とある名門貴族の次期当主に関するスキャンダルが悪魔社会を騒がし……たりはしなかった。
革命で追放された元王族との密会という広がれば悪魔社会を揺るがしかねないスキャンダルではあるが、証拠の出所と社会への影響を考えて内内に処理、政治的なアレコレが裏で行われるも一般市民には大きな影響も無く、関わった者達には多少の負担がのし掛かっただけだ。
「やっと終わったわね……」
「ええ……」
その負担を背負うのはリアスと女王である朱乃、魔王とはいえ力で選ばれた象徴的な立場である兄の力では彼女の政治的な弱点を庇いきれず、次期当主であるにも関わらず護衛も居なければ侵入者察知の結界も上層部に却下されている。
まあ、眷属の多くが敵対勢力に関わったり裏切り者だったりと問題があるのだが、それを解消したのが今回裏で処理されたスキャンダル。
代償はアーシアに関する少しと情報料数億の肩代わり、そして厄介な書類作業、これまで許可しなかった物を許可せざるを得ない者達によるせめてもの嫌がらせだ。
「あら? 何か連絡が来て……はぁ!?」
心身共に疲労困憊の中、実家から送られた知らせを前にリアスからは貴族の余裕が一切消えていた。
「どうしましたの?」
「護衛が宇治金TOKIOですって!?」
「何ですって!? リアス、まさか産廃処理場扱いを家からされているんじゃ……」
「そ、そんな訳が無いじゃない!? 多分ミリキャスを当主にする事で魔王候補から外させようって魂胆の貴族の仕業よ!」
焦って否定するが、まさか本当にそうなのではと不安の色がありありと浮かぶリアスなのであった。
「あっ、イッセーが実は赤龍帝だそうよ」
「そうなの?」
何故この二人がここまでの反応を見せるのか。それは古代ローマ時代、とある大豆製品のプレゼンで採用された豆腐テニスの全国大会準決勝まで遡る……。
ずっと遡ってさすらい続けてろ、嘘解説っ!
「いや、ほんまに失礼やで? 初対面で存在を否定とか、そんな奴に存在価値は無いっ! って、わいもしとるやないかーい!」
「ははっ……」
寒っ! この和スイーツ、ギャグのセンス皆無な癖にノリツッコミしてるよ。
頭の中で誰かにツッコミつつ変態に変態を見る目で見られた俺だが、ちょっと問題が発生したんだ。
喋る宇治金時、宇治金TOKIOに殴り飛ばされて壁をぶち破った時、俺の服が引っ掛かって変態のパンンツを掴んだ時には全裸だった。
そしてあの変態、演劇部所属で悪い人ではなかったんだけれど……。
「なんで俺はこんな格好をしているんだろう……」
何とかへの道は善意で云々、余計な親切ホニャララ、無能な働き者はゴニョゴニョ、まあ、全裸になった俺を心配した変態は貸してくれたんだよ、演劇の衣装であるアヒルパンツを。
アヒルパンツ一丁で宇治金時から説教を受ける、こんな体験をしたのは世界で俺だけじゃないのか?
まさに絶望! だから俺は紙袋を被る事にした。
「被らねえよっ!? ……って、あの宇治金時は?」
「昨日お風呂入ってなかったからってシャワーを浴びて瀕死になってます」
シャワーの方を見ればお湯で氷が溶けて倒れ込んでる宇治金TOKIO。今もお湯が上から降り注ぐけれど木場は明後日の方を見ながら長ネギの手入れをして、小猫ちゃんはお菓子を食べているだけだ。
酷いなっ!? そして馬鹿にも程があるだろっ!?
「部長のお父さんはどうしてこんなのを眷属に? そもそも何?」
「悪魔の駒を支給された時、酔っ払って宇治金時に入れたら悪魔になったそうです。なんかのバグで」
「バグで宇治金時が悪魔になんのっ!? それと部長のお父さんファンキーだなっ!?」
「そうそう。あのおっさん、ハジケとるからな」
生き返ったっ!?
「その人、普通に甦るから反応するだけ無駄ですよ、馬鹿だから」
「馬鹿に反応しても疲れるだけだからね」
「そうそう、馬鹿の相手は困るんや。わいの周囲にも誰か知らんけれど凄い馬鹿が居るそうで皆を困らせとるんやで」
「ええっ!? ……なあ、もしかしてところてんを悪魔にしたのも居る?」
ずっと悪夢だって思っていたプルプルした変な存在、幼い頃からの疑問がこれでハッキリとするだろう。
そして馬鹿はアンタだろ、絶対っ!!
「……正気ですか?」
「ところてんが悪魔になる訳がないじゃないか」
「疲れとるんやろ、ボウズ。ほれ、わいの原材料のコーヒー豆やるから元気出し」
ええっ!? 何でところてんだけそんな反応っ!?
「って、原材料がコーヒー豆ならアンタ宇治金時じゃねーだろっ!?」
「ッ!?」
いや、ッ!? じゃねーし。マジで何なの、この宇治金時(元)!?
「しかし部長達も長引いてるよな。護衛の派遣とか結界の手続きってそんなにかかる物なのかよ?」
「メダカの好物がアンパンな様に政治家って足の引っ張り合いが好きだから。甘いところを見てたらパクっていかれちゃうのさ」
「正気かっ!?」
「……そうですよ。イッセー先輩の言う通りです」
だよなあっ!? 小猫ちゃんの言う通り俺は間違って無いよなっ!?
なんか悪魔とかの世界に関わってから周囲の連中が変な事言ったり、そもそも出会う相手自体が奇妙奇天烈過ぎて俺が俺を信じられなくなっていたんだけれど……良かった!
「メダカはジャムが弱点なんですし、甘い物って一括りにしたら駄目です」
「そうか。うっかりしてたよ」
「正気に戻ろうっ!? マジで正気に戻ろうっ!? 」
「「?」」
なんなの、そのキョトン顔っ!? 俺が間違ってるのっ!?
人間の常識って悪魔には非常識なの!? それともこの二人が変なだけ!?
「はっ!? アーシア! アーシアは大丈夫かっ!?」
さっきから一切会話に入ってこないアーシアだけれど、多分入って来れないからだ!
実際は作者が寸前まで忘れていたからだが、なんとかこのアウェーで味方を発見すべく俺はアーシアの方を向いたんだけれど……遅かった。
「はぅ。このワサビ茶漬けって美味しいですね。少しツーンと来ますが刺激的で癖になりそうです」
アーシアは騒ぎなんて耳に入っていない様子で……お茶漬けを食べていたんだ。
「気に入ったのなら良かった。他にもレパートリーはあるから好きなだけ美味いお茶漬けを食わせてやるど」
しかも隣にはなんか変な火星人みたいなのがいるんだけれどぉおおおおおおおっ!?
何も聞かずに
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疾風のゲハ
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宇治金TOKIO
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マコちゃん
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地獄のイルカの
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コンバットブルース