何っ!?全てが虚しいだと!?そうか、じゃあ勝手に死ね! 作:じゃ、死んでもらおうかな。
アリウス自治区、キヴォトスの地下に追いやられた、冷たく悲しい分校。その内乱が収まって十年……俺が8歳半ばまで続いた戦争もいつの間にか終わりを告げていた。
そのかわりに、あのベアトリーチェとか言う女が台頭してきた。一体どんな手を使ったのかはわからないが、あのベアトリーチェは、このアリウスの地を物の僅かで掌握してしまったのだった。
と言っても、それで変わったことは内乱がなくなったことだけ……むしろ、この地の人間達はあの女の手駒として利用されるだけの駒へと落ち着いた。
俺にとっちゃ結局何も変わってない。何も変わっちゃいない……暗い地下の奥底で、ひもじい思いして、痛いの我慢して、それだけの世界だ。
俺はもう我慢がならなかった。たしかに、誰かの駒として生きていくのなら楽だろう。何も考えずに、ただ役目をなすだけの機械として生きていけたなりくだろう。
あぁ、そうさ。今の世の中、きっとそっちの方が良いに決まってる。だが……俺はごめんだね。
こんな風にめそめそ腐っていくのは。
どうせなら……俺は俺の意地を通して死にたい。そっちの方が俺らしいしな。
周りの人間がベアトリーチェの手の下に下る。俺は、その間、只管に耐えた……耐えて、逃げて、耐えて、隠れて、耐えた。
そして、俺が15になったある日…………アリウスのとある場所に旗を立てた。髑髏と薔薇を添えられた校章を、赤い十字架でバツ印を加えるようにした校章。
アリウス分校に生まれた、さらなる分校……分校とも言えない、たった一人しかいない学校、学び舎。
それは、イコールとしてこのアリウスを今支配する女、ベアトリーチェへの宣戦布告。反逆者としての声明となった。
旗を立てた場所で、俺はその旗を見て多様な反応を示すアリウスの生徒達を見下しながら、笑ってやる。
「……もしも、あの女に、大人に従うことがアリウスの是なのなら、俺は今から反逆者だ。」
きっと、この旗は遠くない内に折られるだろう。だが、オレの心に掲げられた旗はもう折れない、折れられない。
野蛮人、わからず屋、ドぐされ、屑。やいのやいのと言われようが、もはや何も変わらない。反逆の闘志は目覚めた。
ベアトリーチェは、きっと俺のことなぞありの如く思うことだろう。きっと、その足一つで潰される。
ならば、大いに走り回って逃げ切ってみせよう。
もし潰されたのなら、靴の隙間で入り込み生き残ろう。
すり潰されたなら、この墓穴をさらに掘ってやろう。
なんど旗をおられても、何度潰されても俺は必ずこの旗を再び上げてみせる。
俺の周りにベアトリーチェの差し金が群がってくる。毒虫共が、俺は心底軽蔑した目を向けて見下してやる。
俺は手に持ったグロッグ二丁を構えて、手駒共へと銃を向ける。
「インディペンデンス・デェェェェェイ!!!!」
俺は派手にに喚き散らしながら、眼前に広がるアリウス生共に飛びかかってやった。
それから三年後……未だに、ベアトリーチェによるアリウスの支配は続いていた。しかし、その支配という名の水面はけして静寂ではなかった。
常にそのベアトリーチェの支配に一石を投じ続ける者がいるからだ。それは、三年前より現れたある一人の男――このベアトリーチェの支配と言う安息に永遠に波乱をもたらす男が一人、その血にはいた。
紅のヘイローを浮かべながら、二丁の古びたグロッグで戦う一人の男だ……その男は、今宵もアリウスの一角で戦いを巻き起こしていた。
アリウスのとある路地裏、c4が起爆されその地に爆風を巻き起こし、床にへばりつく塵芥を吹き飛ばしていく。だが、そこに男は居た。爆風とそれに起こされた煙幕の中に男は居た。
背にはダブルバレルショットガンを縛り付け、手には二丁の古いグロッグ。紅のヘイローを頭上に廻し、拳銃構えて引き金を引く。
引かれた引き金の命令の下、二つのグロッグはそれぞれ鉛玉の尻を叩いて弾き出す。弾かれた弾丸は軌道を描いて、迫るアリウスの生徒を撃ち倒していく。
「くそっ!怯むな!」
「今日こそ反逆者を確保するんだ!」
「攻めろ!相手は一人だ!」
アリウスの兵どもは、陣を組んで攻め立てる。そして、それに相対する男は、グロッグを合わせてカチカチと音を鳴らし、声を上げる。
「流石だな!ベアトリーチェ!お前達の動きは幾何学的!規律に揃いまるで軍隊の様だ!」
「貴様如きがおいそれとマザーを語るなァッ!!」
怒りの一声のもと銃を構えた軍列は路地裏の双方から迫っている。普通ならば諦める場面だ。人生は物語ではない、どうにもならない場面というものが存在する。
このままこの反逆者は捕まり、嬲られる……それが、普通の結末だ。普通の物語だ。普通の人生だ。
「だがァッ!!否!否否否否ァッ!!」
しかし!これはこの男の物語!この男、主人公である!
「お前らにゃ
男はグロッグを乱れ撃ち、次々とアリウス兵を鎮める。逆にアリウス兵の弾丸は、男の地を滑るような動きによってかわされる。
それどころか、狭いところで撃ち合ったせいで味方に誤射するアリウス兵もいるくらいだ。この男の動き、まるで高速でアルプス一万尺でもしているかのようなスピーディーな動きである。その早撃ちによる弾幕はまさにガトリング!
弾切れ!?そんな物はすると思ったやつから弾切れするのだ!
……やがて、その場にはカートリッジを含めての残弾を使い切った男と、倒れ伏すアリウスの兵達が居た。倒れたアリウスの兵の一人が男を睨みつけながら言葉をかける。
「貴様……何故マダムに従わない!世界が虚しいと何故理解しない!」
その問に対する男のイコールは……こうだ。
「ならば勝手に死ねぃ!!」
……その言葉による一雫の静けさは、男の声によりかき消される。
「相変わらずだな……アリウス兵、毒虫共。カタコンベの奥にこもりすぎて脳まで腐ったか、
すると、また一人別のアリウス兵が立てない体を必死に強張らせて、慟哭をあげる。
「お前に……お前に何がわかる!虐げられ食べる者も満足に得られなかった私達の気持ちがぁ!お前はどうせ奪って来た側だろうが!!」
「全く持ってその通りだ!!俺はお前らのように支配される側に居座り停滞する輩の気持ちはわからない!無論、俺も奪ってきた人間だ、だが俺はそれ以上に多くを奪われた!自分一人だけが奪われつづけたみたいな言い方をするな!ここにいる奴ら全員奪い奪われてるんだよォォォォッ!!!それが嫌なら俺から奪ってみせろ!くれるもん全部くれてやる!」
要は奪われたくないなら強くなって俺から奪い返せということだ…………この男、クズである!
そして、そのな男に最後にこう吐き捨てて、地面蹴り上げ高く舞いその場を去る。
「どいつもこいつも
これが、このアリウスの反逆者。
名は――
しかし、これがこの男だ!
貫くは己の意地のみ、全て奪うかすべて与えるか、両極端!暗い暗い墓地のそこで永遠と足掻く男、それが逆井アキトである!!