「ブルアカって透き通った青春学園RPGだよね?」「え?」   作:ヘイホー

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つ づ い た よ !の割にあまり自信がないっす……主に表現の仕方とか……

※今回は作者のちょっとした性癖が多分に含まれています。予めご了承ください。


「女の子の部屋って久々!」「久々、ですか……」

 

 

 

 

 

 『ねぇねぇ、ハヤトくん』

 『ん?』

 

 

 哀愁漂わせる緋い夕陽の色が差し込める執務室にて、隣で一緒に山のように積み重なった書類を捌いていると、幼馴染が突如として声を掛けてくる。

 

 

 『私ね、今ものすご〜〜〜く甘えたい気分なの』

 『あ〜、うんうん。またあとでね〜』

 『────えい♪』

 『あぁもう!』

 

 

 俺の業務を遮るように太ももにダイブしてきた幼馴染。俺の太ももをふにふにと揉んだ後、そのまま対面になるように太ももに座り直し抱きついてきた。

 

 

 『んふふ〜♪かまってかまって〜♪』

 『こ、コイツ……!単なる駄々っ子じゃねぇか……!』

 

 

 『お前いくつだよ』なんて思いながら作業を中断。さっさと降ろして“構って欲求”を満たしてやろう、と手を動かしたが。

 

 

 (幼馴染とはいえ腋に手を入れるのはマズイか……)

 

 

 出かかっていた手を引っ込める。“親しき仲にも礼儀あり”だ。

 

 

 『うへへ〜〜♪』

 

 

 ……それに、だらけきった幼馴染の顔を見ていると怒ろうにも怒れない。

 

 

 『ほんと……なんでいつも抱きつきたがるんだよ……』

 『────実感できるから』

 『え?』

 

 

 聞き返せば、俺の胸に耳を当てながら話す。

 

 

 『─────あなたがここにいるって……実感できるから』

 『…………』

 

 

 ─────う〜〜ん、分からん。

 彼女は変な謎かけみたいな話が好きなせいか、ときどきよく分からん話をしだす。実感も何も……ずっと一緒にいるだろうに。

 

 

 『……ずっと夢見てる事があるの。何よりも叶えたい、絶対に譲れない夢が』

 『へぇ?……あっ、それってずっと前から言ってるやつ?』

 『うん』

 

 

 抱擁を解いたと思ったら、今度は背を向けて、俺を背もたれにするように体重をかけてくる。此奴、俺を椅子だと勘違いしていないか?

 まぁいいか、今は彼女の夢の話だ。つーか、また突然な話だな。えっと……なんだったかな?確か─────

 

 

 『()()()()、だよ?』

 『あ〜、そうそう。めっちゃ乙女な夢だったわ』

 『茶化してる?』

 『いいや、むしろ素晴らしい夢だと思っているよ』

 

 

 本当にいい夢だ。

 やはりな、女の子は銃なんか持たずに、この子のような夢を持つべきだと思うね、うん。

 

 

 『叶うといいな、その夢』

 『……うん』

 

 

 何処か寂しそうに、しかし幸せそうに頷く幼馴染を見ていると、彼女が突如として振り返る。

 

 

 『だから────』

 

 

 彼女の瞳は、何処までも澄んだ青色を宿していて─────

 

 

 

 『その()()()()()()────どうか私の大切な()()()でいてくれますか?』

 

 

 

 ……あぁ、感慨深ければ寂しさもある。彼女の夢を叶えるとき、このやけに距離感が近い幼馴染関係にも終止符が打たれるだろう。

 でも……いや、だからこそ。今、彼女と過ごせる時間は大切なものなんだと気づける。

 もちろん、この子との関係だけに言えたわけじゃないがね。

 

 

 『おう!』

 

 『ふふっ♪』

 

 

 ─────あぁ、彼女のように夢を語って幸せそうに笑える世界であれば、一体どれだけ素晴らしいのだろうか。

 

 

 

 

 

─────

───

 

 

 

 

 

 「─────ここ、は……」

 

 

 意識が急激に浮上する。やがてマジで見知らぬ天井であると分かった瞬間、寝起きの脳内は混乱でぐるぐると回っていた。

 

 そんな中、最初に感じたのは背中越しに感じるふわふわとしたベッド。もういつ振りかも分からないほど懐かしいクッションの弾力性を感じていると、何処か()()()()()()()()匂いが鼻腔を擽る。

 清楚感のある匂いで、例えるなら満開のお花畑にいるような────何だか少しクラっとくる匂いだ。

 

 「あら?起きられましたか?」

 

 これまた聞き馴染みのある声が鼓膜を揺する。そう、それこそついさっきまで聞いていた声だ。

 

 「ナ、ナギサ……?」

 「はい、()()()()ナギサですよ」

 「いつから俺らは夫婦みたいになったんですかやだー」

 「ふふっ」

 

 薄く笑う彼女の姿は、その背部にある穢れを知らない純白の翼や美貌が相まって、まるで現世に降り立った天使のようだ。

 俺を慈しむように見ている彼女はティーパーティの1人───桐藤ナギサ。この子もセイアの例に漏れず生粋のお嬢様だ。

 

 さて、そんな彼女といつもの冗談のやり取りをして、ひとまず心を落ち着かせる。いきなりわけ分からんベッドの上にいて、よく分からん部屋にいるもんだから流石の俺でも取り乱す。

 …………いや、俺って結構取り乱すタイプだったわ。

 

 「ここは……?」

 「まだ分かりませんか?このお部屋に私がいるのですよ?」

 「───────…………あぁ〜……なるほどなるほど」

 

 なるほどね?つまりこの部屋は彼女の部屋であると。

 あれ?じゃあこのベッドって彼女が使っているやつか?

 

 「ご、ごめん!なんか全然覚えてないけどベッド使ってたわ……!」

 「お気になさらず。もともと、寝てしまったハヤトさんをここに運んだのは私なんですから」

 

 え?運んだ?

 いやいやそもそもだ、セイアたちは……

 

 「ミカさんやセイアさんは()()()職務に出なくてはならなくなりました。まぁ、こちらとしては確認したいことは確認出来たので()()()()()()()()ですが……そしてハヤトさんですが、日頃の疲れが溜まっていたのでしょう、新しい()()()()()()少ししたらお眠りに……」

 「そう……だな。そうだった、か」

 

 あぁ、思い出してきた。確かそんな感じだった。やけにミカとセイアの顔がムッとなっていたのを覚えている。

 そんで紅茶を飲んで寝るってどういうこっちゃよ、俺。そんな疲れてる?そこまでヤバい域まで来てるのか?お茶にはリラックス効果があるって聞いたことあるけど、それにしたってリラックスしすぎだわ。

 

 「マジでご迷惑をおかけしました、本当にごめん」

 「いいのですよ。ハヤトさんには無理をしてほしくないですから」

 

 て、天使や……!生粋の天使がここにいるぞ……!

 

 「それで……何でナギサの自室に?その辺に放り投げて貰ってもよかったけど……」

 「お疲れであろうハヤトさんが私のベッドで寛げますし、こちらの方が休めるかと思いまして」

 

 至れり尽くせりで、彼女の優しさに涙が出るよ……

 そして至れり尽くせりされる俺に対しても惨めさで涙が出るよ……

 

 「なんか寝たおかげでスッキリしたな!後1週間は寝ずに仕事できそうだ!」

 「ミネさんに怒られますよ?」

 「………バレなきゃ問題はあらへんよ」

 「そうですね。しかし、人の口に戸は立てられぬとも言いますし」

 

 そう言って自身の綺麗な唇を指差すナギサ。

 

 

 ………………………

 

 

 「今の発言ってスルーしてもらえる案件?」

 「どうでしょうか?」

 

 何がそんなに楽しそうなんだろうと思えるほどにナギサはニコニコと笑っている。

 ……まぁ、君が楽しそうならそれでいっか!

 

 「お隣、失礼しますね」

 「あっ、はい」

 

 そう言って彼女は俺の隣に腰掛ける。 

 距離感はだいぶ近い。大体拳1個分のスペースで、ベッドで嗅いだ匂いをさらに深く感じられるようになってしまった。………なんだか変な気分だ。

 

 「しかし、納得……というよりも同情します。なにせ、連邦生徒会長が突然失踪したのですものね」

 「うぅむ……その節は本当にすみません……」

 「謝らないでください。そもそも、ハヤトさんが悪いわけではないのですから」

 「そうだけど……」

 

 そう、もう既にナギサとミカにはウチの幼馴染である連邦生徒会長のやらかし(失踪)について伝えてある。伝えた最初は無反応&真顔で『あっ、これ終わったな……』なんて思っていたが、次第に笑顔で許してくれた。俺の友人たち、人格者多すぎでは?

 

 「ハヤトさんは……どう思いましたか?」

 「え?」

 

 その問いかけの意図が分からず、思わず聞き返してしまった。彼女は拳1個分あった筈のギリギリの距離感からさらに詰めて、いよいよ太もも同士がくっつくほどの距離────つまり零距離にまで詰められる。

 

 「連邦生徒会長のしてしまった事はある種の裏切り行為です。全ての職務を押し付け、その挙句は幼馴染である筈のハヤトさんに何も言わずに失踪……これを裏切り行為と言わず何と言いますか」

 

 ……彼女は純粋に俺を思って怒ってくれているのだろう。それが少し嬉しいと思うと同時に、やはり複雑な気分になる。

 

 「少しぐらい不満を言ってもいいのですよ?恨みつらみを吐いてもいいのですよ?私なら、ちゃんと全部受け止めてあげます。………少しぐらい、誰かの肩に寄りかかってもいいのですよ?」

 

 彼女の白くて綺麗な片翼が俺を包み込む。まるで俺を慰めるかのように摩る羽を見て心温まる思いになる────が。

 

 「ははっ、もう十分寄りかかっているさ。本当にみんなが頼りになりすぎるから……俺はいつも寄りかかってしまう」

 「…………」

 「あぁ、彼女に対してどう思っているか、だっけ」

 

 う〜〜ん、そうだなぁ……

 

 「そりゃあ不満はあるさ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()って思うし……でも、でも──────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『その()()()()()()────どうか私の大切な()()()でいてくれますか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「─────きっと、俺にも言えない()()()()()()んだって思うんだ。無責任に何かを投げ出すような奴じゃないって信じてるから……」

 

 なんで信じられるのかは……それはもう過ごしてきた日々の積み重ねとしか言えない。

 

 「だって俺は、アイツの()()()()()()()()だから。俺があの子を信じてやらないで、誰が彼女を信じてあげるんだって話よ」

 「────────」

 

 少し腹が立つし、不満もある。何も言わずに失踪したアイツに……()()()()()()()()()()()()()

 いや、どっちが悪いかって言われたら絶対アイツの方だけどな?

 

 まぁだけど……最終的には“しゃーないな”って許してしまうのが幼馴染って関係なんだと思う。世間一般的には分からんけどな!

 

 

 「─────本当に、妬いちゃいますね……」

 「………え?今なんて──────」

 

 

 小声で聞き取れず聞き返そう────としたら、ここで間が悪く着信音が鳴り響く。胸ポケットから素早く取り出して名前を確認すれば“七神リン”と表示されていた。

 ナギサに視線を配り彼女の頷きの了承を得たことで、改めてコールボタンをスライドさせた。

 

 「もしも〜し。どしたの?リン」

 『副会長、トリニティでの出向中に失礼致します。緊急事態が発生した為ご連絡致しました。……今はお仕事の最中でしたか?』

 「いやいや、それが結構早めに終わっちゃって。それで今は────」

 「私のお部屋にいますよ、七神リンさん」

 

 横から割り込むように通話に応じるナギサ。バサバサと羽根が広がり、俺に巻き付くように抱き寄せられる。

 

 『………桐藤ナギサさん、ですか』

 「ハヤトさんの無必要な長時間の拘束の件でしたら誠に申し訳ございません。しかし、私には彼の公務を妨害しようなどという意図は全くなく、()()()()公務がお忙しいということで私のお部屋で一休みさせてもらいました。()()()()()()()で休んでいましたよ?」

 『──────ハヤト?』

 「どうもハヤトで『後で()()がありますから』────……………」

 

 この感じO☆HA☆NA☆SI☆ですね分かりたくないです。

 

 「それで、何かあったんじゃないの?リン」

 『あぁ、そうでした。私としたことが、少し頭に血が昇って────あと2人きりじゃない時は“行政官”とお呼びくださいと何度も申しております、副会長』

 「………そっちだってさっき名前呼びしたじゃん」

 『なにか?』

 「イイエナニモ」

 

 俺に反抗する意思も言い訳する度胸もありません!

 

 『()()が数日後にいらっしゃるという話は覚えていますか?』

 「うん、もちろん」

 

 先生────我が幼馴染の置き土産とも言うべき存在であり……俺が勝手に『ブルーアーカイブ』という名のゲームの主人公であると予測を立てている人物だ。

 だって……ねぇ?()()幼馴染がこのタイミングで残していったのが、お宝のありかでもなければ秘密兵器でもない────ただの大人だ。どう考えても怪しいだろ。

 

 そんで?その先生がどうしたんだ?

 

 『それが……予定より数日早くいらしてしまって……』

 「へ?」

 『そして今、シャーレの部室がある外郭地区にて生徒たちが暴れているようで……』

 「え?」

 『それにプラスして、その暴徒たちは副会長をお呼びです。何でも主犯格らしき人物があなたをお呼びであるとか……』

 「は?」

 

 つまり……アレか?

 もしかしなくてもアレなのか……?

 

 「…………至急帰ってこい、と?」

 『つまりそういうことですね。まぁ、寝ていられる余裕もあったみたいですし、何も問題はありませんよね?寧ろあなたにほんの少し感じていた()()()()()()を返して欲しいぐらいです』

 「いつになく辛辣だね、リン────じゃなかった、行政官」

 『……………やはり後で呼称の取り決めもじっくりと考えましょう、2()()()()()()

 「今の何処に不満があったんだ!?!?」

 

 不満顔を見せる彼女にツッコむも、俺の反応など知ったことかと通話をぶつ切りされた。

 いや……マジでキヴォトスの女の子たちは血気盛んすぎるて……

 副会長はみなさんの玩具ではありませんことよ!

 

 「ということで……その、至急戻らなくてはならなくなりました」

 「分かっていますよ。えぇ、分かっていますとも」

 「………なんかキレてる?」

 「キレてませんが?」

 「そうだよね!」

 

 めっちゃ笑顔で凄んでくるからキレてるかと思っちゃったよ。わはははは!こりゃ早とちり。

 

 「今日はありがとう。ミカとセイアには後で連絡入れるけど、一応ナギサからも『また今度会おう』って俺が言ってたって伝えておいて欲しいな」

 「分かりました、ちゃんと伝えておきます」

 「マジ助かる。それじゃ───」

 「あぁ、待ってください」

 

 呼び止められて既に扉側に向けていた体を反転させると─────柔らかい感触が腹の辺りから感じる。

 

 

 「─────いってらっしゃい」

 

 

 俺の胴体を抱きしめ、上目遣いで微笑みながら見送りの言葉を送ってくれる。

 う〜〜む、()()()()

 

 「おう!元気もらえた!じゃあまたな!」

 

 笑顔で見送ってくれる彼女に、こちらも笑顔を返すこと────それこそ、彼女に誠意を示す最大の方法だろう。

 

 

 

 

 

─────

───

 

 

 

 

 

 窓から校庭を見下ろす。

 

 いろんな生徒たちから手を振られて、その度に手を振り返している彼を見て『キリがないでしょうに』と呆れながら、されど『それこそが彼だ』と納得してしまう自分がいる。

 

 「あれは……」

 

 上空からヘリが降りてくる。一切の乱れもなく、あの速度で下降できる技術は相当であるといえるでしょう。しかし、その正体も校章を見てすぐに察しましたが。

 アルファベット表記と共に真ん中に牡羊が描かれるあの校章は────

 

 「SRT特殊学園……」

 

 キヴォトスにおいて込み入った犯罪が起こった際に真っ先に投入されると言われる────対犯罪及び警備に於いての名門校と謳われる学園です。そしておそらく、連邦生徒会長が失踪した事で、その影響を最も受ける────いや、()()()()()()()()()学園でもあります。

 というのも、学園自体が連邦生徒会長の直属という特殊な学園でもある為、彼女が失踪した今の状況は存在意義すら疑問視されかねない状況なのですが……どうやら彼が全てを引き継いだそうですね。

 負わなくても良い“責任”を、SRTの生徒たちのために一身に背負って。

 

 「まったく……いつも無茶をするんですから……」

 

 しかし、“それでこそ彼だ”と1人で愉悦に浸る。

 紅茶がほんの少し甘く感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上空に見えなくなるまで見送り続けたあと、まるで堰を切ったように先ほどまで彼が寝ていたベッドに入り込む。

 

 彼と全く同じ寝相をしてみたり、いまだに残る体温を感じていると……仄かに香る彼の匂い。

 それはまるでお日様のような匂い。私を包んでくれるように────私の身体をダメにするように、脳から足先の爪まで血管や神経を辿って浸透していくのを感じ取る。

 そんな彼の匂いが私の匂いと混ざり合う。それが何処か背徳的で、だけど何故かとても素晴らしいもののように思えて─────

 

 

 「─────────」

 

 

 その事実が想像以上に刺激が強く、脳や背中に微弱な電流が走るように甘い快楽が駆け巡る。

 身体全体が火照り、先ほど別れたばかりだというのに“彼に会いたい”と切ない気持ちになってしまう。

 

 だけど────

 

 「はぁ……」

 

 ()()()()()()()を思い出してだんだんと熱が下がっていく。

 

 「異性の幼馴染というのは……そこまで特別なものなのでしょうか……」

 

 私にも幼馴染はいる。しかしミカさんは同性であり、異性間の幼馴染の関係というものは分かりません。

 ……やはり幼馴染というのは異性同性問わず大切な存在なのでしょう。彼が彼女───連邦生徒会長に赦しを与えていた時の表情。いつも朗らかな表情を私たちに向けてくれる彼だが、私たちといる時よりも更に朗らかで、まるで春風が現物化したような暖かさを含ませた笑顔でした。それは直感的に、今の私では引き出せないような顔だと分かってしまい─────

 

 

 「───────っ」

 

 

 思わず奥歯を噛み締める。

 えぇ、認めましょう。私はこれ以上ないほどに嫉妬しています。それこそ、今すぐにこの枕を叩きつけたいぐらいには。

 この場におらず、遥か遠くにいるだろう連邦生徒会長を想って朗らかに笑っている事実にどうしようもなく私の心が掻き乱される。

 いやそもそも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ……でも、“それが彼だ”って理解しているんですけどね。だけど、どうしても私だけを想って笑ってほしいと願ってしまう。

 

 

 ─────それに。

 

 

 「───もっと努力が必要、ということでしょうか……」

 

 思い返すのは、先ほど見送りの言葉と一緒に贈ったハグまでの過程。

 2人もいない状況だからと思い、少し積極的に出てみた私なりの勝負だった。

 余裕そうに取り繕っていても、私の心臓はこれでもかと脈動していた。必死に取り繕って、寂しい気持ちを覆い隠して、あなたへの好意すらもひけらかさずにあなたを見送ったというのに、彼は特段気にすることなく笑顔で行ってしまった。………異性の部屋であんなに密着しているんですから、もう少し気にしてほしいところですね。

 

 

 「……いいですよ。いつまでもなぁなぁで済ませたりなんか絶対にしませんから」

 

 

 愛は廻るもの。

 私が贈った今までの愛が利子のように積み重なり、それを返してくれる日をいつまでも待っています。……ただ一言、ほんの数文字伝えてくれるだけでいいのですから。

 ……まぁ、それはこのキヴォトスで幾人も思っていることでしょうけど。

 

 

 「────さて、まずは2人への()()()を考えてみましょうか」

 

 今も()()()()()()業務をこなしているだろう2人と、空に飛び去ってしまった想い人を想いながら、私は部屋を出るのだった。

 




太ももが触れ合うとか、好きな人の匂いが自分のベッドから感じるシチュエーションとか、他にも色々王道な感じでしたけど、やっぱりなんか好きなんすよね、王道。
だけど何処か仄暗い気持ちが出てしまうのも好きなんすよ(雑食)
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