◇連邦生徒会
”リンちゃーん!”
「誰がリンちゃんですか・・・」
連邦生徒会の執務室。そこで先生は、必要な書類の確認などを行っていた。
特に大事な書類などは機密事項が多いため、こうして調停室を経由せずに直接渡すこともあるのだ。
「はい、確認は済みました。ありがとうございます、先生。」
”よーし!これで急ぎの仕事は無くなったぞー!”
「お疲れ様です。目覚ましい活躍ですね。最近は特にシャーレの先生の話をよく耳にします。」
”いやいや、困ってる生徒は見過ごせないだけだよ・・・それに私にできる事は基本やっておきたいから。”
「そうですか。」
”それじゃあ、私は戻るけど、私にできる事があったらいつでも呼んでいいからね!”
リンは部屋を出ていく先生を見送り、自身の仕事へと取り掛かる。
先生の活躍の話は、日に日に増えてきている。
ボランティアから少し規模の大きな問題の解決など・・・住民、企業、個人に関係なくたくさんの依頼が舞い込み、それを先生がこなしている事で多くの人が先生を称賛していた。シャーレに加入する生徒も増えてきているとか。
シャーレが超法的機関である以上、悪いことを考える奴もいるかもしれない。今のうちに対策しておくのが良いだろう。
「ヨハネさんに・・・情報室長に連絡しておきましょうか。」
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◇調停室
「情報室長についてですか?」
”うん!どんな子なのかな~?って・・・”
「連邦生徒会のなかでもすごい方です!」
”どんな感じで!?”
「そうですね・・・上げ始めたらきりがありませんが、特に戦闘面はずば抜けています。」
「単独でのヘルメット団や七囚人の制圧・・・あと、他校から演習相手に呼ばれるほどには強いと聞いています。」
”そんなに強いんだ・・・”
「はい、噂では弾丸を空中で止めたとか、瞬間移動したとか・・・」
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◇財務室
「ヨハネ先輩についてですか?」
”うん。色んな人から聞いておきたいなって思って。”
「そうですね・・・まるで透明人間みたいな人です。」
”透明人間?”
「はい、頼れる先輩なのは良いんですが、自身に関することを全く他人に明かさないのです。」
「見えているのに分からない、そこに居るのに触れられない・・・そんな人よ。」
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◇交通室
「ヨハネ先輩?」
”そう!何かないかな?”
「う~ん・・・あ、ご飯がおいしい!」
”・・・・・うん?”
「ヨハネ先輩の作る料理はおいしいんだよ~。先生も一度お願いしてみたら?」
”えぇ・・・・・”
「一緒に仕事してるときとか、何かお願い事された時とか、言えば意外と聞いてくれるよ。」
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◇防衛室
「情報室長について?」
”うん!”
「特に言う事は無いのですね。彼のおかげで私の仕事は少ないですし・・・あぁ、一つだけ。」
”何々?・・・うわぁ!”
「先生、彼には気を付ける事です。」
”え?”
「情報室長は何か・・・とにかく危険な感じがします。彼について知ることは構いませんが、深入りすることはお勧めしませんよ。」
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◇情報室
「あ!シャーレの先生。こんにちは。」
”こんにちは。君は・・・”
「おっと失礼。お初お目にかかります!情報室・副室長の夢野ツキミと申します!以後お見知りおきを・・・」
”私はシャーレの先生だよ。それで、ヨハネはいるかな?”
「室長は用事があると言って出かけています。」
”そうなんだ。”
「1時間前に3時間ほどかかると言って行ってしまいました。」
”あと2時間・・・”
「何かご用事が?」
”ううん、少し訪ねてみただけだよ。”
「そうですか・・・何か知りたいことでもあれば、是非情報室をおたずねください!」
”その時はよろしくね。”
「はい、お任せください!室長程ではないですが、私たちも情報収集は得意なので!」
”ヨハネってそんなにすごいの?”
「えぇ!私たちが全く尻尾を掴めなかった人物や組織をいつの間にか見つけてたりするんですから!」
「それに戦闘もすごいですよ!私はあまり見ませんが、調査隊からは圧倒的だと聞いてます。」
「あと、割と色んな事が出来るらしいです。」
”色んなこと?”
「はい・・・例えば裁縫、溶接、料理、武器の作成に機械の修理、爆弾解除に礼儀作法・・・とにかく色々です!」
”そうなんだ。”
「困ったことがあればいつでもご相談を!室長からは先生をなるべく助けてほしいと言われてますので。」
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◇????
『ボス、久しぶりです。』
「えぇ、お久しぶりですね。ヨハネ。」
薄暗い部屋の中で二人の人が向かい合っている。
ひとりは黒いスーツに身を包んだ頭が黒い異形の存在・・・黒服だ。
もう一人は、同じく黒いスーツに身を包み、赤い手袋、白い仮面、青いネクタイを装着した男・・・ヨハネだ。
ここは黒服のアジトの一角であり、定期的な報告を行う場所だった。
『早速だが、あんたの気になる先生についてだ。』
「えぇ、どんな方でしたか?」
『ここ数日で分かったことは・・・お人好しで生徒思いの人、だな。』
「ほう?」
『困った人を放っておけない、生徒が頼ってくれば最優先で助けに行く・・・お手本の様な、まさに「先生」だ。』
「危険はありませんか?」
『危険って程ではない。何もしなければほぼ無害だと思ってもいい。だが、生徒に危害を加えると敵になるだろうな。』
「クックックッ・・・では、あなたのやってきたことを知れば敵になると言う事ですか。」
『かもな・・・その時はその時だ。』
「まぁ、今のところは静観と行きましょうか。」
『了解した。』
「あぁ、そうです。奥の部屋に抑制剤の追加がありますので、必要なら補充を。」
『わかった。それじゃあ、俺はここで失礼する。』
「えぇ、くれぐれも危険の無いように。」
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◇連邦生徒会・情報室
「あ、室長。」
『遅くなった、何かあったか?』
「いえ、とくには・・・あ、2時間前にシャーレの先生がお越しになりましたよ。」
『先生が・・・どんな用事で?』
「室長について少し質問を・・・あ、詳細とかでは無くてどんな人物なのか、と。」
『そうか・・・まぁ、いいさ。』
「室長はこれからどちらに?」
『緊急の用事は無い、以前見つけた遺跡に行くつもりだ。』
「そうですか・・・無理はしないでくださいね。」
『当たり前だ、無理なことはしない主義だからな。』
「そういう意味じゃ・・・あ、お気を付けて!」
副室長を置いてヨハネはさっさと部屋を出ていく。
その後ろ姿を見送る副室長は、どこか悲しげな表情をしていた。
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◇連邦生徒会・休憩室
『ふぅ・・・危ない危ない。』
ヨハネは懐から小さなケースを取り出し、中の錠剤を一つ呑み込む。
抑制剤・・・それは〈呪い〉の副作用を抑える役割をもつ薬である。
もし、これが無ければ、四六時中、鈍痛や倦怠感に襲われることになる。ひどいときは吐血などもあり得る。だが、どれだけ苦しんでも死ぬ事は無い。なにせ、〈呪い〉なのだから。
『今度からはもっと早めに飲むべきだな。』
終わり無き苦しみと永遠に眠る事、果たしてそれはどちらが良いのだろうか?
今回はここまでです。
この前書いたIF世界の後日談を書こうか思ってるんだけど・・・いるかなぁ?
それとアークナイツに転移させました。
それではまた次回・・・