アトムパンク日本国召喚   作:(休止中)サン少佐

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1.3 ― ロウリア王国の直葬 前

 クワ・トイネ軍務局の執務室では、文(・)明(・)の(・)灯(・)火(・)が燦々と煌めいていた。

それは日本のクワ・トイネに対する技術的啓(・)蒙(・)の恩恵たるものである。

 

 電灯―――日本の原子力関連技術が生み出した文(・)明(・)の(・)灯(・)火(・)。

 

 公国政府機関の多くでは既に小型原子力発電機が設置され、公国の経済都市マイハークや日本南方派遣軍の駐屯基地たる〝ダイタル衛戍地〟に至っては、小規模だが原子力発電所が建設途中にある。

 …クワ・トイネ公国の文明開化を牽引する大日本帝国との関係は、公国にとって最も重視する所であった。

 

 ―――そんな中、同局の長たる〝軍務卿〟は、西方方面師団司令部より齎された報告に、複雑なる思いで頭を抱えていた。

 「宿敵(・・)ロウリアにモイジ殿を。

…そして今度は…盟邦(・・)ニッポンにノウ殿を…。」

 報告は荒唐無稽なるもので、軍務局並びに公国政府にとっては全く信じ難い事であった。

少なくとも、エジェイ山地を侵攻中のロウリア軍部隊が〈閃光〉と許容出来得る爆裂魔法によって消(・)滅(・)した事、西方方面師団が人員損失によって戦(・)闘(・)継(・)続(・)能(・)力(・)を(・)喪(・)失(・)し(・)た(・)事、そしてクワ・トイネ公国軍の名将たるノウ将軍が重症を負って意(・)識(・)不(・)明(・)。

……それだけは事実であるらしかった…正にそ(・)れ(・)が信じ難いのだ。

 黒々しい渦に突き落とされた軍務卿を前にして、同じく公国軍務局員の〝ハンキ〟将軍は付(・)け(・)加(・)え(・)る(・)様に、「軍務卿、西方方面師団には3(・)万(・)の(・)兵(・)がおりました、その西方方面師団が人(・)員(・)喪(・)失(・)による戦闘継続能力喪失です。

…それもニ(・)ッ(・)ポ(・)ン(・)に(・)よ(・)る(・)攻(・)撃(・)の(・)巻(・)き(・)添(・)え(・)で(・)。」と、やや強調して言った。

 クワ・トイネ公国軍全体の兵数は約5(・)万(・)。之は予備役も含めた数であり、西方方面師団の戦闘継続能力喪失―――それは、今(・)後(・)の(・)戦(・)争(・)遂(・)行(・)に(・)関(・)し(・)て(・)は(・)日(・)本(・)の(・)南(・)方(・)派(・)遣(・)軍(・)に(・)頼(・)ら(・)ざ(・)る(・)を(・)得(・)な(・)い(・)と言う可能性を示唆していた。

「何たる事だ、〝頭身の毛も太る〟とはこの事か―――。」

軍務卿はそう言って、次に天を仰いだ。

…するとハンキ将軍は、

「今度の損害が本当にニッポン軍の攻撃に起因しておるのかは、精査すべき所ではありますが…。」

と言うと、やや前かがみになって、「…正直な所、ニッポンには、それを可能にするだけの技術力が在ると考えます。」と小声で付け加えた。

 

 たかが〝巻き添え〟。…しかし、その一回の〝巻き添え〟によって、主力部隊の戦闘継続能力を喪失すると言う事が有り得るのか。

 

 〝いや、有り得る。何故なら私は…その片鱗を見たから。〟

 

 

…

 

 

 思い起こさせる記憶は、海魔の臓物の中に餐まれたが如き緊張の中に香った、潮風の流れ。

九州・福岡沖……驚愕に沈んだ黒々しい眼に映るのは―――

 

「三六式核(・)砲(・)弾(・)。TNT換算にして二五〇瓲(トン)―――如何でしょうか、ハンキ殿。」

 

 戦艦〝三笠〟より放たれた〝それ〟は、〝プ(・)ロ(・)メ(・)テ(・)ウ(・)ス(・)の(・)火(・)〟。

南下さるロシア帝国(覚醒帝国)に臥薪嘗胆の熱狂を向けた大日本帝国(ニンゲンたち)を憐れんだ、〝大英帝国(プロメテウス)の猛火〟。

 盟邦たる大英帝国の技術的啓蒙が齎した原子(アトム)の力―――それは過去に、世(・)界(・)初(・)と(・)な(・)る(・)核(・)保(・)有(・)国(・)同(・)士(・)の(・)熱(・)核(・)戦(・)争(・)を生じさせていた。

 

 …その大戦争こそ、日(・)露(・)戦(・)争(・)―――。

 

 「……っ!」

荒れ狂う大東洋に轟音が迸った。

 

 

…

 

 

 「…そうか…君は以前、ニッポンへの使節団に参加したのだったか―――」

数ヶ月前、クワ・トイネ公国と大日本帝国の正式な国交樹立を定めた〝日桑和親条約〟の批准に際し、クワ・トイネ公王庁議会並びに外務局は、日本の情報収集と和親を目的とした外交使節団の派遣を行っていた。

 

 ハンキ将軍はその使節団に〈軍事評論家〉として参加していたのである。

 

 「……ニッポンの言う〈旧世界〉とやらは、何とも恐ろしき場所なのでしょうな。

彼の国の様な国家が所狭しに存在しておるのです。…しまいには種(・)族(・)ご(・)と(・)烈(・)火(・)に(・)餐(・)ま(・)れ(・)て(・)し(・)ま(・)い(・)そ(・)う(・)な…程に…。」

 

 

…

 

 

 そんな時。

軍務局員が部屋の扉を叩き、重々しい雰囲気が渦を巻く執務室に入室して来た。

ある報告をする為に―――

 

「先ほど、ニッポン帝国南方派遣軍司令部より通達が…。

 

 

 ―――ニッポンは…敵首都攻撃(首刈り作戦)の許可を求めております。」

 

ロウリアの大王よ、泣きじゃくれ。




:お知らせ:
現在、筆者は失恋によって大ショックを受けており、次の更新がとんでもなく後になる可能性があります…申し訳ないです
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