透き通るような世界で俺がやるべき唯一のこと   作:THE TOWER XVI

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自称神の自称エンジニア

「えっと、知り合い?」

 

 銃を構えた聖園が尋ねて、俺は闖入者に視線を固定したままささやく。

 

「夢の中で殴り合った仲だが……今は一応、偶に一緒に散歩する程度の知り合いの……たぶん、ペットみたいな奴」

 

 俺の曖昧な例えに、全員が頭の上に疑問符を浮かべる。

 

 ゲブラはその場で俺に視線を合わせたまま、片腕を使って、やけに人間臭い動きで電話を取るようなしぐさをした。

 

 どうせ、あの自称神の仕業なんだろうが……こんなデカブツを送りつけておいて、今度は何の用だ……?

 

 機械式ボディーランゲージを受け、俺は端末を取り出して──聞こえてきた声に開口一番怒鳴る。

 

「あなたが──」

「おい、神ィ!! お前んちのペット、ちゃんと連れて帰れェ!!」

「う、うるさっ!! しかし、やはり情報通りです。あの方に対して、下等存在である人間のくせになんて不敬な態度……やはり、三条ヒイロは排除すべき害悪のようですね」

 

 いつもの機械音声ではなく、聞こえて来たのは幼い少女の声。

 

 俺は不意を突かれたまま、口を開く。

 

「……どなた?」

「人間如きに名乗る名前はありませんが……あの方を敬愛し、あの方の残した命令に従う存在……と言うべきでしょうか?」

「まあ、預言者をサポートするエンジニアみたいなものかな!」

「よくわかりませんが、ソフの例えで伝わるならそれで結構です。とにかく、海に近づいたのが間違いでしたね。私の可愛いアインから伝言です」

「ふぇっ、わ、わわわわ私?! え、えっと……」

「ほら、アインが言ってたじゃん、ビナーちゃんの仇だって」

「そ、そのぉ……」

「ふぅん? なんか、良い空気じゃーん? いいじゃん? 教えてよ?(オタク特有の悪乗り)」

 

 いたずら電話の類かと思えば、向こう側に数人いるのか、会話が聞こえてくる。

 

 舞い込んできた百合の気配に俺はニチャリと笑みを浮かべて、会話に乗っかった。

 

 続く言葉を聞き逃すまいと、俺は耳を澄ませて。

 

「え、えっとぉ……その……死んでください!!」

 

 おどおどした雰囲気から繰り出される直球ストレートに、俺は感激した。

 

 百合に間に挟まる男は死ね……驚いたねェお嬢ちゃん。奇しくも、同じ想いだ……。

 

「ちょ、ちょっと、ヒイロ、敵なの?!」

「ああ、そうみたいだな」

 

 彼女の宣戦布告と同時に、発射されたゲブラの冷気を纏う光線から聖園が引っ張って助けてくれる。

 

「とりあえず、後でその知り合いのポンコツ飼い主は責任をもって問い詰めておくわ。あと、隠していたあの百合の件も。俺に、隠していた、百合の件も」

「そ、そっか……でも、敵なら、さっさと倒して続きをしないとね!」

「そういうことです。美食の邪魔をする障害は排除するまでですわ。まずは、足止めと設備と食材の退避で二手に……」

「でも、相手の目的はヒイロだけみたいですけどね?」

「あれ、もしかしなくても、俺が囮になればいい、ってコト?!」

 

 鰐渕の言葉に、俺は天啓を受け、喜色に顔を歪めた。

 

「いいねェ! ここは俺に任せて、お前らはバーベキューに行け!」

「えっ、ちょっと、そんなことできないよ!」

「いいんだよ、俺が責任を取るっていっただろ? 俺は、お前に気にせず楽しんでほしいんだ」

「ヒイロ……」

 

 止めようとする聖園に俺は微笑んで、彼女は感じ入ったように呟く。

 

 背を向けると、空気を読んで待ってくれているゲブラの前に立ちはだかる。

 

「みんなでバーベキューを楽しんでくれたらそれで、俺は満足だ……そして、その様子を写真に撮って送ってくれ……みんなで顔を寄せあう系の、自撮り風写真を送ってくれ……」

 

 最期の願いを残し、九鬼正宗の柄に手を掛けて──引き金(トリガー)導体(コンソール)接続、発動光剣(ルークス)──俺は、揺らぐ光刃を引いた。

 

「悪い、待たせたな。そんじゃ、一対一で、あの夢の続きを踊ろうぜ?」 

 

 切っ先をゲブラに向けて、しかし、俺の想定とは裏腹に、隣に影が並び立つ。

 

「一人で盛り上がっているところ申し訳ないのですが、私も一緒に戦います☆ バーベキューとは、皆で作り上げるものですしね!」

「まっ、そういうこと! ヒイロだけにかっこいい真似はさせないんだから!」

「お前ら……。いや、俺に任せてバーベキューしろ……?」

 

 俺に天啓を授けてくれたはずの鰐渕に、更に意気揚々と赤司が加わる。

 

「うんうん! そうだよね! ヒイロが居ないんじゃ、意味ないからね!」

「ええ、その通りです。先ほど私も悟った通り、バーベキューを前に、欠けていい人員など存在しませんわ!」

「私も、シシャモゼリークリームパン貰ったから! もう大丈夫! 一緒に戦うよ!」

「いや、俺抜きで、バーベキューしよ……? 平気で仲間を見捨てる、美食研究会の誇るべき弱肉強食マインドis(イズ)どこ……?」

 

 何故か全員で戦うことになり、笑顔から一転して真顔で俺はささやいた。

 

 両脇を固められ、俺がフリーズしていると、俺の端末を勝手に借りて先程の謎の少女がゲブラに語り掛ける。

 

「ゲブラは何故動かないのでしょう? 早く三条ヒイロを始末してください。今こそ、不確定要素である明星ヒマリも調月リオもいない絶好のチャンス……それ以外の取るに足らない変数が増えたところで変わりません」

「で、でも、オウル……ゲブラちゃんは念の為、あの方にもう一回連絡を試みたほうがいいんじゃないかって……」

「ふむ。ですが、これもあの方……ひいてはお姉様のためです。あの方を救うには、誑かしている元凶である三条ヒイロを排除するのが確実ですし、ゲブラも再戦を望んでいたはずです」

「まあ、ゲブラは短気だけど、同時に几帳面だからね」

 

 向こうも向こうで完全に意思が統一出来ていないのか、気楽な雰囲気で駄弁って、先にこちらが動き出す。

 

「へぇ? さっきから聞いてる感じ、下等存在とか、取るに足らないとか……なんか態度が気に入らないな〜。えいっ☆」

「そもそも、食事の邪魔をした時点で万死に値しますわ」

「スペシャルな一発、いきますよ~!」

「わぁぁぁぁあああ!! ゲブラちゃん!!」

 

 聖園は愛銃(サブマシンガン)を片手で構えて、神秘的な光と共に放った連射がゲブラの頭部に吸い込まれる。

 

 衝撃で大きく仰け反ったところに、更に黒舘の狙撃、鰐渕の榴弾が追い打ちをかけた。

 

 俺以外の全員が、ゲブラ叩きに参加するのを棒立ちで眺めて、九鬼正宗を納刀すると端末を手に取る。

 

「あ、そうだ。電源切ろ」

「はっ?! 何を勝手に──」

 

 このまま仄かにユリ香る百合ラジオを聞き続けてもいいが、後々悪用されるとも限らないので、電源ボタンを押して切断する。

 

 デカグラマトンとは違い、電源の入っていない機械はどうしようもないのか完全に接続が途切れ、俺はせっせと魔力障壁でバーベキュー用グリルを流れ弾から守る仕事に勤しんだ。

 

 炭火で暖を取りながら、冷凍光線や流れ弾の弾丸を魔力障壁で防いでいる内に、ゲブラの動きが鈍くなる。

 

 崩れ出した均衡に、俺の端末の代わりにゲブラの周りを飛ぶドローンが向こうの声を伝えてくる。

 

「うぅ、評価を見誤ったかもしれません……三条ヒイロとその他特筆のない変数だけなら、氷海でなくとも十分対処可能だと計算していたのに……想定を超える活動時間に、ゲブラちゃんの冷却が追い付いていません……」

「あはっ、こう見えても私、結構強さには自信があるんだ♪」

 

 ゲブラの攻撃を受けても怯まず戦場に立つ勇ましい聖園の背中に、鰐渕が笑顔でつぶやく。

 

「まさに、キングコングが味方に付いてくれたような安心感です★」

「やっぱり、さっきから喧嘩売ってるよね? 言いたいことがあるなら、聞くよ☆」

「いえいえ、特にはありませんが……」

 

 意味深に細められた瞼の奥で、鰐淵は目を光らせる。

 

「ヒイロさんとの関係は、少し気になるかもしれませんね〜?」

「ちょ、戦ってる最中にやめなさいよ!」

 

 やけに好戦的な彼女を赤司が諌め、普段通りの笑みを浮かべた黒舘が口を挟んだ。

 

「それにしても、ミカさんが攻撃を引き受けてくださったおかげで、随分戦いやすかったです。素直に助かりましたわ」

「そ、そっかぁ……。えへへっ、今日初めての連携でも、意外と上手くいくもんだね!」

「私の所感ですが、風紀委員長相手にもミカさんが居れば逃げ切れる気がしますね……どうです、よろしければ共に美食の道を追求してみませんか?」

「それは……まぁ、私も立場があるからさ。誘ってくれるのは、嬉しいんだけど……」

「ふふっ、構いませんよ。脈なしでないと分かっただけで十分ですから。では、後は優雅に幕を下ろして、バーベキューの続きに戻りましょうか?」

 

 黒舘は転がした段ボール箱の縁に足を載せると、狙撃銃を構える。

 

 明らかに動きに精彩を欠いているゲブラの左肩、冷凍ビームの発射口に狙いを定め──放たれた白銀の閃光が直撃し、真っ白な蒸気を後部から噴出しながら大破した。

 

「ひぃん……! げ、ゲブラちゃんが追い込まれるなんて……! そ、それなりの戦闘データは集まりましたし、撤退してください!」

 

 漏れ出る白い蒸気を左から右に描き、即席の煙幕を張ったゲブラはその姿を晦ませる。

 

 後方の崖の先の海で水柱が上がって、冷気でできた人工雲の晴れた場所には、既にその姿は消えていた。

 

「やったぁ! 私たちの勝ち、ってことかな?」

「色々ごちゃごちゃ言ってたみたいだけど、ま、うちの風紀委員長に比べたら全然ね」

 

 獅子堂が無邪気に喜んで、残ったドローンから音声が流れる。

 

「くっ、でも勘違いしないで! 私たちは退いてあげただけなんだからね!」

「少々衆目を集め過ぎたみたいですし……目立ちすぎても目的に支障をきたすので、この辺りにしておいてあげます」

「ふーん? 素直に参ったって言えばいいのにね☆」

「このっ、期待値の最大化において、成功も失敗もないんだから! たかがこの程度で全体の計画は揺るがないの!」

「勝ったと思っているのなら、その幻想に存分に浸っていてください。それに……どうせ、あなた達の望むそのバーベキューとやらも出来ませんよ。愚かで正しい選択を選べない人間だからこそ、です」

 

 最期にあざ笑うような台詞を残して、ドローンは飛び去った。

 

「全く、まだ何も焼き始めてないのに、もう一仕事終えた気分ね……ヒイロが居ると退屈しないというかなんというか」

「結果的に俺はバーベキュー用グリルの御守りをしただけだし、俺抜きでやってくれて構わなかったんだけどな」

「何言ってるのよ、さっきも言った通り、今更そういう遠慮は無しでしょ」

「美味しいものは、なるべくたくさんの人と分け合うべきだからね!」

 

 赤司は呆れたように口角を上げて、獅子堂が笑う。

 

「ですが、あの子たちの言うように、少々面倒なことになったかもしれませんね〜」

 

 鰐渕が口元にだけ笑みを浮かべて、俺達が来た広場の入り口を見つめる。

 

 一難去ってまた一難。

 

 騒動はまた別の面倒事を呼び込んだらしい。

 

 二台のクロムウェル巡航戦車を伴った車両。白い制服に身を包んだ羽付きの少女が数人降りてくると、駆け寄ってくる。

 

「ミカ様! ご無事ですか!」

「えっ、なんで……」

「連絡があったので駆け付けましたが、私たちが来たからにはもう大丈夫です! ゲヘナの薄汚い角つきなんて蹴散らして見せましょう」

 

 丁度、ゲブラに対して前に出ていた聖園と俺達との間に出来ていた空間に割って入って、銃を向ける。

 

「ちょっと、何か勘違いしてない?!」

 

 敵愾心を露わにする彼女たちに、赤司が状況を説明しようとする。

 

「危険な兵器なら、さっき私たちで一緒に倒したんだから!」

「確かに、情報ではロボットだった気がしますが……」

「悪魔の言葉に惑わされてはなりません。だいたいゲヘナがここに居る理由など無く……なるほど、マッチポンプの類で騙してお礼でもせしめようとでも思ったに違いありません……まったく、これだから下賤なゲヘナの乞食は困ります」

 

 しかし、リーダーらしき中央の少女は自己完結すると、見下すように笑った。

 

「あーもう! 話が通じない!!」

「言って話を聞く人なら、最初からこうはなりませんよ。自治区への不法侵入なのは間違いないですけどね☆」

「あんたはどっちの味方よ!」

 

 鰐渕に突っ込む赤司の横で、俺は目の前に立ちはだかる少女の隙間から聖園と目が合う。

 

 諦めの入り混じった瞳と数秒視線が交わって、彼女は一度目を閉じると、笑顔で目の前の少女に話しかける。

 

「ねえ、私は助けてとか頼んだ覚えないけど? だいたい、こういうのは正義実現委員会の仕事じゃないかな?」

「そ、それは……」

「……私たちはミカ様を想う一心でもって、いち早くはせ参じただけのこと。それとも、忠誠心溢れる私達よりも、そこのゲヘナを優先するだけの理由があるのでしょうか……?」

 

 一人は聖園の指摘に怯むも、中央の少女は淡々と聞き返して、仄かに口角を上げる。

 

「有り得ないとは思いますが、ゲヘナと結託して何かしようとでも? 余り不用意な行動をとられますと、相応の疑念も沸きますし……ミカ様がそうとなれば、他のティーパーティーのお方も、どうだか」

「……ナギちゃんは関係ないよ。単に我儘なお姫様が好き勝手やってるだけだから、安心して」

「でしたら、こういう行動を今後は控えていただけると、私も安心できますね」

 

 親友への影響を仄めかされ、聖園は語気を落とした。

 

 単純に聖園を崇拝している類の人間の方がまだマシだったかもしれない。コバンザメどころか、上手く周囲を支配したいという野心、そしてそれが出来るという傲慢さが、その相手を映す瞳に覗いている。

 

 ……俺としては何よりも、その友情という素晴らしき百合を利用する手口が気に入らない。だからといって、部外者の俺ができることは少ないが。

 

「あーあ、邪魔が入って俺っちってば、チョー残念!」

 

 俺は気を惹くように声を上げると、前に出て軽薄にニヤつきながら、口を開く。

 

「トリニティのお嬢様を誑かして、フリー高級焼肉パーティの予定だったのになぁー、邪魔が入っちゃったなー」

「ええ、メイン盾としても聖園さんはとても便利だったんですけどね☆ バレた以上は仕方ありませんね?」

 

 俺の意図を察したのか、鰐渕も乗ってきて、黒舘も続く。

 

「ふふっ、そういうことですので、私たちは逃げさせていただきますわ。まぁ、折を見て、また伺うかもしれませんが」

「やはり、そういうことでしたか……。この卑劣な悪魔どもに痛い目を見せてやりなさい!」

 

 真ん中の少女が指示を飛ばして、奥の戦車が砲身をこちらに固定したまま、超信地旋回して動き出す。

 

 掃射される機銃に対する防御は魔力障壁に任せ、俺は物資を運んできた台車を手に掛けると、九鬼正宗の引き金(トリガー)に指を掛けて、叫んだ。

 

「全員集合! いつもの奴で脱出だ!」

「はいはーい! 一番乗り!」

「えぇ、まさか、あれをまたやる気……?」

「背に腹は替えられませんからね。私も準備完了です☆」

「置いて来たトラックの場所まで戻りましょう。では、お願いします、ヒイロさん」

 

 導体(コンソール)接続──『変化:重力』、『操作:重力』──発動、重力制御(グラビティ・バランサー)

 

 ぎゅうぎゅうに載った台車ごと全員に掛かる重力を最小化すると、反力でふわりと跳ねる。

 

 数瞬の間、揺れる聖園の瞳と目が合って、俺は気休め程度にウインクを飛ばした。

 

「それでは、ホッカホカの榴弾を召し上がれ♪」

「いったい何を……っ?!」

 

 鰐渕が放った榴弾が地面で炸裂する。

 

 飛散する鉄片を魔力障壁で防ぎながら、爆風に乗って、俺たちは弧を描いて吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

「追撃はなさそうね……」

 

 軽トラの荷台。後方を警戒していた赤司がその場で腰を下ろして、助手席の黒舘が答える。

 

「ミカさんがどうにかしてくれたのでしょう。それにしても、炭もかなり良い状態になっていただけに残念です」

「ほんと、そうだよー! ヒイロのお肉がようやく食べられそうだったのに……」

「まぁ、強行した場合、前菜どころかメインディッシュにも影響が出そうですしね。今後のことを踏まえれば、ああするしかなかったと思います♪」

 

 ハンドルを握ったまま、明るく鰐渕は仕方ないと口にして、先程から黙ったままの俺に水を向ける。

 

「それで、ヒイロはどうするんですか~?」

 

 対面の赤司と獅子堂から視線が集まる。

 

 こちらに銃を向ける少女たちの向こう、何も言えずに俺たちを見送る聖園を思い返し、俺は静かに口を開いた。

 

「どうするも何も」

 

 口角を上げた俺は、ささやく。

 

「完璧なバーベキューを諦めるって選択肢が、お前らにはあるのか……?」

 

 愚かで正しい選択を出来ない人間故に無理だと、あの謎の少女は宣ったが……あの程度で俺たちの信念が曲がると思ったなら、人間を舐めすぎだ。

 

「愚問ですね☆」

「ふふっ、やはり、ヒイロさんならそう言ってくださると思っていましたわ。この程度で私の志が挫けることはありませんし……仮にも一度共に美食を目指した間柄。一人だけ食による幸福を得られないだなんてこと、許容する道理もありません」

「流石会長、そうこなくっちゃ!」

「ご飯はみんなで食べないとね!」

 

 帰ってきた頼もしい返答に、俺は笑う。

 

「あいつらももう移動しているだろうし、手始めに、グリルの火加減でも見に行こうぜ」

「放置してあれば、回収……そうでなければ、いつものように丸ごと奪取ですねっ!」

「それも問題がありそうでしたら、改めて食材も道具も揃えるだけです。では、完璧なバーベキューを完成させに参りましょうか?」

 

 舗装されていない砂道の上、現れた分岐点で左に曲がる。

 

 迂回するようなルートを辿りながら、軽快にエンジンを鳴らし、軽トラは海岸線へとタイヤを転がした。

 

 

 

 

 

 

 

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