機械少女と青春を   作:バグキャラ

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準備

「さて、あなた達には掃除の手伝いをしてもらいましょうか」

 

 彼女の命令によって起動した自動人形たちは、すべてが同じ顔を持っているのではなく、それぞれの個性を引き立たせ、それでいて整えられた容姿を持ち、こちらを見つめている。

 

「機体の動作は問題なさそうですね。とは言え、さすがにその姿のままで動き回られては社の威厳などあったものではありません。各自、そちらの衣装棚から衣服を取るように」

 

 起き上がった機体たちは、換装を終えたばかりの彼女と同様、艶めかしい裸体を晒しており、彼女の指示によってそれぞれの機体が行動を始める。起動したばかりの機体がこれだけスムーズに活動することが出来るのは、それらの機体に組み込まれた高度なプログラムによるものであると同時に、彼女自身が彼女たちの機体の操作権限を握っているからであろう。

 

 彼女は指示を受けた機体達の様子を興味深く観察していた。それぞれの機体は彼女と同様、整えられた容姿を持っているが、そこに浮かべる表情はどれも等しく無表情であった。機体にはヒトと同様に表情を変化させる、表情筋と同様の働きを持つ機能が備わっているのだが、彼女たち自らがその機能を使うことはない。それは依頼主との円滑なコミュニケーションをとるためであり、それ以外で使う必要性がないからである。

 

「……こうして見ると、どこか私自身あなたたちとは別の存在のように思えますね。同じ汎用フレーム、換装用ですが同じ機械というにも関わらず、他人のような……疎外感というのでしょうか?再起動してからというものどこか違和感があるように……興味深いものです」

 

 そう抱いた感想を口にしながら()()を浮かべ、彼女たちの観察を続ける。

 

 彼女があの廃墟で再起動してからというもの、どこか本来組み込まれていたプロブラムからは考えられないほどに人間らしいものだった。長い間活動していなかったことから、どこかおぼつかない動作や不調を見せてもおかしくないはずだったが、むしろ以前よりも状態が良いのではと思えるほどであった。ヒトの手から作り出されたとは思えないほどに()()な存在へと変わっていた彼女だったが、そのことを教えるものはこの場にいなかった。

 

 少しして彼女の目の前に4人のメイドが並んだ。自身が身に着けているものと同じ服装を纏って。

 

「私自身、あなた達と同じ汎用フレーム、それも予備のものですのであらかた予想はできていましたが、同じ格好になりましたか。まぁ備品に余裕などありませんので仕方ないですね。それに身内で判別がつくのであれば問題ないでしょう」

 

 オフィスの中で似通った顔が5つ並んで、全員が同じ服装を着用しているその風景は、まさに物語の中から切り取られてその空間に貼り付けたような異様なものだった。

 

「換装用の機体ですので、初期の状態では自己判断思考プログラムどころか自律プログラムすら入っていないまっさらな状態ですね。一つ一つ命令を下すのはいささか面倒ですが、今回だけですので我慢しますか……さて、あなた達には下のオフィスとビルの外観の修繕をお願いするとしましょう。換装用の機体ですが、登録された製造番号でビルの施設を利用することが出来ますのでうまく使ってください」

 

 そう指示された彼女たち4人は、一糸乱れぬカーテシーでその意を表す。

 

「よろしい。では、行動を始めてください」

 

 そして4人のメイドは彼女が向かってきたエレベーターへと乗り込んだ。

 

「さて、ひとまずはこれでいいですね。あとは……ビルのシステムを必要になるたびに利用するのは面倒ですね。管理用端末は……あぁ、ここですね。製造番号ーーーーを基として、ビルのシステムを統括した管理人格を作製しButler(執事)と命名。今後はその名で活動するように」

 

『製造番号ーーーーを基として、付与された権限を含むシステム統括用の管理人格を作製します…………作製が完了しました。システム統括型管理人格、Butler(執事)。当ビルのシステムの統括、及び管理を行い、機体の活動をサポートするものです。以後よろしくお願い致します』

 

「えぇ、こちらこそよろしくお願いしますね。では早速ですが、あなたにも仕事をお願いするとしましょう。まずはビルの状態の把握及び社に所属している機体で現時点で活動中のものを調べてください。あと残っている顧客リストも一緒にお願いします」

 

『畏まりました。ビルの破損率を表示、及び専用ネットワークへと接続開始…………接続完了を開始。現時点で活動中の機体を検索します。しばらくお待ちください』

 

「さて、他の機体が活動しているのであれば状況把握も兼ねて合流したいのですが……」

 

『通信、及び活動中の機体の検索が終了しました。モニターに表示します』

 

 そうして彼女の目の前の空間に半透明なモニターが浮かび上がり、検索結果が表示される。

 

「・・・やはりだめでしたか」

 

 モニターに表示されたものは、DATA LOST。システムに登録されたデータが丸ごと消失している。そして薄々予想はしていたが、表示された活動中の機体の検索結果だが、5機と表示されていた。

 

「DATA LOST……活動中の機体も5機、先ほどのものたちと私を合わせた数ですか。私が再起動した時点でわずかながら予想はできていましたが……」

 

 そして現状を知り、先ほど仮として建てた今後の方針が確かなものへと変わっていく。

 

「社に所属()()()()者としては、こうなった以上は社の復建を行うべきなのでしょうが……効率が悪いですね。ただでさえ顧客どころか会社自体が消失しているも同然の状態を復旧しなおすなど、一体どれだけ時間が掛かることやら。となると、やはり新たな社の設立といったところでしょうか」

 

 そう口にしながら今後の方針を明確にしていく。

 

「となると、新たな()()()も考えなくてはなりませんね。それに()()も必要になりますが……他の者では不安ですので私が行うほかありませんか……はぁ、本当に面倒ですね。憂鬱というのでしょうか」

 

 最初に笑みを浮かべていた表情は、どこか憂鬱で暗い表情を表している。

 

「まぁこういった判断はあとにして、今は私の仕事をするとしましょう。Butler(執事)、ビル周辺の地形の把握、及び辺り一帯の情報の取得を。すでに私たちが記録しているものの情報はすべて古く使い物にならないと判断します。私はビルの周辺を()()してきますので」

 

『かしこまりました。ビル周辺の地形の把握、及び専用ネットワークへと接続し、一帯の情報の再取得を開始します。また、個体名ーーーーの活動におけるサポートは必要でしょうか?』

 

「あぁ、そういえば私の個体名も製造番号で登録されていましたね。今後、代表として活動するのであれば、そちらも改めて考えなくてはなりませんね。いえ、必要ありません。換装直後の機体の具合も確認したいところですので、私1人で大丈夫です。なにかあれば連絡を」

 

『かしこまりました。お気をつけて』

 

 そうして彼女はエレベーターへと乗り込み、オフィスを後にするのであった。

 




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登場するメイドさん達の名前ってあったほうがいい?

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  • いらない
  • そんなこといいからはよ続き書け
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