透き通るような世界で俺がやるべき唯一のこと   作:THE TOWER XVI

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想いと魔眼と水族館

 アビドス高校本館。

 

 現在使われている、アビドス高校別館に引っ越す前の校舎。過去、多くの生徒で賑わっていただろう建物は、今は殆どが砂に埋もれてしまっている。

 

 そんな校舎に訪れた俺は、砂を掻き出して、旧生徒会室に残っている書類を漁っていた。

 

「砂漠なら湿度は低いから、書類の保存状態はいいかと思ったが……一部は駄目になってるな」

「高温と低温を繰り返すからな。劣化するのも当然だ。しかし、砂漠はストーカーのように執念深かったエジプト産コスプレイヤー一族を思い出すな……」

「それ、過失十割でお前のせいだろ。聞かなくても分かるわ。きっと裁判員もお前の顔を見た瞬間、全員賛成で死刑判決出すよ。人類の敵だからな」

「おいおい、僕ほど人を愛している魔人は居ないぞ? だが、今は君が一番だから安心したまえ、ヒイロ君」

「おぇぇぇええええええ!!!」

 

 込み上げるような嫌悪感に吐いていると、砂を踏む音。

 

 特徴的なオッドアイが覗き込む。

 

「こんなところで何してるんですか……独り言が外まで聞こえてましたよ」

「ああ、俺に憑いている悪霊とおしゃべりをちょこっとね」

「……ちなみに、重要な書類はそこにはありませんからね。別館のほうに運んであります」

 

 ちらりと、俺の足元に積まれているあちこち傷んだフォルダを見て、小鳥遊は零す。

 

 一瞬、スパイか何かと疑われるかと思ったが、そのオッドアイに敵意は見られない。そもそも手元のショットガンが、下を向いたままな時点でそれは明らかだが。

 

「アビドス砂漠の砂嵐に関するデータとか、そういう類は、その重要な書類の中に入ってない?」

「それは……私は見た覚えがありませんね。もしかしたら、ユメ先輩が知ってるかもしれませんが」

「じゃ、明日にでも聞いてみるか。サンキュー。とはいえ、此処にある分は一応確認しておくわ」

 

 目の前を漂いながら、ニヤニヤとするアルスハリヤ。それを無視して、書類の確認に戻る。

 

 少しの静寂。

 

 引き返すような足音が無く不審に思った時、背後から声が掛かる。

 

「……なんでヒイロは私達を避けるんですか?」

「え?」

「やっぱり私と仲良くしたくないからですか? まあ、そうですよね。私の性格が悪いことぐらい分かってますし、初めて会ったときは嫌なことも言いましたしね。当然ですよね。でもユメ先輩まで──」

「ちょ、ちょっと待って! なんでそんな話に?! むしろここは疑う流れでしょ!! 最近来た住所不定無職の男が、無断で高校の情報を漁ってるって、仲良く以前に俺が怪しまれる方だろ!」

「今更、ヒイロを疑ったりしませんよ。

 借金もヒイロが来てから減っていて、校舎の掃除も私たちが来る前に勝手に終わっています。それに、外から来た人間でしかも男なんて、目立ち過ぎてスパイになんて普通使いません。

 あと、黒服に言っていましたよね。私たちを置いて逃げるつもりはないって」

 

 なんで聞かれているんだよ。クイーンズ・ウォッチ上で決めた、勝利宣言もそうだ。俺の発言は漏洩しなければならないという、縛りでもあるのだろうか……?

 

 ラブコメ神の仕業というのなら、この言葉を贈ろう。〇ね……。すみません、ほんと辞めてくださいお願いします(懇願)

 

「私には、分からないんです。ヒイロに私達を助ける義理なんてないのに、一方的に助けてくれて……でも、ヒイロは姿を隠して私を避けている」

 

 俯く小鳥遊の表情は分からない。しかし、その声には不安と自責の色が滲んでいた。

 

「それは俺の事情で──」

 

 俺の言葉は、顔を上げた小鳥遊のその揺れる瞳に、遮られる。

 

「さっき、ユメ先輩に言われたんです。暴力とか疑念とか、そういうものを当たり前に思うようになったら自分を見失うって。

 ユメ先輩は誰にでも優しいから簡単に騙されて……でも何度騙されても優しくすることをやめなくて……。

 ヒイロだって、何の見返りもないのに……姿を隠して見ず知らずの私達を手伝って……」

 

「なんで、他人に優しくできるのか、それが分からなくて……まるで、私だけが……あの汚い人達みたいじゃないですか!!」

 

 前世のエスコにおいて、俺が何をしても好感度が上がって、三条燈色という百合に挟まるクズ男が、神聖な百合園に混ざっていた。だからこそ、俺は顔を合わせるのも最低限にすることを選んだ。

 

 その選択が、目の前の少女の心を傷つけていたというのなら、その落とし前を俺はつけるべきだ。

 

「……すみません、いきなりこんなことを言って」

「お前は間違ってるよホシノ」

「やっぱり──」

 

 真っ直ぐ、その両目を見つめて、俺はその諦観を断つ。

 

「勘違いするな。お前はその汚い人たちとは違う。ホシノが優しい奴だと俺は知っている。現に、お前が梔子先輩を何度も助けてきたんだろ」

「でも……私は……ユメ先輩にも強く当たってばかりで」

「大事だからこそだろ。人間、怒るのも体力使うんだぜ。人の為に怒れる人は優しい人だよ。疑うのだって同じさ。

 ……お前は俺を優しいといったが、むしろお前よりも酷い人間だな。三条燈色君は己の欲望(百合)の為に、他所で暴力を振るっているわけだ」

「それは借金返済のためで!」

「じゃあホシノも同じだな。変に気に病むことはねーよ。その大切に想う軸さえ忘れなければ、己を見失うこともない筈だ」

「大切に想う軸……」

 

 迷いに揺れていた瞳が、色を取り戻したのを確認して──背を向けて俺は書類漁りに戻る。

 

「……ありがとうございます。少しわかった気がします」

「おう。ついでに梔子先輩をデートにでも誘えよ。普段の感謝を伝えるいい機会になるんじゃね?

 ちなみに、こっそり事前に場所を教えていただけると、ヒイロ君的にとても助かります(真剣)」

「そうですね……先輩を誘って三人で行きますか。みんなで遊びに行く機会なんて、ありませんでしたし」

「いや、俺は頭数に入れないで?」

「今更何言ってるんですか。ああまで私に言っておいて、自分は逃げるなんて許しませんよ。……それに、ヒイロが居ればもう少し、先輩にも素直に接することが出来るかもしれませんし……いいですよね……?」

 

 俺に拒絶されることを恐れるような、僅かに縋るような声音に、選択肢は一つしか残されていないことを悟った。

 

「……わかった(苦渋の末の決断)」

「良かったです。……明日からは、ちゃんと朝にも姿を見せてくださいね。ユメ先輩がいつも気にしていましたし。私も、その……今のは何でもありません!」

 

 勢いよく駆けだして、遠ざかる足音。

 

 ふう、とため息を吐いた俺は手元のフォルダを閉じて、次のフォルダを開く。

 

 所々劣化して読めなくなった紙をめくっていって──

 

「あいつが言っていたビナーって、もしかしてこいつか」

 

 色褪せた写真には、砂煙の中薄っすらと影を作る、蛇のような巨体が収められていた。

 

「これはこれは」

 

 息をひそめていたアルスハリヤが、愉しそうに横から囁く。

 

「これでも、永い時を過ごしてきた僕だが……これは人知を超えた怪物の類だな。まさかヒイロ君、英雄気取りで化け物退治なんて妄想を抱いているわけではあるまい? 誇大妄想は夢の中で留めておいてくれたまえ。やれやれ、宿を同じくする君の大事な相棒にも配慮して欲しいね」

「別に戦うとは決まってねぇよ。ただ、こいつが砂嵐の原因で、現在進行形で百合(アビドス)に危害を与えているのなら……俺はこれを無視できない」

「君の頭の中では、ほぼ戦うことが決まっているようだが? まあ、当然か。見る限り、これがアビドスの凋落の最も直接的な因子、砂嵐の発生源で当たりのようだ」

 

 資料の記述。武装は不明だが、企業の調査兵力を軽く消し飛ばす程度の火力は確認済み。普段は地中を移動しており、神出鬼没。その移動に伴い地上の構造物に被害が及んだ例も存在。そして、その巨体による津波のような砂嵐の発生も観測されている。

 

 大昔からアビドス砂漠に居たが、砂嵐が発生し始めた時期と行動パターンが変化した時期がほぼ一致しているという記述。恐らくこれが、黒服の言う『感化された』時期を指すのだろう。

 

「しかし、相手は都市すら滅ぼす大蛇、一方、彼にとって我々は蟻のような存在だ。ダビデはゴリアテを倒すために投石器を用いたが……ヒイロ君、君の勝算はあるのかい?」

「『払暁叙事』を(ひら)く」

 

 魔眼。生来の所以により生み出された、特殊な内因性魔術演算子によって、目玉自体が疑似的な魔導触媒器(マジックデバイス)に変化した姿。

 

 百合に挟まるお邪魔虫であるが、三条燈色は三条家本家の正当な後継者である。魔眼は血統による相伝が最も開眼確率が高く、故に三条燈色には三条家の魔眼である『払暁叙事』を開眼するに足る素養がある。

 

 それ自体が導体(コンソール)である魔眼は、たった一つの特殊魔法を発動することしか出来ないが、その効果は絶大な上に、その他に副次的な効果も生み出す。

 

「昔、師匠が魔眼の話をしてくれたからな。まだ意識するには早すぎる、そう当時は思っていたが……使うなら此処だ。それに、今なら開眼できるだろ、魔人?」

 

 アルスハリヤは俺の眼前で、にいぃと嗤った。

 

「確かに君は僕とまじりあい、そして現在(いま)、僕の魔力も制御下に置くことが出来るようになっている。その魔力もあって、事実、君は一度、無意識に魔眼を開いていた。その時は魔眼の力に溺れるも、意識を失って事なきを得たが」

「賞金稼ぎの仕事でアジトを襲撃した際に、妙に未来が見えたと思ったら、意識が途絶えた記憶ってそれかよ」

「未熟にも意識を失った君を、えっちらおっちら動かしたのは、この僕だからな。感謝したまえよ、ヒイロ君」

「いや待て、おい、なんでお前が俺の体を動かせる」

「前に言っていただろう? 君の脳みそはクルミ程度の大きさしかないのかい? 君の意識があるときは動かせないが、意識がない時なら別だ。とはいえ、君の普段の行動から逸脱するような事はできないから安心するといい。精々、携帯でメッセージを送ったり、歩いたり、その程度だ」

「……あの後、記憶にない黒舘との食事の約束が出来ていたのは、さては、お前の仕業だな。当時は俺が忘れていただけかと思ったが、絶対そうだよな。今、数週間越しの真相発覚に、俺の右腕が疼いているよ」

「まあまあ、落ち着き給え。過ぎたことを気にしても仕方がな──」

 

 アルスハリヤの顔面に右ストレートを叩き込んで、憂さ晴らしをした俺は、逸れた話題を戻す。

 

「で、魔眼は開眼出来るってことだよな?」

「その通り。僕は君の魔眼を強制的に開眼できる。しかし、今の君では十分に使いこなせないし、目と脳への負荷も馬鹿にならない。嘗て、強制開眼を行った者は『十と六の刻を経て、人ではなくなった』と伝わるが……その覚悟はあるかい?」

「……疾うの昔に、俺はこの命に代えてでも百合を守ると決めた。今更だ」

「愚問だったね。何、相手は同じ場所でのんびり、足元の蟻など気にせず散歩に勤しんでいるわけだ。(きた)るその時まで、隠れて牙を研ごうじゃないか。それにまだ我々は、己の敵を知る道中に居るのだから。焦ったところで、道を踏み外して滑落するだけさ。

 勿論、僕も協力しよう。ああ、礼には及ばないさ、何せ僕は君のトモダチだし、デートは実に愉快な見世物になりそうだしね」

 

 頭の中で鍛錬と調査の計画を組み立てていた俺は、アルスハリヤの戯言を嘲笑った。

 

「はっ、これだから愚昧な魔人は。万に一つも、お前が望むような展開にはならねぇよ。悪いが、お出かけの特別プログラムは梔子先輩と小鳥遊の生徒会百合で確定してるんだわ。俺はそれを後方から百合ウォッチと洒落込む予定なんで」

 

 そうだ、別に頭数に入れられたところで、俺が百合を堪能する未来は変わらない。むしろ、わざわざ百合会場を教えてもらう手間も省けたと言っていい。

 

 ニチャリと湿っぽい笑みを俺は浮かべて──

 

 

 

 ──翌日、小鳥遊に言われた通り、朝の掃除の後。光学迷彩(ディストーション・フィールド)を使わず、姿を見せた俺は、あっという間に捕まって、水族館に居た。

 

 右を見ると、ピンク色の頭が目に入る。

 

「なあ、なんで俺の右腕は人質に取られてるの?」

 

 俺と腕を組んで、固定している小鳥遊を見つめる。

 

「だって、ヒイロが逃げようとしますよね?」

「いや、逃げないよ。だから、一瞬ね? 一瞬だけ手を放してもらえないかな? 俺は逃げないから。嘘じゃないよ。ヒイロ君、嘘ツカナイ」

「……それに、言いましたよね。今更ユメ先輩と素直に話すのは、自信が無くて……でも、ヒイロがいてくれたら……その、大丈夫な気がします。だから……」

 

 不安そうな瞳に俺は折れて、脱出を諦めた。

 

 まあ、これも百合のためだから。百合のための一時の犠牲。何も問題ない。

 

 自己暗示していると、チケットの購入手続きを終えたユメ先輩が戻ってくる。

 

「いやー、まさかホシノちゃんから誘われるなんて、びっくりしたよ~」

「私から提案したらダメなんですか」

「そんなことないよ! むしろ嬉しいよ! ただ、ホシノちゃんってこういうの反対するイメージだったからねぇ」

 

 ぎゅっと、俺の右腕を締める力が強くなる。

 

「それは悪かったですね。……いえ、でも……この前は、強く当たり過ぎました。すみません」

「ホシノちゃん……謝らなくていいよ。何度も助けてもらって、いつも迷惑をかけているのは私の方だからね」

「そんなことは!」

「そんなことはあるよ。ホシノちゃんが居なかったら、きっと私は生徒会長なんて続けられていなかったと思う。だから、いつも頼りない私を支えてくれてありがとう」

「先輩……!」

 

 いつものように、梔子先輩は小鳥遊を抱きしめる。毎回嫌そうにしていた小鳥遊も、今回はその抱擁を拒むことはなかった。

 

 するりと、拘束が弱まった隙に抜け出していた俺はそれを眺める。

 

 これって……

 

 ああ

 

 百合の勝ちだ。

 

 

 ……生きていて、良かった(感涙)

 

 

 やはりアルスハリヤの目は節穴だ。奴の求めるシーンなど発生する余地もない。どう考えても、これは俺の勝利だ。所詮は魔人。足りない脳みそ回したところで、俺の百合IQ180の灰色の脳細胞には勝てっこないのだ。

 

 勝利の百合に酔い、役目を果たして満足した俺は、そのままフェードアウトしようとして──腕を掴まれる。

 

「ちょっと、一人で何処に行くつもりですか。水臭い配慮は不要です……私は、ヒイロにも感謝していますから」

 

 俺を逃がさないように、再び右腕を取られる。

 

「ふふ、これもヒイロ君のおかげかな? よーし! 折角だし今日は三人でいっぱい、思い出を作るぞー!」

 

 とびっきりの笑顔で、俺の左手を取って、梔子先輩が引っ張る。

 

 あれ、さっきまで百合が視えて居たはずなのに……これ間に(ヒイロ)が挟まってね……?

 

 いや、まだ諦めるな、俺には手が残されている筈だ!

 

 そうだ、魔眼だ! 払暁叙事──その眼に宿る魔法は、『無限に連なる最善手を視る』こと。

 

 己と相手、互いに選び得る無限の可能性から、魔眼の所有者にとって最も善い結果を視て、選び取ることが出来る。それは事象を確定させる力。視た可能性はどんなに確率が低いものでも、確定した未来として世界に現れる。

 

 現在(いま)の俺は、その効力を十分に発揮できないとしても、未来予測のように広がる可能性を視ることはできる筈だ。その中から、最善手を選べばいい!

 

「あ、アルスハリヤ!! 此処だ! 俺は此処で最善手をつかみ取る必要がある! 魔眼を開けェ!!」

「おやおや、ヒイロ君? 僕の優れた頭脳について随分好き勝手言っていたが、その謝罪も無しに僕を頼ろうだなんて……虫が良すぎやしないかい?」

 

 ずるずると、力の差で容易く引きずられながら、俺は叫ぶ。その横で浮遊する魔人は、腕を組んでニヤニヤと笑った。

 

「……」

「とはいえ、運命のパートナーであるヒイロ君に免じて、謝罪は要らないさ。ただ、人に物を頼むなら、それ相応の態度というものがあるだろう? どうかな、僕は常識を語っていると思うのだがねぇ?」

「あ、アルスハリヤ……?」

「……」

「ア……アルスハリヤ先生!! 百合が、視たいです……」

「及第点だな。だが、どちらにせよ魔眼の強制開眼の負荷を踏まえて、こんなくだらない目的じゃ許可できないな」

 

 梯子(はしご)を外すどころか、蹴り飛ばすようなアルスハリヤの発言に、俺は愕然とする。

 

「勘違いしてもらっては困る。これは君を想っての判断だ」

 

 にこやかに、俺の肩に手を置いて、アルスハリヤは微笑む。

 

「安心したまえ。この僕が、君を幸せにしてあげようじゃないか」

「こ、ころしてやる……ころしてやるぅ……!」

 

 そして、呪詛を吐いていた俺は、完全に腐れ魔人に気を取られていた。

 

「ヒイロ君、さっきから大丈夫? 熱でもあるのかな?」

 

 目の前、突然視界に梔子先輩の顔が広がる。

 

「うーん、そうでもなさそう……?」

「ちょ、ちょっと! 先輩! 近すぎますって!!」

 

 無理やり引き剥がされた俺は、今度は右腕に柔らかい感触。抱き込まれて、小鳥遊の控えめな胸が押し付けられている。

 

「ふぇっ……ご、ごめん! あははは、ホシノちゃんにもよく、距離が近いって言われているのにね〜」

 

 顔を赤らめて誤魔化すように手で扇ぐ梔子先輩。遅れて、抱き着いているような自分の体勢に気づき、慌てて離れる小鳥遊。

 

 少し気まずいようで甘い空気が流れる。

 

 百合が咲き誇るべき空間に、あってはならないラブコメの気配。

 

 最善手を選ぶどころか、悪化させたことを悟り──俺は目を覆った。

 

 

 

 

 

 

 




 タイミング等、ブルアカ原作と違うやんって話は、独自設定と独自解釈、そしてご都合主義の三種の神器を盾にします。ただ、どうしても気になる有識者ニキは感想欄ででも発散してください。

【以下、どうでもいい与太話】
 カオス理論とか面白いですよね。未来はどんなに高性能なコンピューターでも計算できない。何故なら、運動方程式自体は間違ってないから。予測に性能は関係ないわけです。ただ一点、対象の初期状態を、無限の精度の観測でもって知ることが出来ないために、初期状態の僅かな誤差が、全く異なる未来へと広がり、未来は予測不能になるわけです。
 天候なんかもカオス理論が適用される例ですが、逆に言えば、今の世界はそういった過去の僅かな差、偶然の上に立っているとも考えられるわけです。つまり、現実は偶然。なので、『ご都合主義』を『偶然』という言葉でもって覆い隠しても許され……フィクションだから筋は通せって? ハイ ^p^(敗北者)
 ……現実は偶然と言いましたが、地球上には偶然ではなく、目的をもって世界に作用できる存在が居ます。そう、生命です。この定義だとビナー君は機械ですが、生命ですね。まあ、それが生きるってことでしょう。「そういうこった!」
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