卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第75話 戦略(スタイル)

 なんとか命からがらダンジョンを脱出したボクは、仲間を求めて街を歩き回る。

 

 けれども新しく来たプレイヤーたちは【A-YS】の醍醐味と言われるロボットゲーに夢中になっていたり、ゲーム内で出回っている未知のアイテムにかかりきっていたりする。

 

 既存の【A-YS】プレイヤーも【フォッダー】に行く方法を探していたり、【フォッダー】のプレイヤーからもたらされるアイテムに一喜一憂していたりで、誰もダンジョンに潜る気がない!

 

 しばらくすれば情報も検証もまとまり、落ち着くだろうけど、少なくとも今はダンジョンに潜る時期ではないらしい。

 

 さすがゆうたさん、ここまで読んだ上でのアイテム収集宣言でしたか……!

 

 そもそも、よく考えたらボクはこの世界独自の戦略(スタイル)とやらすら獲得していない。なんの準備もなしに舐めプでダンジョン探索なんて馬鹿じゃないですか?

 

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>1 層 で 涙 目 敗 走 し た 配 信 者

 

>ある意味では理想的とまで言える死亡フラグの構築でしたね

 

>トラップ探索用のスタイル要員とか必要なんかね

 

>まああんなにトラップあったら歩いてるだけで詰むからな

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「とりあえず、みなさんの流れに合わせてダンジョン探索の風潮が広まるまでは、ボクも街の探索でもしましょうか。あるいは――新たな仲間を育てる、とかですかね?」

 

 【ストレージ】に入ったプレイヤーの【メニュー】欄には緊急脱出ボタンが用意されている。どこまでが仕様なのかはわからないけど、少なくとも【ストレージ】に入るところまでは想定されていたことなのだろう。

 

 これを押せば、以前漆黒の翼さんが唐突にボクの前に現れたときのように、ミューズさんのもとへ戻ることができるはずだ。

 

 まあ、【フォッダー】の世界に戻るのは後回しにするとして、まずは戦略(スタイル)とやらの獲得をしておきましょうか。【フォッダー】側でもそのシステムが適用されるかどうかの実験にもなりますしね。

 

「まずは戦略(スタイル)の仕様を見てみましょうか。えっと、その辺のパソコンで獲得できるんでしたっけ?」

 

 とはいえ、周囲にはテレポーターがあるけどパソコンのようなものは見当たらない。そんなシステムにとって重要なものなら等間隔に配置しておくべきだと思いますよ! そう思いながらボクは再び【科学塔】にとことこと向かう。あそこにはパソコンがありましたからね。

 

 さっき【科学塔】にいたときに見ておけばよかったのに、などというド正論のコメントが流れるのを聞き流しつつ、無事に到着。透過ドアをくぐって、パソコンに一直線!

 

 パソコンというと、現代ではアンティークな印象を持たれることが多いが、それは若者がARに傾倒しているだけで、まだまだ現役だ。特にボクはクラシックなゲームも嗜んでいたので、その操作にはそれなりに慣れている。

 

 華麗な手さばきで『戦略(スタイル)申請』と表示されたショートカットを開くと、まるで会員登録ページのような入力画面が表示された。

 

 プルダウンメニューやチェックボックスから、自身の能力を変更できるらしい。なぜパソコンで開いた登録ページに情報を入力しただけで本人の能力が変わるのかは定かではないけれど、そこはそういう演出だから、と考えるしかない。

 

 また、入力可能な項目には、キャラネームなど本来は登録時点で決める項目まで含まれている。初めてダイブしたあと、このパソコンを通じてキャラクターを作成していく仕組みなのだろう。

 

 自身のキャラネームなどの必要事項を記入して、問題の戦略(スタイル)選択の項目を見ると、以前紹介された【スナイパー】などの遠距離系戦略(スタイル)や、【ウォーリア】などの典型的な近距離系戦略(スタイル)が順不同で並んでいる。

 

 各項目には性能や効力も記載されているが、戦略(スタイル)というのは職業(クラス)とは違い、特定の戦い方に補正を与える大規模な受動(パッシブ)スキルの集合体らしい。

 

 例えば【スナイパー】は、遠距離攻撃に+補正/攻撃の誘導(ガイデッド)化、というように遠距離武器で戦うために必要な効果がひとまとまりに搭載されていて、レベルの上昇と同時にその効力も高まっていく。

 

 戦略(スタイル)を獲得したからといって新たな能動(アクティブ)スキルや受動(パッシブ)スキルを習得できるようになるといったことは一切なく、搭載されている補正の強化によってのみ成長が反映される。

 

 1層であれだけの(トラップ)が大量に配置されている高難易度RPGだけあって、安易な必殺技(アクティブスキル)による逆転は許されず、均一化された(ビルド)による効率的な戦いを求められるゲームだ。

 

 そして研鑽を積みながらモンスターを倒して新たな装備を入手し、それを駆使してさらなる深層へ進み、また装備を集める。

 

 ダンジョンRPGの類ではあるけれど、ローグライクのようにリソースの切り方を重視するものではなく、常に勝つべくして勝つ戦いを求められる。まさに修行のようなRPGです。

 

 そしてこのゲームに存在する戦略(スタイル)は5つだ。

 

【ウォーリア】

・あなたは近接武器のエンチャントを強化する

・あなたは近距離攻撃の威力を増加させる

・あなたは近距離攻撃の威力を軽減できる

・あなたは運動能力に対して追加補正を持つ

・あなたは状態異常に対して強い抵抗を持つ

 

【スナイパー】

・あなたは遠距離武器のエンチャントを強化する

・あなたは遠距離攻撃の威力を増加させる

・あなたは遠距離攻撃の威力を軽減できる

・あなたは遠距離攻撃の射程を増加させる

・あなたは遠距離攻撃の弾道を操作できる

 

【ソーサラー】

・あなたは杖をうまく扱える

・あなたは魔法攻撃の威力を増加させる

・あなたは魔法攻撃の威力を軽減できる

・あなたは祝福の効果を増加させる

・あなたは呪縛の効果を減少させる

 

【ゼネラル】

・あなたは近接武器のエンチャントを強化する

・あなたは遠距離武器のエンチャントを強化する

・あなたは近距離攻撃の威力を増加させる

・あなたは遠距離攻撃の威力を増加させる

・あなたは魔法攻撃の威力を増加させる

 

【パスファインダー】

・あなたはライフを確認できる

・あなたはプレイヤーを探知できる

・あなたはエネミーを探知できる

・あなたはトラップを探知できる

・あなたはオブジェクトを探知できる

 

「みなさんはどれを選びますか? まあボクは決まってるんですけどね」

 

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>ゼネラルとかいう器用貧乏と見せかけて実は強そうなスタイル

 

>どうせソーサラーなんでしょ?

 

>ハクスラなら使える手札は幅広い方が得しそうだよな

 

>これはソーサラー。もし違ったら鼻からスパゲティ食べてやるよw

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「というわけで【パスファインダー】を選択っと」

 

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>鼻からスパゲティと聞いて

 

>はよ配信動画あげろ

 

>ふざけんな!!!!!

 

>hamazonで鼻からスパゲティ食べるマシン売ってるから買ってこい

 

>なんでそんなもの売ってるの??

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「だってあの(トラップ)の数々を見る限り、【パスファインダー】以外の選択肢はないじゃないですか! あっ、鼻からスパゲティ待ってます。動画が上がったらこの配信で全力で宣伝させていただきますよ」

 

 完全にトラウマです。もう(トラップ)なんて二度とかかりたくありませんよ! 【ソーサラー】? なにそれ、美味しいんですか??

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