「ブルアカって透き通った青春学園RPGだよね?」「え?」   作:ヘイホー

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もはや何番煎じかも分からないブルアカオリ主小説を投下!
なんか思いついちゃったんで書いちゃいました。


「ブルアカって透き通った青春学園RPGだよね?」「え?」

 

 

 

 

 

 なぁ、君たち。『ブルーアーカイブ』───略して『ブルアカ』ってゲームを知ってるか?

 知らない人のためになけなしの知識を振り絞って説明すれば、『ブルアカ』とは『学園×青春×物語RPG』と銘打って世に出された、主に男性の若者を中心に支持を集める大人気スマホアプリゲーム……らしい。

 “らしい”と断定出来ない理由は………まぁ、後で説明する。

 

 

 さて、何故こんな事を話し出したのかというと………来ちゃったっぽいんだよね、そのブルアカの世界に。

 

 

 それを認識したのはこの超巨大学園都市───キヴォトスの中心地に幼馴染と共にやってきた頃からだろう。

 その圧巻な景観に2人して見惚れていると、突如何かがハマった音がしたと共に『ブルーアーカイブ』の情報が頭に流れ込んできたのだ。まぁ、流れてきたのはせいぜい“5秒でスキップできるキャラ紹介の広告”と、ちょっとしたキャッチコピーぐらいしかなかったが。

 

 あとその余波か副作用かは分からないが、なんとなく自身に前世が存在していたという事を感じ取った。とは言っても、性別も、年齢も、どんな場所に暮らして、どんな人間で、どんな人生を送ってきたのかとか、そんな物は全然思い出せなかったが。

 だから、この前世の認識も大して役に立ってないんだなコレが。強いてコレ(前世)が果たした役割を挙げるとすれば、『ブルアカというゲームはその前世で流行していたゲームである』という事の信憑性を上げる踏み台程度だな。やったこともないだろうゲームの情報に負けてしまうほど内容が薄かったのか、俺の前世ェ……

 

 

 最初は半信半疑だった俺だが、この学園都市で通っていくと嫌でも理解できた。よくよく見たらこの都市、マジで女性しかいねぇ……

 他にいたとしてもロボットだったり、黒いモヤモヤの化け物どもだったり、イッヌの住民たちしかいない。

 ……あぁ、俺の頭を心配してるようならお門違いだから帰ってくれ。マジで、が、二足歩行で、喋ってんの!!

 

 

 話を戻すが、『ブルアカ』も女性しかいないことで有名だったし、それもこの世界にも共通して言える事だ。

 『女性しかいない』、『天使の輪っか』、何より『キヴォトスに入った瞬間に流れた記憶』────これは『ブルアカ』の世界確定ですね間違いない。

 そして大して役に立たない記憶を思い出させてくれてどうもありがとう、神様。今度天国行ったら猛クレームぶつけてやるから覚悟せぇよ。

 

 

 

 まぁ、結構不満気だが、ぶっちゃけここまでは百歩譲って良いんだ。いや良くねぇけどな?

 問題は、ここで俺の前世の情報と実際のキヴォトスの状況との()()が発生したということだ。

 

 

 

 

 

 

 ──────『ブルアカ』って……“()()()()()()()()()()()()()()()R()P()G()”なんじゃないの?

 

 

 

 

 

 

 俺は実際にこの世界で生きて、物語の舞台である筈の学園に通っているが、全くそんな甘ったるい青春の気配がないんだが?

 透き通ったどころか銃弾と血に埋もれた灰色の青春物語なんだが?

 

 なんせあっちこっちで銃撃戦があるわ、テロはあるわ、爆撃があるわ、腹の黒い大人どもが生徒たちを利用しようとするわ、男子いなくて肩身狭いわ、百合らしい展開もないわ………何処が『透き通った青春物語』なん?癒しは何処?それが売りなんじゃなかったの?(純粋な疑問)

 

 ここで考えたのは────ズバリ、()()()()()()()()ということである。

 原因は分からんが何処かでエラーが発生し、本来あった“青く透き通った青春”が“血と銃煙に濡れた灰色に濁った青春”に移り変わってしまっているのではないのかと。

 

 

 オイオイ、勘弁してくれよ。俺だけならともかく、ここにはちょっと抜けてる幼馴染も一緒に通うんだ。そんな学園に通わせられねぇ!

 

 

 

 

 ……とは思ったものの、もうすでに入学をしているので取り消すこともできず。

 

 

 

 

 そのため、覚悟を決めた俺は幼馴染と共に連邦生徒会に所属して、彼女を支えながらキヴォトス中の問題を解決し、どないすればキヴォトスが平穏に満ちた場所になれるか考えて────早数年が経ちました。

 

 

 

 

 数年です。

 

 

 

 

 ビックリしましたか?早数年ですよ。

 

 

 

 

 

 

 まぁ、そんな中でも色々動いてはいるがどれも小さな結果しか付かず……

 今はなんとか不法で流出している武器の場所の特定とその拠点潰しを開始しているところですね。全く……いつから青春学園RPGに闇市なんて物騒なモノが出来上がってしまったんだ。

 

 あとの目下の問題はエデン条約とかな。上手くいけばいいんだが……

 

 まぁ、とにかく今年は色々進むであろう年になると実感しているので、コレで少しでも元の物語に戻せればいいな〜……なんて思っていた矢先ですよ。

 あぁ、神様は本当に俺のことが嫌いみたいだ。試練ばかり与えちゃうツンデレみたいでね。

 

 

 えっとですね、簡単に何があったか申し上げますと……なんと先日ウチの幼馴染が()()しました。

 その知らせを聞いてぶっ倒れてしまった俺のことを誰も責めないでやってくれ……

 

 

 

 

 

─────

───

 

 

 

 

 

 白く磨かれた廊下を歩く。誰もいない早朝の廊下で、カツカツと踵が踏み締める音が響き渡る。

 もはや見慣れた廊下───されど通い慣れることのない部屋へ続く廊下に足を進めるのに、自然と私の心臓の鼓動が速くなる。

 

 そして目的地である部屋の前へとやって来た。部屋の前に掲げられている『執務室』を確認して、再度間違いがないか確かめた後にノックを3回──────

 

 「あら……」

 

 叩く前にドアが自動で横開きに開く。彼が開けたのか────いいや、それはなさそうだ。現に今も彼は椅子の背もたれに寄りかかりながら眠っている。

 そんな彼を囲むように並べられた用紙の束。机上は必要最低限のスペースだけを確保して、そのほかは紙とインクを置くスペースとして活用しているらしかった。

 

 「────全く、あれだけ私たちに『無茶をするな』と仰られた人が一番無茶をしてどうするんですか……」

 

 溜め息を吐きながら、されどそれが彼だと再認識する。自身のことは顧みないでいつも誰かのために人一倍頑張れる人────それが彼なのだ。

 

 私は片手に持ってきた掛け布団を彼の体の上に掛ける。きっとこんな状況なのだろうと思っていたが、まさか予想とそっくりそのままの同じ状況であったとは……

 

 「本当にしょうがない人なんですから……」

 

 彼の隣の席────以前まで彼の席だった場所に座り、書類の束を整頓し始める。彼の働きを見るに殆ど必要ないだろうが、一応、念のためだ。

 

 私と彼以外誰もいない空間。そこに書類を捲る音だけが聞こえる。聞き慣れた筈のその音が、妙に今は心地の良い音のように聞こえてくる。

 

 ……あぁ、やはり大丈夫そうだ。サインを押すべき場所にはしっかりされているし、訂正箇所があったらその都度丁寧に書き記されている。

 

 「…………」

 

 並べられた書類の束の整頓も終わった頃、再度彼の状態を確認する。

 座り心地の良い椅子の背もたれに寄りかかり、足と手を組んで眠っている彼。その体には先ほど私が掛けた掛け布団と───上を向いている顔の上には()()()()が置いてあった。

 その紙はこの部屋に入って1番最初に気づいていたが、幾ら友人同士の間柄でも勝手に寝顔を見るのは躊躇われたので、一応そのまま上に乗せていた。乗せていたのだが………

 

 「……失礼します」

 

 やはり欲求には勝てず紙を優しく退かす。

 ここでふと彼の寝顔を確認する前に、職業柄故か、この紙の内容を確認したくなった。彼が眠る直前まで見ていた紙の内容、それは──────

 

 

 「連邦生徒会長の捜査状況……その報告書、ですか……」

 

 

 彼はこういうときはいつも不法に流出した銃や戦車の出所の報告書やその()()()()()を見ているはずだが………やはりというか、このキヴォトスで彼女を最も案じているのはこの人だろう。そう考えて納得と共にほんの少しだけ胸が痛んだ。

 

 連邦生徒会長────私の上司であり、友人であり、ほんの少し憧れている人でもあって………それと、彼の()()()1()()()()()()でもある人だ。

 彼と彼女は二人三脚でお互いを支え合いながらキヴォトスを運営していた。『超人』と謳われる彼女に補佐なんているのかと思われるかもしれない、しかし彼女は誰よりも彼を信頼し、誰よりも彼を頼っていた。逆も然りである。

 足りないところを補うように、そしてお互いがお互いの休める癒しの場所として常に一緒にあり続けた2人なのだ。

 

 そんな彼らを見て、私は憧憬や羨望と共に嫉妬をしていた。……いや、私だけではない。連邦生徒会────否、キヴォトスにいる殆どの生徒がそう思っていたことだろう。

 

 あぁ、連邦生徒会長……あなたは本当に()()()()()()()()。失踪した理由は分からないが、このキヴォトス中の生徒たちが渇望するであろう唯一にして絶対的な特権(幼馴染)を持っていながら、それを放棄するだなんて。あまつさえ、職務の全てを彼に押し付けて失踪し、彼に余計な心労を背負わせるなんて……

 

 

 

 

 ────あなたが帰ってきたとき、彼が誰かに奪われても文句は言えませんよね?

 

 

 

 

 「─────ふぅ」

 

 昂る自身の感情を抑えつけて、いよいよ見えた彼の顔を拝む。書類という障壁がなくなったことにより、彼の優しそうな寝顔がお披露目となった。

 ………本当に綺麗な顔だ。まるで彫刻のように整っていて、その揺らめく金髪は幾人の人たちに希望を見出させてきたのか。

 

 そんな彼の顔をもっと近くで見たくて、迂闊にも彼の寝息が聞こえるほどの距離まで近づいてしまう。

 

 ────そして、自然と目を惹かれるのは、ほんの僅かに開いている麗しい丹花の唇。

 

 「…………」

 

 ──────はぁ。それは流石にダメだ。自分が今何を考えているのか分かっているのだろうか。

 それは……流石に────

 

 「────でも、こんなに無防備な彼も悪いのでは?」

 

 ふと悪魔が私に囁きかける。()()()()()と、()()()()()()()()()と。()()()()()()()()と。

 あぁ、確かにそうだ。常日頃から、彼には“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()戸締りはしっかりしなさい”と連邦生徒会幹部一同から再三注意をしている筈だ。

 だけど、この様子を見るに彼はその注意の悉くを無視しているらしい。私たちがあなたを想って警告したのにそれを反故された───それがたまらなく悔しくて惨めな思いになってしまう。もしかしたらいつもはしているのかもしれない、たまたま今日は空いていたのかもしれない……しかし、そんな“たられば”は通用する筈がない。それを証明する手立ても、時間も何処にもないのだから。

 あぁ、そういえば。注意を聞いていた時の彼はヘラヘラしながら『大袈裟だわ〜』なんて反応をしていたような。

 

 ………そろそろ本気で()()()()()()()()()()()()()のかもしれない。

 

 「むにゅ……?」

 

 不穏な考えがチラつく中で聞こえた誰かの声。私の顔の下から聞こえたその声はとても聞き覚えのある声で──────

 

 「…………ぇ?ふぇ?ありゃ?」

 「おはようございます、副会長」

 

 咄嗟に退かそうとした顔を鋼の意志で縫いとどめ、超至近距離のままに彼に朝の挨拶をする。

 見られたのにここで慌てふためいてしまえば逆に彼に怪しまれる、それならばいっそここは堂々と挨拶をするのが良い────と、コンマ数秒の時間で至った結論だった。

 

 「ぉ、おはよう………え?な、なんでこんなに近いん?」

 「何故だと思います?」

 「…………顔に何か描こうとした、とか?」

 

 ………彼の貞操概念が5歳児未満で安心しました。

 こんな状況でそんな事を言える男性はあなたぐらいですよ。

 

 「そうですね。あなたが私たちの言いつけを守らないからこんな状況になっているのですよ?」

 「言いつけ……?……………あぁ、ロックを掛ける話ね。忘れてたよ」

 

 『たはは』と頬を緩ませて笑う彼の顔を直視できずに、思わず顔を逸らしてしまう。耳の端まで顔が真っ赤になっている自覚はあるものの、彼は寝ぼけているせいかちっとも気づいてはくれない。

 

 「でも、確かにそうだった。ここには大事な書類がいっぱいあるし、リンみたいにイタズラをしてくる子もいるかもしれないしね」

 「ッ、それは………いえ、なんでもありません」

 

 まるで私がよくイタズラを仕掛ける人間であると思われてしまった。すぐさま訂正したい───が、訂正すれば先ほどの言い訳に色々と矛盾が生じてしまいそうなので、ここは黙って濡れ衣を受け取っておこう。

 

 ある程度のやり取りを済ませた後、高鳴る心臓の音を極限にまで抑え込んだまま顔をゆっくりと引き離す。

 

 「とにかく、分かってもらえたなら良かったです」

 「おうよ、今後気をつけるわ」

 

 「よ〜し、やるぞー!」と意気込んでいるところ悪いが、少し確認したいことがある。

 

 「ところで、何時間眠ることができたんですか?」

 「え?……今何時?」

 「ちょうど6時半です」

 「……………………まぁ、うん」

 「早く答えてください」

 「えっと……ざっと5時間─────」

 「あぁ、因みに嘘を言ってもバレるということはご存知ですよね?それと嘘を言ってしまったことに対するペナルティも勿論……それで?何時間なんですか?」

 「30分デス」

 

 ……予想よりもだいぶ酷い。

 こんな生活をずっと続けていたのだろうか?いや、もしかしたら今日だけはたまたま寝てしまっただけで、普段はもっと不眠不休なのでは──────

 

 「あと数時間の睡眠を取ってください。仕事は私の方でやりますので」

 「えっ、いや悪いよ。リンに負担は─────」

 「神宮寺ハヤト」

 「ッ」

 

 あえて彼の名前を口にする。これは行政官としてではない────七神リンとしてのお願いだと認識させるために。

 

 「いいから寝てください。あなたに倒れられたら………他の皆さんも心配します」

 

 ………またしても言えなかった。またしても彼に本心を打ち明けることから逃げた。

 他の人たちなんかより────『私が心配で心配で仕方がないから』だと、本当は伝えたかったのに……

 

 「─────そっか。……分かった、少し眠ることにするよ」

 

 そんな私の想いを他所に彼は椅子から立ち上がり、近くにある黒色のソファーに寝っ転がる。

 そのまま眠るのかと思ったが、くるりと体を反転させて私の方に顔を向けた。

 

 「何かあったらすぐに起こしてくれ。それと────いつもありがとう、リン。本当に支えられてばかりだ」

 

 そう笑顔で告げた途端、まるで糸が切れたかのように意識を手放したハヤト。そんな彼を一瞥して、すぐさま資料に目を通す─────が。

 

 

 

 

 「…………………バカ、女たらし」

 

 

 

 

 その日は結局集中することが出来なかった。

 

 

 




連邦生徒会長幼馴染概念を作ってみたかった……
なお、その生徒会長は失踪中。
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