最近どうも昼夜逆転している気がするんだ。昼間は体が倦怠感に襲われるのに夜中になったら目が冴えて元気が出る。
「完全に昼夜逆転してるんでしょ。直さないと大変だよ?」
「ぐっ! そうだよな」
由良にちょっと相談して見たけれど戻って来たのはそんな言葉だけ。あの悪夢は今でもハッキリと覚えているんだけれど、何か関係してるのかな? ストレス性の何とかで。
そんな事が続いたある日、冬を越す為に弁当を売る河童の工場で夜のバイトをしていた時、黒ずくめの男に怪しい薬を飲まされ、目が覚めたら金髪アフロの大男になっていた!
「そうだ。そして俺は親父の犠牲で……はっ!?」
「どうしたんだ? イッセー」
「自家発電のし過ぎでおかしくなったか?」
楽しいはずのAV鑑賞なのに俺達は何時しか虚しさを感じていた。
「「何故なら俺達はバレエダンサーだったからだ」」
「お前達こそどうしたんだっ!?」
不意に立ち上がった二人が服を脱ぎ捨てたかと思ったら、その下にはフリフリな純白の衣装。え? そんなの着てたの?
「一体どうなってんだっ!? 取り敢えず落ち着け、近寄るなっ!?
「俺達、思ったんだ。どうして彼女が出来ないのかってな」
「そして辿り着いたんだ。女の子の心を理解する為にも女の子になりきれば良い。そしてこの姿こそがその近道だって」
「マジで落ち着けっ!?」
二人はつま先立ちでチョコチョコ歩きながら俺へと寄って来るんだが、その手には三着目の衣装。間違い無い、俺にも着させる気だっ!
「今回虚しさを覚えて決心がついた」
「俺達でバレエ部を設立して全国を目指そう。そうすれば絶対にモテモテだぞ、イッセー」
駄目だ、この二人。あまりにモテないせいで正気を失ってやがる。それに、その衣装は……。
「何だよ、その濃い顔のオバ○のパチモンはっ!?」
「イッセーはこれを裸で着てくれ」
「そうすれば対照的に俺達が良く見えるから」
「い、嫌だぁあああああああああああああっ!? 俺は◯バQよりもキテ◯ツが好きなんだよ!」
原作の話数よりも圧倒的にアニメの方が多いんだし、あれならチャゲった例の作品も……無理か。
「無理だよっ!?」
この二人、あまりにモテないせいで理性がハジケてやがる!? このままじゃ俺は誰得サービス担当にされてしまう!
いや、三人揃って同じなんだろうけれど……。
俺は二人の伸ばした手を振り払い一目散に逃亡する。上着は脱がされたけれどギリギリ逃げ出し、夜空の下に上半身裸で駆け出した。
「くそっ! こんな姿を誰かに見ら…れ……」
見られたら変態って噂が更に広まる事になっちまう。出来るだけ人通りが少ない場所を選んで家まで帰ろうとしていた時、目の前に人影がっ!
そう、その人物とはレオナルド・ダヴィンチだった……な訳ねぇ!
何でだよっ!? ってか、俺は何にツッコんでるんだっ!?
「お、おい、由良。この格好にはちゃんと理由があってだな……」
今は分からない事だらけだけれど、信じてくれる道を進むだけだ。
シャツか上着の片方でも貸してもらえればどうとでもなる!
……出来れば美少女の脱ぎたてが良いんだけれど。そう、パチ美の様な……。
パチ美って誰だよっ!?
俺は弁明と共に助けを求めて手を伸ばし、由良は俺の声によってこっちを見た。
気が付かれずにとか見ないふりして立ち去るとかはねぇな、助かっ……。
「チッ!!」
ってないっぽい?
思わず動きを止めて由良を見れば深夜まで開いてるスーパーのレジ袋を持ってたんだが、俺はなんで舌打ちされたんだっ!?
なんか無茶苦茶不機嫌そうな顔されたんだけれど!?
「いや、急に何だよ!? あれか? お前も新作AVの鑑賞会に呼ばなかったの怒ってるのか!?
「いや、野郎数人が雁首揃えてそんなのしても虚しいだけでしょ。画面の中に裸の女が居ても、隣に股間腫らした男が居たら興醒めってもんさ」
「それを言っちゃお終いだろうがよぉおおおお!?」
此奴は今、絶対に言ってはいけない事を言いやがったっ!
「あっ、悪いけれど近付かないで欲しいんだけれど、露出狂さ……ちっ!」
露骨に距離を取ったっ! 更に舌打ちって傷付くから止めてくれよっ!?
「ほぅ。露出狂の変態かと思いきや、微弱ながら感じた力は間違いでは無かったか」
そんな俺の背後から聞こえる知らない声、イコール赤の他人に見つかったって事。しかも言葉の内容からして既にアウトじゃんかっ!?
「ち、違うんですっ! これは同級生の変態二人に裸にされそうになって逃げ出して……不審者だっ!?」
思わず振り替えれば其処に居たのは黒ずくめの異国のオッサン、凄く怪しい。
「貴様が言うか?」
「パイセン、そこにカーブミラーがあるぞ」
「だよなあっ!?」
ぐっ! この場で一番の不審者が誰かって?
① スーパーのレジ袋下げたジャージ姿
② 半裸の俺
③ 全身黒一色の外国人
④ 強そうな人
『キルユー』
「誰だよっ!? てか、殺そうとしてるっ!?」
なんか強そうな人が物陰からこっちを睨んでるんですけれどっ!? 俺が何したってんだっ!?
「ほほぅ。私の正体に気が付いて無いと思いきや、その程度の知能はあったか。しかし魔法陣を展開して逃げる様子も無いとなると……」
「え? オッサン、その歳で中二病なのか? ……やべっ」
何か魔法陣とか私の正体とか言い出した髭の中年。何言ってんだ? このオッサン。
俺の言葉にオッサンは顔を怒りで歪ませ、その手には光の槍が握られている。因みに強そうな人は何処かに消えた。
「そ、その槍は……」
夢の中に登場した夕麻ちゃんが持っていた物を目の前のオッサンも手にし、それを見ているだけで本能的な恐怖が襲って来る。
おい、まさかあの夢は……予知夢で、このオッサンが俺の恋人になるのかっ!?
「幾ら何でもそりゃねぇよっ!?」
「恨むのなら主人から逃げ出した自分を恨め。ああ、そこの小僧もついでに殺しておくか。後処理が面倒だ」
背中から黒い羽を生やしたオッサンの姿に夕麻ちゃんの姿が重なる。まさか本当に予知夢って奴だったのか!?
それならもっと都合の良い夢が見たいっていうか、由良まで巻き込まれて……。
「おい、逃げろっ!」
「今更遅い。二匹揃って……なっ!?」
その場に棒立ちの由良を逃がそうとするけれど、オッサンがそれよりも先に光の槍を投げる。
それは先に由良の方に向かい、ズボンから飛び出した黒い鞭みたいな物で打ち払われた。
「悪魔と堕天使のいざこざなら手を出す気は無いけれど、勘違いで抗争紛いの事になっちゃ困るな、うん。それにだ、俺を巻き込むのも良くない」
こんな状況だってのに由良の奴は普段の面倒臭そうな態度を崩さずにオッサンを睨み、オッサンも余裕そうな笑みを消して由良を指差した。
「……何者だ?」
「
「そういう意味じゃねぇだろ!?」
「巫山戯るなっ! さっきから私を馬鹿にしているのか、小僧共っ!」
「俺もっ!? いやいやいやっ!? 俺は関係無いだろっ!? 由良もオッサンを挑発すんなっ!」
「巫山戯ているし馬鹿にもしている」
「おぃいいいいいいいいいいっ!? 言った側からっ!」
「これ以上のお巫山戯は絶対に許さんっ! 先ずは貴様から殺してやるぞ、半裸の小僧っ!!」
俺っ!? なんで俺が真っ先に狙われるのっ!?
「そりゃあ元々のターゲットはパイセンでしょうに、何を今更馬鹿みたいに……そもそも馬鹿だったか」
「さっきから挑発してるのはお前だろっ!? てか、心読んでる?」
「見れば分かるって。……漸く来たか。遅いよ、グレモリー先輩」
その言葉と共に地面に魔法陣が現れて、光と共に誰かが現れる。
「あ、貴女は……」
俺はその人物を知っている。特徴的な赤い髪の……。
『やあ、ハリ◯』
そう、◯ン・ウ⚪︎ズリーだった。
「なんでホグ◯ーツの生徒が出てくんのっ!? それに俺はハリーじゃねぇよっ!?」
「ちょっと貴方誰っ!? どうして私の魔法陣から出て来ているのっ!?」
あっ、二大お嬢様のリアス・グレモリー先輩だ。こんな夜中にどうしたんだろ?
何か色々ありすぎて驚けない俺だった。
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