機械少女と青春を   作:バグキャラ

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 過去に存在した、自動人形を用いた派遣会社があった。依頼主に機体を派遣し、家事育児から護衛任務。紛争地域への武力派遣など幅広く手掛けていた。しかし今はもうその企業や自動人形達は時代ごと過去へと忘れ去られ、それを知るものはもういない。
 そんな中、時代に取り残された1体の自動人形は、神秘渦巻くアーカイブの中で活動を始める。


 基本的に0章は設定を練るような場所なので、読まなくても構いません。





0章
目覚め


 風化した街の中の崩れた建物の一室にて、ソレはあった。地面に体を落とし、苔の生い茂った壁に寄りかかるような形で座り込んでその瞼を落としている。一体どれだけの時間をそこで過ごしたのだろうか、肩や頭には多くの埃を積もらせており、長く伸びた髪は艶を失って地面に広がっていた。

 

 ぴくりとも動かないソレはまるで眠っているようでもあり、そして誰が見てもヒトではない何かであると見て取れる。そのモデルを彷彿させる美しい四肢とは裏腹に、皮膚が剥がれ落ちたような傷がところどころに見え、そして剥がれた皮膚の下には金属のような鈍い輝きを持つ体を露わにしていた。

 

 とある企業によって開発、製造された自動人形であり、ソレは数百体と製造されたうちの一体である。過去に存在した自動人形を用いた人材派遣会社に所属していたが、どういうわけか機体の至るところに傷をつけてボロボロの状態でそこに倒れていた。

 

 纏っていた衣服はボロボロになっており、ところどころがほつれている。整えられた顔や胴体にはヒビや亀裂が入っており、指先も数本か欠けているように見える。スクラップも同然と言えるような状態であり、もう二度と起きることは無いだろうと思えたが、まるで何かに起こされたかのように突如として機体の起動音が鳴り響く。

 

「……これは」

 

 荒れた部屋の中でその機体は目を覚ます。長い間動かしていなかったこともあり、錆びついた首をギギギと鳴らしながらあたりを見渡す。

 

「……当機の記録(ログ)を確認、最後に起動した日付から現時刻に至るまでの全てを検索、及び表示

 

 そのように言葉を発する。久しく口を開いたことで喉が枯れたような声であったが、そんな自身の機体の状態に動じるようなそぶりを見せずに淡々と呟いた。そのかすれた声に反応するように機体に内蔵されたプログラムが応答する。

 

『検索終了。機体の損傷により、一部記録が破損しています。最後に起動したのはーーーー時間前。ーーーーによる任務の受諾及び任務の達成。本社への依頼の達成を送信。機体の破損により、自己修復プログラムの起動。修復完了時間まで残りーーーー時間。ーーーー時間前、機体の残存動力が一定数を下回ったため、低動力モード状態に移行。ーーーー時間前、機体の残存動力が一定量を下回ったため、自己保存プログラムを起動。メモリーが不足しています。容量確保のため不必要なデータを削除します…………削除完了。自己保存プログラムの起動。機体をシャットダウンします』

 

「……自己保存プログラムが起動していたのですか。それに時間が記録されていない、これは破損というより、メモリー容量が記録できずに破棄されたと見るべきですね。少なくともここ数十年はこのような状態だったとみるべきでしょうか……?」

 

 何かしらの原因によって機体の活動が困難になる、または動力が一定数を下回ると自動的に起動するプログラムであり、必要最低限の機能を残して機体が活動を停止するプログラムだった。

 

「……しかし何故私は起動したのでしょうか?外部からの動力供給ではなく、他者から起動させられたわけでもない……」

 

 自己保存プログラムが起動すると、プログラムの起動した原因の解決、及び動力の提供がないと停止した機体は再起動しない。再起動した場合は記録(ログ)にそれが記載されるはずだったが、そのようなものは記録されていない。

 

「……社からの通信も途絶えていますね。なにかあったと見るべきか、それとも機体の損傷によって通信が出来ていないのか……」

 

 機体に組み込まれたプログラムによって、彼女の所属する企業と定期的に通信されているはずだったが、それもずいぶん前に停止していた。単に機体の損傷によって通信が出来ない状態なのか、それとも通信相手に何かあったのか彼女は判断しかねていた。

 

「なぜ私は再起動したのか……そして社との連絡が途絶え、機体の記録には何も残っていない。そしてこの機体の状態…………ふむ」

 

 そうして彼女は目を覚ましたが、その場から動くことは無かった。想定外の事態が重なっている為であった。なぜこの状態でここにいて、そして記録がされていないのか。彼女はそれを解決する必要があるとして、ボロボロの機体と組み込まれたプログラムを最大限活用し、自身がどうするべきかを導き出そうとしていたからである。

 

「……………………」

 

 それは長い時間であった。以前までは高度な演算を可能としていた機体だが、そのボロボロな状態ということもあり、残りわずかなメモリを全て割り当て、時間をかけてゆっくりと行っていた。

 

 

 

 そして、彼女が目を覚ましてから、どれだけの時間が経っただろうか。わずかに差し込む外の光が明るくなっては暗くなるを数十回と繰り返したのち、彼女は動き出す。ボロボロの機体を、所々がひび割れて風化した四肢をゆっくりと立ち上がった。ぎこちない動きで四肢をつなぐ関節からは軋んだ音を鳴らし、身に着けた衣服や人工皮膚が剥がれ落ちるのを気にも留めずに。

 

 

 

 そして目を覚ました1体の自動人形は、青い青春の舞台にて行動を開始した。




 初投稿です。ここまで読んでくださりありがとうございます。続きは未定ですが、今週中に出せたらいいなーと思っております。

 評価、お気に入り、感想等よろしくお願いします

登場するメイドさん達の名前ってあったほうがいい?

  • いる
  • いらない
  • そんなこといいからはよ続き書け
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