機械少女と青春を   作:バグキャラ

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 大変長らくお待たせしました。前回の投稿から3カ月、色々とやることが終わったが故に遊び耽り、投稿が遅れたことをここにお詫びします。

 特に某ソシャゲの戴冠戦(剣)とか戴冠戦(狂)とか箱イベとか戴冠戦(槍)とか周年とか戴冠戦(EX)とか宝箱イベとかレイドとか戴冠戦(騎)で忙しく、小説執筆に全く手が付きませんでした。

 一応は書き貯めた話数がそれなりにあるので、今週分は毎日投稿ができるかと思います。


解決への一歩

 アビドス自治区。砂に覆われた立地は、その広大な面積から従来まで多くの者で栄えていたが現在は砂嵐による荒廃が悪化する一方であり、暮らしていた住人達も数を減らしゴーストタウンと化していた。

 

 そんな自治区を今もなお管理し続けていたアビドス高等学校にて今日、銃弾や火薬の飛び交うキヴォトスでも稀に見ないほどの大きな大爆発が起きていた。

 

 場所は、学校敷地内に備えられたグラウンド。つい先程まで装甲車を中心とした部隊がグランドの中央で陣形を組み、その砲門でアビドス校舎を狙っていた。しかし現在は、そのような物は跡形もなく消し飛んでおり、学校を囲んでいた塀にぶつかるようにして飛散した金属片が確認できるだけであった。

 

 多くの土や砂を強く押し固めることで造られたグラウンドの中央には、これでもかというほどの大きな穴が開いており、数km離れた場所からでも確認できた爆発の大きさがそれを物語っていた。

 

 その爆発は当然グラウンドに留まるはずはなく、衝撃や爆風はアビドス校舎の窓ガラスを全損させ、学生5人の手入れでは限界のある校舎の破損具合をこれでもかというほどに加速させていた。もはや倒壊しなかったことが奇跡だといえるそれはキヴォトスならではの常識だろう。

 

 そんな爆発を引き起こした4人は、先生の指示によって作成したバリケードの元に避難していた。

 

「イタタ……皆さん、大丈夫ですか?」

 

「うーん………まだ耳がキーンってするわね」

 

「この間の戦車の下で隠れた時の衝撃よりも大きかったですね……対戦車地雷だけでこの爆発は絶対に起こらないですよ?」

 

「そ、そうよ!アヤネ、一体何したのよ!」

 

「わ、私もこれほどの威力だとは思ってもみなくて」

 

 グラウンド中央に鎮座する装甲車部隊を排除するためにこの作戦を立案したアヤネ自身も、予想外の威力に放心しかけていた。

 

「えっと、アヤネちゃんが知らないとなると……」

 

 ノノミの声と共に、3人の視線が1人の生徒の元へと集まる。

 

「……シロコ先輩、なにを搭載したんですか?」

 

「……ん」

 

 メガネのレンズが光の反射によって目元が確認できないアヤネからの追及を、自身万満の表情で返事をするのは、今回のドローン特攻作戦を決行するにあたってドローンに対戦車地雷の搭載を担当したシロコであった。

 

「地雷と起爆用の爆薬だけじゃ不安だったから、アレも一緒に入れた」

 

「あれって……まさか!」

 

 爆発によって煤汚れた髪を、動物が水を振り払う動作のごとく頭を振るシロコが指を指したのは、使われていない校舎の教室で厳重に保管されていた、頭の欠けたミサイル達であった。

 

「シロコ先輩!もしかしてあのミサイルの弾頭を詰め込んだんですか!?」

 

「大丈夫、ちゃんと全部使いきった」

 

「そこじゃないわよシロコ先輩!」

 

 1年生の後輩からの追及を、これでもかというほどの表情で答えるシロコに対して、そうじゃないと突っ込んだ。

 

 空き教室で保管されていたミサイル。それは、これまでアビドス高校を襲撃していたヘルメット団の所有していたものだった。

 

 実際に使われたのある代物でもあり、今後の校舎に対する襲撃への懸念と、アビドス高校と同じく資金に余裕があるとは思えないヘルメット団がコレを複数所有していたことによる疑わしい点から、アビドス対策委員会はコレを調査と安全確保の為に鹵獲、接収していた。

 

 すでにこういった兵器を取り扱う企業のカタログからは姿を消しており、いわゆる廃盤という扱いを受けていた代物だが、なにも実物そのものが無くなったわけではない。

 

 製造から月日が経ち安全に使用できる保証はなく、それでいて保管場所の場所を取り更にはメンテナンスが必須であり廃棄にも金が掛かる厄介者だったが、それを買い取るという物が現れたのだ。

 

 このような厄介者を買い取ると言ったは他の誰でもない人物、カイザーPMC理事。アビドス高校を襲撃させる為に雇ったヘルメット団たちに流す兵器を探していた彼にとってこれ以上ないほどの代物だった。

 

 自社の取り扱う兵器をヘルメット団に直接流しては、その繋がりを指摘され会社にとって不利益をもたらす可能性があった。そのために別の手段を探していた彼は、ミサイルを保有していた企業に話を持ち掛け、既に廃盤となり売れる見込みのない点や管理に金が掛かることを理由に、他の兵器も合わせて安く大量に買い取っていた。

 

 その買い取ったミサイルをそのままブラックマーケットを経由してヘルメット団へと流し、アビドスへの襲撃へと使うように指示していた。必要以上の兵器の供給は彼の計画を迅速化させる意図もあったが、それが巡り巡ってアビドスの元に渡り、そして現在カイザーPMC理事の部隊を消し飛ばす要因となった事実はなんとも不可思議な出来事であった。

 

「……さすがに学校への被害はこれ以上容認できませんが、予定通り敵部隊の排除は完了しました。各自補給を終え次第、アビドス市街地へと向かいます!」

 

 事態の把握と次の作戦方針を提示したアヤネに対し3人は強く頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は移り、アビドス高校旧校舎。現在対策委員会が使用する校舎から少し離れた場所に位置する建物にて女性が1人端末を手に、ある人物へと連絡を取っていた。

 

『そちらから随分と大きな音が聞こえましたが……』

 

「いや、大丈夫だよ。心配かけたかな?」

 

『いえ全く』

 

「ひどくない?」

 

 対策委員会が定期的に清掃、整備を行っているとはいえ所々に埃が被っている教室内にて、対策委員会の顧問に就任した人物。シャーレの先生が電話越しの人物と軽い雰囲気を持ちながら会話をしていた。

 

『何をしているのかは存じ上げませんが、S.C.H.A.L.Eの権限で大きな騒ぎを起こすと更なる火種を呼びかねませんよ』

 

「そこは私もわきまえてる。あくまでも先生の立場として行動してるつもりだよ」

 

『それが先日の一件に対する回答でしょうか?』

 

「ありゃ?知ってたの?」

 

『知らない訳がないでしょう。あの後、連邦生徒会に対して関係性を説明しろとの声が多く届いていますので』

 

「あ、あはは……迷惑を掛けるね、()()()()()

 

『誰がリンちゃんですか』

 

 先生との電話越しに話す人物。それは連邦生徒会主席行政官であり、現連邦生徒会会長代理を務める七神リンであった。

 

『……連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの持つ超法的権限は、その公平性と生徒を主体とした活動から付与されていると認識できる点があります。先生がアビドスの件で出向いていることは存じておりますが、その一環において私情でいち企業と事を構えるなどといった件で、その信頼を裏切ることがないように』

 

「……忠告、痛み入るよ」

 

 一呼吸おいた先生の返事は、先日の出来事での行いを改めた言葉でもあった。

 

『では何故、私に連絡を?先程の件に関しては先生自身の権限で可能なことであって私を通す必要はありませんが……』

 

「それだと生徒達の為にならないからね」

 

『この電話はあくまでも建前だと?』

 

「えー……それ言っちゃう?折角口に出さなかったのに」

 

『──この会話が公の場であれば、もしくは第三者に聞かれれば即刻、連邦捜査部S.C.H.A.L.E。及びそれを直轄として設立した連邦生徒会に対し疑いの目が掛かることでしょうね』

 

「だからこそ私から電話を掛けたんだよ。こっちで盗聴対策はしてるから安心して内緒話ができるね」

 

『教師とは思えない発言ですね。連邦生徒会専用のセントラルネットワークにアクセスしてまで連絡したかったことが先程の件だと?』

 

「お願いできないかな?今日一日だけでいいんだ」

 

『なおさら怪しまれることでしょう。仮に出来たとして、その後にどうするおつもりで?』

 

「やるべきことが終わったら正式に手続きするよ」

 

『………これも生徒の為だと?』

 

「──私1人で解決してしまうと、きっとまた、どこかで同じような事が起こると思う。それだとただの堂々巡り、そしてまた生徒達が辛い思いをしてしまうかもしれない。……私はそれが許せない」

 

『…………』

 

 電話越しに話すリンに対し先生は、端末を握る手に力が入る。口調も軽い雰囲気から一転、強いものへと変貌し自身の思いを電話越しの相手へと伝えた。

 

 アビドス市外地から聞こえてくる戦闘音を除き、静寂に包まれたアビドス旧校舎。電話から聞こえてくるかすかため息の後に、声が続いた。

 

『……わかりました。後程、作成した文書をネットワークを経由してお送りします。正式な書類は後日作成するとなる以上、仮のものであるコレは書面には残せませんので』

 

「助かるよ。迷惑を掛けるね」

 

『自覚しておられるのであれば、まずは提出される書類のミスをなくすようにお願いします』

 

「……え?」

 

『先生がアビドスへ赴かれる前に提出された書類は先生が提出されたものとは思えないほどに訂正する部分が無いものでしたので感心したのですが、どうやらこちらの思い違いのようでした』

 

『あっ……あー……えっと、その書類は…そのー……作ったのは私なんだけど、その……メイドさんが訂正してくれたやつで……」

 

『普段から散見されるはずの誤字脱字が無く、アラビヤ数字も漢数字に直されていたのですがね。直筆のサインが無ければ偽造を疑ったことでしょう』

 

「……はい。すいません……

 

『先生は大人である以上、こうした書類はミスなく作成して頂きたく』

 

申し訳ありません……」

 

 七神リンに対して強い思いを語った者とは思えないほどのか細い返事は、さらに深く電話越しからはっきりと聞こえるほどにため息をつかれるのであった。

 

『……もっとしっかりしてください。その様子で生徒の前に出ては連邦生徒会直下の組織として示しがつかないでしょう』

 

「そこは大丈夫!しっかりと切り替えるから」

 

『私の前でも切り替えて欲しいのですが』

 

「ちゃんと切り替えてるよ。ほら、オフの私もイケてるでしょ?」

 

『先生』

 

「ごめんなさい」

 

 その一言は、電話越しの向こうからでも感じ取れる圧を帯びていた。

 

『はぁ……書類を作成したのでそちらにお送りします』

 

「え、もう出来たの?」

 

『こうした書類作業は慣れていますので』

 

「言葉の重みが違うね……うん、受け取ったよ。本当にありがとね…………ん?これって」

 

『では私はこれで。あくまでもこれは()()()()()S().()C().()H().()A().()L().()E()ではなく、()()()()()()()()()()()からの嘆願書によって作成したものですので』

 

「──いいの?」

 

『建前というものですよ』

 

 そういってお互いを繋いでいた端末から声が途絶えた。先生の持つシッテムの箱に届いたデータ内容を改めて確認し、現校舎の教室に置かれたコピー機へとデータを転送する。

 

 つい先ほどまで行われていた校舎内での戦闘が終了し、ひとまずの安全確保を終えた本館へと移動し始めた。キヴォトスにおいて先生自身の身がどれほど脆いのかは彼女自身が一番理解している。

 

 ゆえにこの場での会談。彼女たちの戦闘の最中にて、自身が生徒の重みとしまわぬよう配慮した行動であり直接指揮が出来ないが故の戦況データのサポートを行っていた。が、改めて現在の状況を確認して彼女の予想を遥かに超える戦闘は、その整った顔を引き攣らせるには十分すぎるものであった。

 

「……校舎内でのゲリラ戦にグラウンドの機械化歩兵を車両ごと爆撃………無茶するなぁ全く」

 

 思わず溢れでたその言葉には呆れたといった感情は感じられず、むしろ嬉しそうなものが含まれていた。

 

 すでにアビドス校舎に対策委員会は残っておらず、大穴の空いたグランドを通って市街地へと向かっている。現在あちこちに弾痕や煤汚れを残した校舎を歩くのは先生だけだ。

 

「さて、私も急がないとね」

 

 そう言って先生は、誰もいないアビドス校舎の廊下を駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦場がアビドス高等学校から変わり、アビドス市街地。カイザーPMC兵士たちの統一された装備と足並みの揃った進軍に対し、対策委員会の4人は一進一退の攻防を続けていた。

 

 彼女たちの通い慣れた通学路とはいえ遮蔽物の少ない道路での戦闘は正面衝突が避けられず、先程の快進撃とは打って変わった様子であった。

 

 既に市民の避難誘導は終えている。アヤネの放送とドローンを介した拡声器による呼び掛けが功を奏し、継続的に送られてくるシッテムの箱の戦況データから見ても、この戦場に逃げ遅れた市民はいない。

 

 ゆえに建造物を除き彼女が周りに気を遣うことはないのだが、それは何も彼女たちだけではない。

 

 カイザーPMCの兵士たちの進軍による建造物への攻撃も、理事長の計画にとって邪魔でしかない一般市民を排除する意図があってのものであり、それが果たされた以上彼ら(軍隊)の本懐を発揮できるというものもまた事実であった。

 

 対策委員会の少人数だからこその高い連携も、遮蔽物の少ない市街地の大通りや列を成して進軍してくるカイザーPMCの圧倒的な物量を前にしてはその実力を発揮できず防戦一方であり、時折隙を見ての果敢な攻勢もまた補充される兵力を前に成すすべない状況であった。

 

 しかし、そんな状況でも戦う彼女たちの頭に”撤退”の二文字はなく、銃を握り戦い続けた。こちらの物資に底が見え始めた状況でも下がることのない気迫と胆力はあのカイザーPMCの兵士たちを僅かばかりでもたじろかせた。

 

「なんだ、無駄に抵抗する勢力が居ると聞いてきてみれば君たちか」

 

「「「「!!!」」」」

 

 PMCの兵士たちとの交戦中に突如として聞き覚えのある声に一同は動きを止めた。銃を向ける先に居る部隊の中から出てきたのは、見覚えのある黒いスーツとオレンジ色のネクタイをした人物、カイザーコーポレーション理事であった。

 

「一体なんの真似ですか!いくら土地の権利を持っているからといって……街を攻撃する権利なんてないはずです!」

 

「そうよ!それにまだ学校は私たちのものよ!こんなことをしてくれるなんてただじゃおかないからね!」

 

「あの時の話は全部嘘……いや、そんなことよりもホシノ先輩はどこ?」

 

「くくくっ……弱い者、愚かな者ほどよく吠えるものだ。権利がない?ただじゃおかない?……ならばどうする、連邦生徒会にでも通報してみるか?」

 

「…………」

 

 カイザー理事に対し声をあげるアビドス対策委員会であったが、当の本人は終始余裕のある表情を浮かべている。

 

「まぁ連邦生徒会だけでなくともよい。他の自治区、他校に助けを求めてみたらどうだ?答えてくれるかは別だがな」

 

「「「「…………」」」」

 

「既に君たちも分かっているのだろう?今まで君たちの声を聴いてくれた者はいたか?手を差し伸べてくれた者はいたか?……いなかっただろう?それが答えだ。そして現在、アビドス高等学校の最後の生徒会メンバー、小鳥遊ホシノが退学した。これがどういうことか、言わずとも理解できるだろう」

 

「………」

 

 カイザー理事の問いに対し、アヤネは苦い顔を浮かべる。学園都市キヴォトスにおいて生徒会とは、その学校もしくは自治区において最も大きな権力を持つ組織である。その生徒会がある学校から周囲の自治区の管理は勿論、連邦生徒会における議会への出席権などから、その組織がどれだけ重要なのかは誰もが理解していた。

 

「どうやらそこの眼鏡の娘は理解しているようだ……所詮君たちは非公認の委員会なのだからな」

 

「───えっ?ひ、非公認ってどういうこと?」

 

「……非公認……」

 

「全く……君たちは今まで一体なにをやっていたのだね?ただ我武者羅に借金を返せば済む問題とでも考えていたのか?」

 

 カイザー理事からの追及に銃を構えながらも困惑の声をあげるセリカと、突きつけられた事実を口に出すシロコの様子に本人は深くため息をついた。

 

「──残念ながら事実です、皆さん。私たちアビドス対策委員会は正式に承認を受けた部活ではありません……対策委員会が出来た時には既にアビドスの生徒会は存在していませんでした……」

 

「……!」

 

「え、えっ!?じゃあ今まで私たちは……」

 

 アヤネによって発覚した現状は、このアビドスでの騒動が始まって以来一番の衝撃であり、思わず声を張り上げた。

 

「そうだ。アビドスの生徒会最後のメンバーであった小鳥遊ホシノが居た時までは、その存在がなぁなぁで済まされていたが、今はもう違う。正式な書類の降りていない部活など、ただのお遊びのようなものだ。だがまぁ……そのお遊びも終わりだがな」

 

「こいつ……!」

 

 挑発のようにも聞こえるカイザー理事の声にセリカとシロコは銃口を向けるが、理事の周りに居る兵士が素早く射線を塞いだ。

 

「反論できないからこそ、銃を突きつけることしか出来ないだろう。しかし、良かったではないか。アビドス高等学校が無くなる以上、君たちは借金地獄から抜け出すことが出来るのだからな」

 

「「「……」」」

 

 アビドス一同はその言葉に歯がゆい表情を浮かべると、カイザー理事はどこか意外そうな表情で言葉を続けた。

 

「何だね……まさかあの借金を本気で返そうと思っていたのか?一向に減らない借金と、その利息を。てっきり都合のいい言い訳の為に返済しているのかと思っていたが……」

 

「……は?」

 

「最後に諦める際にはちょうどいい理由ではないか──”頑張ったから”と」

 

「……もういい、撃つ」

 

 そういってスコープ越しにカイザー理事にスコープを覗きこむシロコと、それに合わせて武器を構えるカイザー理事の兵士たち。どちらかの引き金が戦闘への再開となる状況となるが、アビドスの3人は止めようとすることは───否、止めようとする理由が無かった。

 

 それは、カイザー理事の発言に怒りを覚えたからではない。むしろその逆、カイザー理事に言葉に打ちのめされてしまったからであった。

 

 ここでいくら戦ったところで何かが変わるわけではない。今もなおカイザー理事の兵士たちの増援が確認できるこの状況にたった4人が立ち向かったところで結果は見えていた。

 

 武力でダメならば世論に訴えかけてはどうか。しかし、キヴォトス有数の企業に対し、たかが一つの部活。それも廃校も同然の学校の、認可もおりていない団体が声をあげたところで意味はないだろう。

 

 もし、この戦いに勝てたとしてもその後はどうなるのか。学校を失えば、そこまで。学校を取り戻せたとしても莫大な借金と、その利息。

 

 土地はなく、人脈もなく、生徒会もなく、頼りであった先輩(小鳥遊ホシノ)もいない。

 

 そうして、銃を握る手に力が入らずに落としかけてしまいそうになったその時……

 

 

 

 

「「「「……!?」」」」

 

 

 

 

 その爆発は起こった。

 

「な、なに!」

 

「まさかアビドス自治区への攻撃再会を……?」

 

 一触即発であった状況に思わず慌てるアビドス一同であったが、どうやら驚いたのはアビドスだけではなかった。

 

「な、なにが起こった!?」

 

「ふ、不明です!増援にやってきていた部隊後方で、突如爆発が!」

 

『報告します!合流予定であった増援部隊の小隊が、なぞの爆発に巻き込まれ……な、なんだ!?また爆発が……』

 

 理事からの問いかけに言葉を変える兵士たちと、その通信だったが再度爆発音が聞こえると共に音信不通となった。

 

「増援部隊からの連絡です!進行予定であった通路横のビルが突如として倒壊を始め……」

 

「ほ、報告です!部隊後方で待機していた予備装甲車両が突如として襲撃を……」

 

『理事長!別動隊の小隊が襲撃を受けたとの連絡が───」

 

「な、なんだ!?一体何が起きている!アビドスの連中はここに居るやつらで全員のはず……」

 

「全く……だまって聞いていれば、ぐちぐちとみっともないわね!」

 

「いやいや……さっきまで別の場所にいたんだから、そんなこと聞いていないよ社長」

 

『こっちも足止め完了だから合流するね♪』

 

「あ、アル様!指示通りに別動隊への襲撃が完了しました!」

 

「……!?あ、あなた達は──」

 

「────お待たせ、みんな。よく頑張ったね」

 

「「「!!!」」」

 

「さて、反撃といこうか」

 

「「「 先生! 」」」

 




 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

 感想やお気に入り登録、評価や誤字報告が私にとってなによりのモチベーションと励みとなります。これからもよろしくお願いします。

登場するメイドさん達の名前ってあったほうがいい?

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  • いらない
  • そんなこといいからはよ続き書け
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