カイザーPMCとの戦闘中、彼女は戦場から離れたビルの屋上から届く視線を感じていた。その視線の主を直通見たわけはない。どんな人物なのか人影を見れたわけもどんな思惑を含んだ視線だったかも全て先生の推測となる。が、それでも確信を持ったいた。
「(あの視線はきっと…………Aid Lady)」
先生がアビドスを訪れたからも数度、彼女たちと顔を合わせる機会があり、声や銃弾を交えての交流が多々あった。先生もまだキヴォトスに来たばかりということもあって、それほど多くの関係を築きあげたわけではないが、その中でもとりわけAid Ladyは強い印象を残していた。
初めての会合はユウカからの提案によるAid Ladyへの事務作業の依頼である。ユウカの所持していたカードを用いてでの依頼であり、実際は先生が依頼をするという代理を交えたものであった。依頼の為の連絡から内容の伝達、そして受理までの一連の流れはSF染みた立体映像に驚きこそあれどもつつがなく終わり、シャーレへと訪問した際に初めて、彼女と相対した*1。
彼女が機械であるということに驚愕し、続く作業も難なくこなす様子に口を挟めずにいたユウカの様子は今でも鮮明に思い出せる。
2度目の遭遇はアビドス対策委員会との会議中に起こった出来事であった。絶え間なく襲撃に来るヘルメット団を先生の指示の元で撃退し、その勢いに乗って彼女たちの拠点を襲撃した次の日のこと。傭兵を率いた便利屋68のそばにいたメイドである。先生が咄嗟に投げかけた質問への回答から、便利屋68に条件付きで雇われていたことが予測できた。*2
その後のセリカとホシノそしてメイドによるひと悶着があったが、特に全員怪我無く場を収めることができた。
3度目はブラックマーケットでのこと。先生の元にトリニティ総合学園の生徒を連れてやってきたメイドであった。ヒフミと名乗る少女が好むグッツを購入するための護衛として雇っていたとのことであり、ヒフミを先生へと預けるもとい押し付けたのちに、サービス対象内ということで彼女を追う不良グループと騒ぎを聞きつけたマーケットガードへの対応ということでのその場を後にしている。*3
その後に判明した事実だが、あの後のメイドはヒフミを追っていた不良グループとマーケットガードを1人で抑える──否、蹂躙とも呼べる戦闘にて撃退しており、先生の持つタブレット内の少女からの報告を聞いて顔を引きつらせたことは記憶に新しい。
4度目はアビドス対策委員会と便利屋68による正面衝突直前のことであった。以前までに出会ってきたメイドとは違い、その印象はどこか幼いというものであった。先生がメイドがAid Ladyの関係者だと気付いたのは、特徴的な服装と幼さを感じさせながらも出会ったメイドの面影を感じる顔立ち。そして、出会ったメイドたち全員から感じた不思議な感覚、言い換えれば得体の知れなさを同様に纏っていたからであった。
そして先生の推測は現れたメイドの口から語られたことで的を得ていたことが判明した。
人材派遣会社Aid Lady。これまで出会ってきたメイド達、その代表を務める人物であり、その時の衝撃は便利屋68との一触即発の状況ということもあったことで、その場の全員が強いものであった。
先生もまた強い衝撃と同時に、この事態に介入・参戦するのではと警戒に値する人物であったが、その予想に関しては外れたというべきか。ただ便利屋68に用があったが故に現れただけということであって、対策委員会とのやり取りに参戦どころか介入すらもするつもりはないとの意志表明があったのだ。
その言葉は先生にとってどれだけありがたかったことか、以前のホシノとメイドの一瞬のやりとりやブラックマーケットでの一件からその強さは計り知れないほどに高いと評価しており、先生自身もまた勝てる保証がない───指揮する生徒たちが無事では済まないと思っていたために、その安堵感は大きなものであった。
5度目はつい先日のこと。アビドス砂漠の果てに建てられたカイザー軍事施設での会合であり、アビドス自治区で引き起こされていた事件の全貌、その引き金となった人物と共に現れたAid Ladyの代表である。そのやり取りの始まりは先生から見ても印象悪いものであり、対策委員会側からの先制攻撃であった。無論、こちらもその意図はなく、そしてAid Ladyの代表からの配慮もあってか事故であったと流されたのはどれだけ幸運だったか。
その後の事件の全貌が明るみとなり、それを動かしていた人物であるカイザーPMCとのやり取りの間では特に口を挟むようなことはなかった。ただ数歩距離をとって会話の内容を最後まで聞き手に専念するかのような立場をとっており、こちらに敵意はないとの意思表明をしているとも感じとることもできた。
その後に彼女がどうしたのかを先生は知らない。あの場に居たということは、カイザー理事とのやり取りがあったのは間違いないが、その内容がなんだったのかを知る
5回。先生がキヴォトスへと来訪し、そのまま連邦捜査部シャーレの顧問として就任してから5回、Aid Ladyと接触、および交流があった。そのどれもが先生に強い印象を植え付けており、先生自身も油断ならない相手だと認識している。
相手は良くも悪くも企業であり、日々の交流で利益を求めていることは明白であった。それ故か、
カイザー軍事施設にて、Aid Ladyの代表がそう呟いた言葉を思い出す。彼女は言った
対策委員会に対して事を構えるつもりはない。という意図だったのであれば、それはキヴォトス及び各学園において絶大な権限を持つ連邦捜査部シャーレを軽んじるように捉えられ、今後の彼女たちの立場は不安定なものに。*4
連邦捜査部シャーレに対しての意図だったのであれば、それはアビドス対策委員会の存在否定のようにも捉えられる。彼女たち自身がゲヘナ風紀委員会との一件の際に伝えられた内容からして、当時のアビドス対策委員会が契約・公的な面でどれだけ脆弱な存在だったのかは間違いなく知っている。*5マーケットガードを単騎で蹴散らせるほどの武力を備えた者が最低でも5人は存在しており、加えて資金面や技術面も元アビドス自治区の荒れ地を復興させた手腕を見ればどれだけ高いのかは言うまでもない。そんな超次元的な企業にとってアビドスは眼中にない、そのように受け取れるからだ。
だからこそ、どちらともとれるようでとれないような解答こそが、あの場において最適な意思表示だと。後になってアビドス兼シャーレとカイザー理事とのやり取りでどちらに形勢が傾いたとしても、彼女たちが最大限利益が取れるような立場に収まることこそが彼女の狙いだったのではないかと。
結果はどうあれ、先ほどの戦闘に参加することは無かった。先生含む対策委員会が去った後のやり取りでカイザーPMCと Aid Ladyとの協力関係を結び、援軍に来たのかのも思ったが、そんなことはなく不可解な視線を最後に、あの場所から立ち去っている。
「(……考えすぎかな。あくまでも推察、それならいっそのこと敵意表明してくれたほうが───いや、流石にそれだけはないか。カイザー理事より何倍もメイドさんたちの方が厄介……というか怖いかなー。あの時はカイザー側に付いたと思ったけど、そうでもないみたいだし……メイドさんたちの今後の動きによってはこっちも本格的に───)」
そう思考を回しながらあの時のメイドの真意を探る先生は現在、対策委員会と共に学校へと戻った後にそのまま1人、別の場所へと向かっている。脚を運ぶ先はアビドス市街地から離れたビル群である。すでに利用者どころか所有者すらもいるか怪しいビルは、定期的な砂嵐によってガラス窓で構成された壁に黄色いアクセントがあるように見える。
そんなビル群の中の一つに先生は足を運んだ。既に周りに人気はなく、日も落ちてきたことで辺りには寒く乾いた風のみが通り抜けるだけだった。
「……さて」
突如として先生のもとに届いたメールを元に、足を運んだこの場所はまだ利用者もしくは所有者が管理を行っているのであろうビルが建っている。メールの内容は定かではないが、それでも無視するにはリスクが大きすぎる内容。
先生は先生としてホシノを助け出すために、そのビルの中へと足を運んだ。
ビルの中へと入り、そのまま指定された部屋へ向かうべく、エレベーターへと乗り込む。指定された階数はこのビルの最上階。その奥に位置する部屋であった。
「……来たよ」
たどりついた部屋のドアの前でそう一言。メールの内容が確かであれば、部屋の中にいるであろう人物に対してご丁寧にノックをする義理もないため、そうぶっきらぼうに言葉を吐いた。
「どうぞ」
先生の声に反応するかのように、部屋の中から声が届く。了承は得た。ドアノブをひねり、彼女を呼んだ人物のいる部屋の中へと脚を踏み入れた。
「………おまちしておりました。シャーレの先生」
「……あなたがこのメールを送った人物、でいいのかな?」
「はい。こうして一度、顔を合わせて貴方をお話してみたかったのですよ」
部屋の中央に置かれたローテーブルを挟んだ奥の執務机。その椅子に座る異形の頭をもつ人物、黒服はそう答えた。
「あなたのことはよく知っています。かの連邦生徒会長に呼ばれ、オーパーツであるシッテムの箱を扱う資格のある存在……連邦捜査部のシャーレの主だと」
「ふーん、過分な評価痛みいるといえば満足かな」
「おや、自己評価は低く見てらっしゃるのでしょうか?」
「私としてはただの教師。みんなの先生ってだけだよ」
「……ふむ。あなた自身を含め、あなたを過小評価されている者が多くいますが、私たちは違います。はじめに言っておきましょう、私たちは貴方と敵対するつもりは毛頭ありません。むしろその逆、協力したいと考えております」
「…………はっ」
椅子に座って手を組み、先生の方を見上げる黒服はそう述べると先生は息を吐いた。
「私の大切なものに手を出しておいて敵対するつもりはない?酒が入ってるなら抜いてくることをお勧めするよ」
「……私たちにとって一番の存在はアビドスでもなければカイザーでもトリニティでもミレニアムでも連邦生徒会でもなく──貴方なのですよ、シャーレの先生。そのため、私たちは貴方と敵対することを避けたいと考えております。貴方の存在は───」
「話の途中で遮って悪いんだけどさ、その私たちってのはなに?貴方を含めて私に喧嘩を売りたい人のグループってことでいいのかな」
「おぉ、これは失礼しました。自己紹介はお互いを知る為の大事な一歩ですので……。私の名前は黒服。あなたと同じくキヴォトスの外部の者です」
「……酒が入ってるってわけじゃないみたいだね。いやー世界って広い。私の地元じゃ貴方みたいな人は見かけなかったけど、探せば貴方みたいな人が居るのかー」
「くっくっく……私たちと先生とでは互いに領域が違いますので。それとお酒に関しては嗜む程度ですので……よろしければご用意しましょうか?ここでは入手しずらい銘柄も取り揃えていますよ」
そういって視線を先生から移し、壁側に置かれたウィスキー棚へと映した。それに合わせるように先生もまた視線をずらす。
「……へぇ、随分いい趣味してるじゃん。あなたとの出会い方が違ったらぜひともご相伴にあずかりたい銘柄がずらりとあるね」
「どうでしょうか?グラスはすぐにご用意できますが……」
「遠慮させていただくよ。第一そんな用事でここに来たわけじゃない。それはあなた自身が一番理解してるでしょ」
「かしこまりました。改めまして、私たちはゲマトリア。キヴォトスにおける観察者であり、探求者であり、研究者です。貴方と同じ不可解な存在と捉えていただければ」
「人のことを勝手に不審者扱いしないで欲しいな。どうする?手鏡ならあるよ、ほら」
「おや、見た目での判断とは失望しました」
「その顔のヒビ割れを直してから言いなよ。先生の立場で言うのもなんだけど、その頭と黒スーツとかどうみても不審者を名乗りたい為にやってるようなもんでしょ」
「クックック……これはこれは………言われてしまいましたね。ですがこの黒服という名前もまた、この服から来ておりまして。いささか安直かとは思われると思いますが、なにぶん気に入っておりますのでそう呼んでいただけたら」
「おっけー不審者。これからはこう呼ばせてもらうよ」
「連れませんね……それと一つ。お尋ねしたいことがありまして───私たちゲマトリアと手を…」
「ない」
「……まだ最後まで言っていないのですが」
「なら最後まで言ってみなよ」
「……私たちゲマトリアと手を組む、協力するつもりはありませんか?」
「微塵もない」
「……左様ですか……」
「答えが変わると思った?」
「提案にしかり話としかり、人の話すことは最後まで聞いてみるものですよ」
「それが聞くに値する内容ならね。少なくとも私には聞くに値しない内容だった」
「……追加でお尋ねさせてください。真理と秘技を手に入れられる機会を断ってまでして、あなたはこのキヴォトスで何を求め、追求するのですか?」
「──決まってるでしょ。先生が求めるものは3つ。生徒の安全と成長、そして未来だよ」
「なるほど、先生という名に相応しい探求と言うわけですか」
「…………意外だね。生徒を実験材料にする研究者を名乗るくらいだから頭でっかちで、理解できないとか言うかと思ったよ」
「否定はしません。ですがこれもまた、私と先生。お互いの理解を深めるための一歩と考えておりますので」
「ならその理解とやらのためにも、ホシノを返してもらおうか」
「かしこまりました。ホシノさんが居る場所については先程連絡をした端末に送りましょう」
「…………ずいぶんと素直だね。何を企んでいるの」
「おや、貴方の方から返せと言われたのでそれに応じようとしたまでなのですが、………酷い言われようですね」
「こればかりは惚けないでほしいかな」
黒服から返ってきた答えに対し、先生は僅かに圧を含めて再度問い直した。
「私と敵対したくない、それは多分本当。だけど、それだけで貴方がホシノを諦めるなんて思えない。多分カイザー理事を動かしていたのも貴方でしょ?そこまで手回しをしてまでようやくホシノを退学まで追い詰めて、さらには契約まで結んだ。だけど──」
「はい。その契約の破棄を私からしようかと思いまして」
「……なんで?あなたにメリットなんて1つもない。それどころか時間も金を無駄にしたはず」
「……ふむ。強いて言うのであればこれ以上続けても意味がない。そう判断したからです」
「……」
「確かに小鳥遊ホシノさんの身柄を含む全ての権利を譲渡させていただきました。ですが、その契約の中で致命的なミスがありまして……えぇ、それが先生の切り口でもある───ホシノさんの退学届けです」
そう言って黒服は、執務机の横に付けられたキャビネットからバインダーを取り出し、一枚の紙を取り出した。
ホシノの身柄を含む権利の譲渡に関する契約書である。
「私はホシノさんが自分の意志をもってアビドス高校を退学したと判断し、ホシノさん自身もまた退学の意志をお持ちでした。無論、退学届けの控えも提出されていますので、私自身疑いもしませんでしたが───どうやらその退学届けに記入漏れがあったようでして」
黒服の言葉に先生もまた、白衣の内側から書類を一枚取り出した。
退学届け。そう書かれた書類にはホシノの記入した文字が確認でき、それは彼女が退学の意志をもって書いたものだとわかる。だが、これは書類としては未完成のものでもあった。
左下の四角い空欄。担当顧問と記載された枠は白紙のままであり、それはまだホシノの退学を認めていない証明でもあった。
「────そうだね。だからまだ、ホシノは対策委員会の所属だし、まだアビドスの副生徒会長だし、私の生徒だ」
「────はい。貴方が先生を名乗り、先生として振る舞う以上、担当生徒の去就にはあなたのサインが必要となります。貴方自身こそ理解しておられるではありませんか。貴方は勝算をもって、自身の考えを、その正当性を持ってここに来られた。で、ある以上は私の反論はあってないようなものでしょう」
「…………」
「……まぁ、私としても教師と生徒の概念というは厄介という他ありませんがね。───まだ、納得できませんか?」
「……そうだね。貴方たちはその悪意と利益を追求して、子どもたちを騙し、苦しめてきた」
「はい。私たちの行いを善か悪かと定めるのであれば悪と見なされるでしょう」
「……貴方たちの行動について理解はできるよ。私自身も根っからの善人というほど出来た人間じゃないからね」
「なんと、それは興味深いですね」
「砂漠で遭難した人に水を高値で売りつけることだったり、災害時の物資困窮に対して破格の値段を提示する。あくまでもそれは不運が重なって起こった機会に便乗して行われることであって、根本的な原因じゃない。───そこに悪意があるかどうかはまた別だけど」
「……あなたのような方からそのような言葉が聞けるとは思いませんでした」
「世の中綺麗ごとだけじゃやっていけないものだよ。いつか必ずそういった問題を見る、もしくは立ちふさがる機会が来る。それは避けられることもあれば、どうしても避けられない時もある」
「まるで今のアビドスのようですね」
「どの口がいうのさ。……まぁ、それでも私はせめて、子どもたちが大人になるまでの過程で請け負う困難、立ちふさがる課題は、代わりに背負ってあげたいって思うんだ」
「……それは問題の先送りをしているだけなのでは?」
「まぁそう言われると弱いかな。でもまぁ、大人になったら誰しも辛い経験をするものさ。なら、せめて楽しい学生時代の間はその辛い経験から大人が変わりに守ってあげるのが先生ってやつじゃないかな」
「なるほど……素晴らしい話を聞かせていただき感謝します。私としても思う部分はありますがひとまずは貴方の立ち振る舞いとしては納得を示すとしましょう」
「……こちらとしては、最低限貴方に理解を示して歩みよる姿勢を取った。なぜ貴方がホシノから手を引くのか、そしてホシノの居場所について、教えてもらおうか」
「ホシノさんの居場所についてはもとより教えるつもりでしたが、そこまで気になりますか?私が彼女から手を引く理由が」
「知っていた方が対策になるかな。貴方たちのような悪意をもって生徒たちに近づく大人に対しての」
「…………」
「…………」
ローテーブルと執務机を挟んだ大人のやり取り。お互い軽口を叩きはすれど、その雰囲気は重々しいものである。
先生からの追及。口から吐く言葉を止めたことで、室内は静まり返り、お互いは次の動くを待つ姿勢となる。
「……私も研究者であり、望むもの未知なるものを探求する立場ですが、まぁ……それでもなお自身の身は惜しいものですよ」
「……命が惜しいってこと?」
それを先に破ったのは黒服であった。
「はい。誰しもが利益を求める中で最も価値のあるものは金銭でもなければ時間でも研究素材でもなく……己の安全ということです」
「…………」
「今回の場合は、私がホシノさんに固執し先生と敵対して、Aid Ladyの手で……という結果になるのであれば、ここは潔く手を引いて次の機会を待とうかと思いまして」
「………」
「あぁ、先程の部分は伏せさせていただきました。いくら先生相手と言えど、私自身の口から語ってしまうと、ルール違反と見なされてしまう恐れがありましたので」
「私の聞き間違いって訳じゃないか」
「そういった技術もあるということです。───あぁ、そうでした、先程私がぼかした部分は推測こそすれど口には出さないようお願いします」
「………ホシノから手を引くのは、貴方自身の身が危ないからってことでいいかな」
「はい。直接的ということではありませんが、それでも可能性が高いと判断した上で……といったところです。申し訳ございませんが、これ以上は本格的に危険ですので、この説明で納得して頂ければと思います」
「なら私がここから更に追及すれば、最低限貴方に仕返しが出来るってことか」
「くっくっく……先生から脅されるとは思いもしませんでした」
「……まぁいいさ。ひとまずは納得したとだけ言っておくよ」
「ありがとうございます。では次の内容としては……ホシノさんの居場所についてです。先程送りましたので確認していただけますでしょうか」
「……これは、カイザーの軍事施設……?」
先生の元にとある位置情報が送られた。送り主は言うまでも無く、目の前の人物である。
「えぇ、実験場としての側面が強いですが、そう捉えていただいて構いません」
実験場。そう語られた内容に先生は不快感を覚えた。
「ホシノさんの身柄をここでお渡しすることができたのであれば良かったのですが、契約としてはカイザーPMCも絡んでいますので私1人の独断ではそこまですることができず……」
「…………」
「ですので、ホシノさんの居場所について教える。ということで手を打っていただけないかと」
「出し渋るわけでもなく……か。あなたはカイザーPMC、というか理事長のことはどう思ってるの?」
「ふむ……どう思っているかと問われますと……そうですね。お互いに利用できる都合のいい人物といったところでしょうか。特段彼に恩も借りもある訳でもありませんので、そこは考慮される必要はありませんよ」
「……なら、私としても思う存分できるね」
「はい。きっとカイザー理事を含め多くの戦力が兵力の再整備や集結といっとことを含めてここに集まるでしょう。厳しい戦いになるかと思いますので、微力ながら先生たちの幸運を祈ります」
目的は果たした。そのまま振り返り、部屋へと入ってきたドアに手を掛け、動きを止めた。
「…………」
「……いかがされましたか?」
「黒服。ひとつ言いたいことがあったよ」
「なんでしょうか?」
「あなたたちが悪だくみをする分にはどうでもいいけど、そこに生徒が関わるのであれば、私はあなた達を敵とみなす」
「…………」
「今回は貴方の潔さに免じて質の悪い不審者って認識をしておくよ。私たちが今一番望むものは貴方への復讐でもなければカイザーに敵対することじゃない。ホシノの安全だ」
「……くっくっく、仕方がありません。今はその先生の慈悲に甘んじることにしましょう」
「あなた達の本当の目的はなにか、私にはわからない。けど、生徒達に手を出すのであれば、その時は私は先生として必ずその責務を果たすよ」
そういって先生は、この部屋を離れていった。
「くっくっく………ゲマトリアは、あなたのことをずっと見ていますよ」
遠のく足音に対し黒服は1人、部屋で呟くだけであった。
黒服と先生との絡みがブルアカの中でもトップクラスで好き好き侍です。
登場するメイドさん達の名前ってあったほうがいい?
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いる
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いらない
-
そんなこといいからはよ続き書け