”らーらーらー、ららーらー”
入室したシャーレの執務室に、一つの歌声が聞こえた。場所はちょうど執務机のある所だ。
”ららーららー、ららーらー”
そこには椅子に背中を預け、力なく歌う男性―――シャーレの先生がいた。
”らーらーらー、ららーらー”
見ると先生の机の上にはやはりというべきか、大量の紙束、もとい書類が積まれていた。
”ことーばにー、できーなーいー”
「歌う暇があるなら仕事を終わらせてください先生」
”いやこの量は無理だよリンちゃん!?”
こちらの存在に気づいた先生が、大量の書類を指さしながら私に向けて叫ぶ。疲労のせいだろうか、目のクマがいつもよりひどい気がする。
「量も何も仕事をサボる先生がいけないのでは?毎日コツコツやればできる範囲だと私は思いますが」
”サボるも何も、私はここ数日は別件でずっといろんな所を行ったり来たりしてたからそもそもシャーレに帰れてないんだよ?だから書類ができなくてあたり前なんだよ”
「そのようなことを言って、本当は仕事をしたくなくてシャーレに帰らなかっただけでは?それにその別件とやらもおそらく後回しにしても良いものだったのでは?」
”・・・チッ”
先生は分かりやすく舌打ちをするとそののまま席い着いた。適当に言ったつもりだったが本当だったらしい。全く、この大人は・・・。
「まあ良いです、先生、あたなに頼みたいことが」
”頼みたいこと?それはさっき書類仕事を優先しろって言った人の台詞かな?”
「もし受けてもらえるなら今ある仕事を半分減らしますが」
”ぜひとも受けさせていただきますよろしくお願いします”
・・・全く、この大人は。
■
”人を探してほしい?”
「はい、こちらの写真に写っている人です」
リンはそういうと私の前に一枚の写真と書類を出した。写真には学生と思わしき一人の女性が写っていた。光のように明るいレモンイエローの髪に燃えるような赤い瞳を持った凛々しい顔たちをしている。そして何よりも目に付くのがある、この服は・・・
「彼女は 赤妻ライハ ・・・連邦生徒会の生徒です」
”!”
間違いなかった、白を基調とした上着とスカートに青色のネクタイ、そしてスカートの端に書かれているのは連邦のロゴだ。だが、それでも気になることがある。
”・・・こんな制服の子なんていた?”
「・・・彼女は少々特殊でして、私たち室長や他の生徒達とは別のものが支給されているんです。・・・理由は言えませんが」
”・・・”
目を伏せるリンをよそに、私は書類を手に持つ。やはりと言うべきか、内容は写真の女性・・・赤妻ライハに関するものだった。
”(赤妻ライハ、17歳の3年生、出身校は・・・見たことない名前の学校だな)”
”(身長162cm、趣味の欄は特に記載なし、役職も言わずもがなか)”
”それで、なんで急にこの子をを探してほしいってなったの?”
「・・・彼女、しばらく前・・・それこそ生徒会長が失踪する以前からいなくなっていまして。生徒会長は何か知っている様子でしたが何も言わず」
”それで、本格的に探すために私に頼みに来たってこと?”
「はい、そういうことです」
”なるほど”
まとめると私にも言えない秘密を抱えた連邦の子を見つけろということか。
”分かった、とりあえずどこにいるか分かったりする?”
「情報によるとD.U.区内、それも夜にいることが多いようです。」
”D.U.区内・・・それも夜か”
”よし分かった、こっちで調査してみるよ”
「こちらでも調査を続けます、よろしくお願いします」
■
”とはいっても情報はD.U.にいるってことだけか、これは地道に聞き込みしていくしかないかなー”
リンが帰った後、私は貰った書類等をしまいながらつぶやいた。とにかく見たことのある人に聞いていくほかないか。そう思った矢先だった。私のスマホにピロンという音が鳴った。誰かからモモトークが来ている。送り主は・・・
”ヒナ?”
ヒナだった。内容はシンプル、明日夜にゲヘナに来て欲しいとのことだった。特に断る理由もないので二つ返事で返した。
・・・これが、後のことに繋がる決定的な出来事とも知らずにだ。
To be continued...