いの石】が5個、だそうだ。悪くはないが……」

 

「うーん、装備そのものではなく、装備の素材ですか」

 

 本選が始まる前、【願いの石】を頑張って集めていた頃なら喜んで飛びついただろうが、大会が始まってる今となっては強い装備を作れるかもしれない素材でしかない。

 

 【フォッダー】は強力な素材を使っても付与されるスキルがランダムなので、うまくハマればとんでもなく強い装備になるが、徒労に終わる可能性も高いだろう。すでに装備構成を固めている人からすれば、そこそこ噛み合った程度では装備を更新するきっかけにもならない。

 

「優勝したら、桜餅プチさんやゴブ蔵の装備に使えるといいですね。炎属性や風属性をピンポイントで狙えるとは期待しないほうがいいでしょう」

 

「賞品が地味でも、相手まで地味とは限らないがな」

 

「そうですね。むしろ、ここに来ている人は【願いの石】が欲しいだけではなさそうです」

 

 観客席は空席が目立つ。それでも受付前には装備を確かめながら静かに順番を待つパーティがいくつもいた。

 

「練習相手には困らなさそうだな」

 

「ええ。せっかくなので、いろいろ試してみましょう」

 

 ボクはこの機会に《SANチェック》の研究を集中的に進めるつもりだ。

 

「おっ、AWP-002さんがいますね。それにあれは、りのボス聞かせさんと風なに翼さんですか。珍しい組み合わせですね」

 

 恐らくは【パーティ】を組んでるのだろう。6人で集まって打ち合わせをしている。さらに寿美礼さんまでいる。

 

 旧世代AIと新世代AIは仲が悪いという話を彼らから聞いていたが……面白い組み合わせですね。〘Multa〙を使用しているりのボス聞かせさんたちとの相性も良い。戦うことになったらかなりの強敵になりそうだ。

 

「あちらにも有名なプレイヤーがいるぞ」

 

「――神様ですか。周囲に仲間はいないようですが」

 

「あいつのことだ。1人で出るつもりなんじゃないか?」

 

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>卍さんの奇行を完全に上回る男

 

>ネタ被りしてて草

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 神様は1人であっても油断のならない相手だ。本選に勝ち残っているのかはわからないが、練習のつもりで勝てる相手ではない。

 

「ちょっと声をかけてみましょうか。こんにちはー」

 

「む? 貴様か」

 

「はい、お見かけしたので声を掛けようかと。大会に出るんですか?」

 

「あぁ。先日の【ダブル杯】では辛酸を嘗めさせられたのでな。武者修行のつもりだ」

 

「先日の【ダブル杯】って――神様、本選を落としたんですか!?」

 

「あまり大きな声で言うな。敗れたことくらい、我が一番よく知っている」

 

 神様は腕を組み、むすっとした顔でそっぽを向いた。

 

「蒸し返すようで悪いとは思うが、誰にやられたんだ? 参考までに知っておきたい」

 

 ゆうたさんが尋ねると、神様は頬をかきながら答える。

 

「……あかりだ」

 

「げっ」

 

----

>「げっ」

 

>あかりちゃんさんか……

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 あかりちゃんさんですか。ある意味ではボクのライバル的な存在だ。最近は絡みが少なかったが、攻略サイトにはいつもお世話になっている。

 

 あかりちゃんさんは神様の親友でもありますからね。専用の対策を組んでいたのかもしれませんが、対策をした上でもなお脅威なのが神様だ。さすがというほかないですね。

 

「まあ先のことを考えても仕方ないですね。今日はこの【パーティ杯】に集中しますよ!」

 

「頑張るぷち!」

 

「我もそう易々と屈するつもりはないぞ。神であるからな。《神なる行動(ディバインアクション)》にもさらに磨きをかけた」

 

「本家本元の〈魂の言葉(ソウルワード)〉の力、見せてもらいますよ」

 

 神様と別れ、改めてゆうたさんと話す。

 

「なかなかの大会になりそうだな」

 

「ですが――当然、勝ちますよ」

 

「ゴブー!」

 

 《SANチェック》の研究にこだわる気は、もうなかった。もちろん積極的に使っていくつもりだが、使えばいいという話ではない。何よりも勝利が先だ。

 

 それから【パーティ杯】の登録を済ませ、試合開始を待つ。しばらくすると、マッチング相手が表示された。

 

「ちゃんと6人の【パーティ】ですね。有力な選手はいますか?」

 

「いや、特に問題ない。どいつも名のあるランカーではあるが、考慮する必要はない。蹴散らすぞ」

 

「了解です。名のあるランカーだかなんだか知りませんが、その程度ではボクの道を塞ぐことなどできませんよ!」

 

 そして時間になり、試合会場に転移する。

 

「うわぁ、卍さんとゆうたさんかぁ……」

 

「試合に出るとは聞いてたけど、本当に2人で来たのか」

 

 ゴブ蔵と桜餅プチさんはこの場にはいない。試合が始まってから召喚する必要がある。

 

 人数差の不利があるのだから遠慮する必要はない。相手の構成を〈ロールプレイング〉が即座に看破する。オーソドックスな構成だ。メインとしては【ナイト】【ナイト】【メイジ】【ビショップ】【バード】【アイテムマスター】。前衛が2枚だが、盾役(タンク)寄りの【ナイト】とアタッカー寄りの【ナイト】で役割を分けているようだ。

 

 特筆すべき点としては【アイテムマスター】の女性。彼女は完全なアイテム特化で、装備構成もアイテムの強化に振り切っている。【サイキック】の【キネシス】で大量のアイテムを展開してぶん回す。補助寄りの職業(クラス)ではあるが、間違いなくこの【パーティ】の主軸だ。

 

 開幕で落とせば、関係ないですが。

 

 ――むしろ、開幕である必要すらない。

 

 始まる前に落とせばいい。

 

「《SANチェック》」

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