黒いスーツの転生者   作:実力と発想が見合わない人

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年が明けてしまった・・・


全ての物語の始発点

◇情報室・メインルーム

 

 

 

ブラックマーケットの虫一匹に至るまで!些細なことでも見逃すな!連邦生徒会・情報室の名に懸けて、連邦生徒会長の行方を掴むんだ‼・・・いいな!?

 

 

 

「「「「「「はいっ‼」」」」」」

 

 

連邦生徒会・情報室のメインルームは大忙しである。

失踪した連邦生徒会長の情報を集めたり、その情報のすり合わせや信憑性の有無などの確認など・・・ヨハネの指示のもとに行動を始めている。

 

 

『副室長。』

 

「え?・・・あ!はい‼何でしょう?」

 

『撤退中の調査隊を護衛する必要がある。しばらくの指揮を頼む。』

 

「わ、分かりました!お任せください‼」

 

『頼んだぞ。』

 

「お気を付けて‼」

 

 

だが、今のヨハネの一番の仕事は連邦生徒会長の失踪に伴い激増した犯罪や暴れ始めた犯罪者集団から現場にいる調査隊を守る事である。

すでに撤退を開始した調査隊を護衛するためにメインルームを出発するが、それでも犯罪者共がいつ襲い掛かるか分からない。急がないといけないだろう。

 

 

『場所は・・・ヒノム火山近郊だったからゲヘナだな。』

 

 

ヨハネは周囲に誰もいないことを確認すると、手袋から淡い青色の剣を取り出す。

その剣はどちらかと言うとブレードと言った方がしっくりくる見た目で、非常に便利な力を持つオーパーツだ。ヨハネのお気に入りの一つである。

 

 

『〈夜明けの(きず)〉』

 

 

走りながら縦に剣を振ると、その瞬間にヨハネの姿は消えてしまった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

◇連邦生徒会・第3調査隊・ゲヘナ近郊

 

 

 

「・・・大丈夫でしょうか?」

 

「何がだ?」

 

 

情報室調査隊の乗っている数台の車両。その中にいる撤退中の隊員たちはいつも以上に緊張感に包まれている。そんな中、揺れる車両の中で一人の隊員が不安を呟いた。

 

 

「だって、この前も第2部隊が襲撃されたばかりですよ・・・それも比較的平和なトリニティで。こんな治安の悪いゲヘナ近郊何ていつ襲われるかわかったものじゃないですよ。」

 

 

彼女の言う事ももっともである。

いきなり緊急回線で撤退を指示され、同時に送られてきた情報には犯罪件数が跳ね上がっていると記されている。何があったのか分からないが、これで不安になるなと言う方がおかしい。

だが、彼女たちにはどうすることもできない。今はただ、無事に帰れることを祈る事しかできなかった。

 

 

「うぅ・・・室長・・・」

 

 

新人の一人が半泣きでつぶやく。

だが、その名前の人物ははるか遠くのサンクトゥムタワーだ。すぐに来れるわけではない。

もし襲撃があれば、今いる部隊の隊員たちで何とかするしかないだろう。だが、たかが十数人の調査隊で一体どれだけの抵抗が出来るだろうか?まともに銃を握ったことのない者もいると言うのに・・・

 

 

「・・・マズイ、来るよ!」

 

「総員!戦闘準備‼」

 

 

外を見ていた隊員が叫ぶ。それと同時に運転手はアクセルを思いっきり踏み込み、車両を加速させる。他の隊員は各々が銃を手に取り、微力ながら抵抗をしようと覚悟を決める。

 

 

「やばいよ!多分、どっかのヘルメット団だ。完全にこっちをロックオンしてる!」

 

「他の車両を見失わない様に!お互いで援護しながら逃げ切るよ!」

 

 

ヘルメット団の車両が数台、こちらに向けて銃を乱射しながら突進してきている。

敵の数はどう見てもこちらより圧倒的に多い。追い付かれたらお終いだろう。

 

必死に逃げようとする調査隊の車両と、それを追いかけるヘルメット団の車両。

距離を詰められ離されが繰り返されたが、しばらくしてそれは終わりを迎えた。

 

 

「ッ!しまった!やばっ・・・」

 

「うわぁ!」

 

 

ヘルメット団の放ったロケット弾が運悪く一番前を走っていた車両に命中。

横転した車に後続も巻き込まれる。

 

幸いにも、前の3台が転んだだけで残りは止まる事が出来た。

だが、止まったことでヘルメット団の車両が追い付いてしまった。

 

 

「ギャハハハハハ!これでお終いだなぁ!」

 

「手こずらせてくれやがって!大人しく捕まっとけばいいのによぉ!」

 

 

銃を向けながらヘルメット団が近寄ってくる。その後ろからはさらに増援が来ているのが見える。

もはや絶望的な状況だ。

まだ使える車両は横転した車両の後ろに隠し、倒れた車両から仲間を助ける。

だが、助けている間に完全に包囲されるだろう。しかし、仲間を見捨てていくことはできない。

 

 

「・・・室長、申し訳ありません。」

 

 

部隊長の生徒が銃を強く握り、他の隊員と共に最後の抵抗を試みようとした時だった。

 

 

『いや、問題ない。』

 

 

にじり寄るヘルメット団の周りを一筋の青い閃光が走った。

 

 

「いてっ!」

 

「ぎゃ!」

 

「なに!?」

 

 

それと同時にヘルメット団の数名が倒れ、その他も手に持った武器が破壊される。

さらに閃光がもう一度走ると残りの敵も倒れた。

 

そして調査隊の前に一番待ち望んでいた人物が現れる。

 

 

『まったく、いつも間に合わない自分に嫌気がさすな・・・』

 

 

連邦生徒会のエンブレムが描かれた真っ白なコート。

特徴的な赤い手袋を付け、その手には普段は見ない剣の様な武器を持っている。

連邦生徒会の最高戦力にして戦う幹部。そしてキヴォトスでも無類の強さを誇る人物。

 

 

「し、室長~」

 

 

連邦生徒会の情報室長・四騎ヨハネだった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

やってきたヨハネにより戦況は一変した。

大量にいたヘルメット団は全員が手も足も出ずに無力化されていく。

ヨハネが剣を一振りするたびに数人が宙を舞い、装甲車は破壊され、ヘルメット団幹部も吹き飛ばされる。

遠くから銃を撃つ者は、刀身から斬撃を飛ばすという目を疑う様な攻撃で処理する。

敵の攻撃はその剣の腹で受け止めたり、最小限の動きで回避。

 

ほとんど一方的に攻撃し、到着から10分ほどでヘルメット団は全滅した。

 

 

『いくらかは逃げたか・・・まぁ、深追いする必要は無いな。』

 

「室長・・・ありがとうございました。」

 

『気にするな、状況が状況だからな。むしろ俺がもっと早く来るべきだった。』

 

 

調査隊長の頭を撫で、ヨハネは撤収作業の指示を出した。

横転した車から機材を取り出してまだ使える車に乗せる。入りきらない分はヨハネが(こっそりと)手袋に収納して運んだ。

 

それからも何度か不良やヘルメット団に襲われたが、ヨハネがその圧倒的な戦闘力で制圧するため手も足も出ずに終わる。

 

そのおかげか、調査部隊はの損害は車数台と思ったより少なかった上に、到着時間も大幅に短縮する事が出来た。

 

 

「何とか帰ってこれましたね。」

 

「うん、一時はどうなるかと・・・」

 

「やっぱり室長が居ると安心できるよね!」

 

 

無事にサンクトゥムタワーに到着する事が出来た隊員は負傷者以外はその場で解散となった。

そのため、ほとんどの隊員は休むために部屋を去っていった。

 

 

『何とか全員が無事に帰ってこれたな・・・』

 

「お疲れ様です、室長。」

 

『副室長か・・・何か手掛かりは?』

 

「一つだけ・・・不確定ですが。」

 

『何でも良い、今は少しでも痕跡が必要なんだ。』

 

「分かりました・・・こちらになります。」

 

 

副室長から渡された端末には一つの座標が記されていた。

 

 

『ここから30㎞も離れた外郭地区だと?』

 

「はい、そこにある建物に入ったのを最後に痕跡がすべて途絶えておりまして・・・」

 

『つまり、そこに何かあるって事だろ。・・・・やっぱりか

 

「どうされますか?」

 

『ここは俺が確認する。他の者には引き続き情報収集を続けさせろ。』

 

「分かりました。」

 

 

部屋を去っていく副室長を見届けてから、ヨハネは大きくため息をついた。

 

 

『連邦生徒会長の失踪・・・増える犯罪と荒れる治安・・・』

 

 

長い事待ち望んだこと。

以前から噂になっていた連邦生徒会の新しい組織・・・連邦捜査部・シャーレ。

それが表すことは――――

 

 

『ようやく原作の始まりって所かな?』

 

 

自身の知る、この世界の・・・ブルーアーカイブの原作の始まりである。

 




今回はここまでです。

次回、先生到着。

〈夜明けの創〉・・・見た目イメージはタイタンフォール2のローニンのブロードソード
空間と空間を繋げることのできる、剣の形をしたオーパーツ。正確な座標や触媒を用意すれば、理論上どんな場所にも瞬間移動できる。

目に見える位置や、適当なものをぶん投げてその場所にワープできるオーパーツ。
座標設定すればドラクエのルーラみたいに使える・・・けど、危ないし他の人に見られると面倒だから滅多に使わない。

それではまた次回・・・
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