黒いスーツの転生者   作:実力と発想が見合わない人

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悪夢は巡り、そして終わらないのだよ。
だから、これも必要な話・・・いずれ君たちも分かるはずさ。


色彩の残滓

◇ブラックマーケットの一角

 

 

 

ブラックマーケット・・・スラム街の様なそこは、社会からあぶれた物や学園の庇護を失った者らの行きつく場所でもある。

キヴォトスの至る場所に存在するそれは、連邦生徒会の管理が行き届いていないため、犯罪者と裏組織の温床となっている。

幸せな青春とは全く持って反対の汚らしい世界である。

 

 

『ここだな。』

 

 

そんなブラックマーケットの一角の建物から、非常に小さな色彩の反応が出たらしい。

黒服から呼び出されたヨハネはそれを確認しに来ていた。

 

反応があった場所は、裏社会の中でも特に大きい組織の所有する建物だった。

その組織は、違法薬物や武器の売買、殺人、誘拐・・・とにかく様々な犯罪を平気で行う組織だ。最近では人身売買も行っているとか。

とにかく巨大な組織であり、規模だけで言うならその辺の学園を余裕で超えるだろう。

 

そんな場所から色彩の反応が出たのだ。

黙って見ているわけにはいかない。

 

仮面を着け直し、建物に侵入する。

 

 

『さてと・・・敵さんのお出ましだ。』

 

 

当然ながら、警備兵がこちらに気付いた。

増援を呼びながら四方八方から銃口を向けてくる。

警報が鳴っている辺り、この建物にいる重要人物などはすぐに避難するだろう。

しかし、今回の目的ではないので見逃すとしよう。

 

 

『まぁ、やろうと思えばいつでも始末できるしな。』

 

 

しかし、どうした物か。

 

 

「両手を上にあげろ!」

 

 

この警備の数は面倒だな。

少なく見積もっても50はいる。増援も含めたら100は超えるか?

やる事は変わらんが。

 

 

「そうだ。そのまま大人しくしていろ・・・おい、お前。取り押さえてこい。」

 

「お、俺ですか!?」

 

「いいからいけ!命令だ!」

 

 

ひとりの男がこちらに近づいてくる。

拳銃を構えながら、若干の及び腰で・・・

 

周辺の警備兵も緊張している様子だ。

 

 

「・・・・・」

 

 

男との距離が近づく。もう手を伸ばせば届く距離だ。

・・・もういいだろう。

 

 

ヒュン

 

 

「え?」

 

 

腕を振るう。

手には瞬時に取り出した杖が握られている。

 

 

「あ・・・ゴフッ!

 

 

拘束しようと近づいていた男は首と口から血を吐き出しながら倒れる。

それと同時に誰かが叫び、警備兵が一斉に引き金を引いた。

 

 

「う、撃て!」

 

 

アサルトライフル、サブマシンガン、ハンドガンにスナイパーライフル、そしてショットガン・・・ありとあらゆる銃が火を噴き、敵を貫かんと銃弾が飛んでいく。

しかし、それらは一つとして彼に当たる事は無かった。

 

 

『どっこいせ。』

 

 

未だに血を吹き出す男を担ぎ、盾のように構える。

そのまま正面に向けて突撃し、手ごろな敵から杖で切り裂く。

 

そこからは彼の独壇場だった。

 

敵の撃つ銃弾は他の敵を盾にして防ぎ、近くにいる敵は手に持った杖で片付ける。

落ちている銃を拾って撃ち、弾が切れれば他の銃を拾う。

 

杖を振るい、銃を撃つ。

たったそれだけで、あっと言う間にその場にいる敵を皆殺しにする。

 

 

『あっけなかったなぁ。』

 

 

そして足早に誰もいなくなった広場を後にした。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

◇ブラックマーケット・裏社会の組織の拠点・廊下

 

 

 

 

『しかし・・・大きな建物だな・・・』

 

 

ウォーデンの突入した建物は、想像以上に大きなものだった。

長い廊下、いくつものホールや大広場、そして数えるのが飽きるほどの小部屋、豪華な装飾やオブジェクト・・・・それに、こちらに向かってくる警備も装備が充実している。

 

 

『どう考えても重要な施設だな。』

 

 

もしかしたら、ここの組織が何かの実験をしたのかもしれない。

だとしたら危険だ。ただちにこの組織の人間を一人残らず処分しないといけない。

何せ、キヴォトスを滅亡させる可能性のある色彩・・・それを呼び込む行為は、すべて消さなければならないのだから。

 

 

『・・・もっと急ぐ必要があるな。』

 

 

黒服から指定された場所まではすぐだ。

 

 

『この先だな・・・』

 

 

長い廊下が終わり、大広間へと出る。

そこには一人の傭兵がいた。

 

 

「そこまでだ。」

 

『おや、護衛かな?早めに片付けるとしよう。』

 

 

明らかに戦闘態勢の傭兵。

俺は杖を大きく振り、仕掛けを解いて刃を展開する。

細かく分かれた刃はワイヤーで繋がれ、まるで鞭のように扱う事が出来る。

 

仕込み杖・・・これはそう呼ばれている。

 

 

『よっと!』

 

 

大きく腕を振る。少し遅れて刃のついた鞭が動きをなぞるように繰り出される。

うねりをもって広範囲を薙ぎ払う鞭を、相手は跳躍して回避する。

刃が壁を抉り、置かれたインテリアを粉砕する。

 

 

「チッ!」

 

『まだまだ行くぞ。』

 

 

相手に向けて、何度も、何度も鞭を振るう。縦に横に・・・円を描く様に。

銃を構える隙も、近寄らせる隙も与えない。

ワイヤーで繋がれた刃は、その空間を切り裂きながら、縦横無尽に駆け巡る。

 

相手も回避で精一杯の様子だ。

 

 

『ほう、すべて回避するとはね・・・素晴らしいじゃないか。』

 

 

しかし、相手も手練れだった。

いくら反撃できないとはいえ、ほぼすべての攻撃を回避された。

高速で動き回る刃の隙間をくぐるように抜けてくる。

 

そして、手に持った銃でこちらを狙ってきた。

 

 

「食らえ!」

 

『ふむ、目が良いのか?それとも勘か・・・いずれにしても厄介だ。』

 

 

ステップで銃撃を回避し、合間に鞭による攻撃を混ぜる。

しかし、距離を詰めてくる傭兵。

恐らくは、あえて距離を詰めることで鞭を使えなくしようと言う魂胆だろう。

 

それが命取りになった。

 

 

ヒュパン!

 

 

「ぐっ・・・・あぁぁあぁぁっ!

 

 

伸びきった鞭をこちらに引き寄せ、そのしなる様な動きで腕を切り飛ばす。

死角からの一撃により、傭兵は右腕を押さえながら倒れる。

 

俺は鞭を一直線にそろえて地面に突き立てる。分かれた刃が一つになり、元の杖へと戻る。

 

俺は腕を押さえて倒れる傭兵に近づき、頭に向けて杖をまっすぐ振り下ろした。

 

 

 

ぐちゃ・・・

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

傭兵を始末した後、奥の部屋へと向かった。

そこら中に血や引きずった跡の様な物がいくつも付いていた。

 

そして何よりもにおいがひどかった。

血と肉の腐った様な、ツンとした刺激臭。

 

 

「だれか・・・」

 

「う・・・うぅ・・・」

 

「こ・・ろし・・・て・・・」

 

「いや・・・・い・・・や・・」

 

 

セットでうめき声も聞こえてくる始末。こんな物を頼んだ覚えはない。

 

各地から誘拐された人たちだろう。

檻に閉じ込められ、暴力を振るわれていたのだろうか。ピクリとも動かず、ただうめき声を出すだけだった。

そういえば、ここの組織は人身売買を行っていると言う噂がある。

つまり、そう言う事だろう。

 

 

『すまんが、俺は正義のヒーローじゃないんでね。』

 

 

捕らえられた人たちを横目にさらに奥へと足を運ぶ。

 

 

『ここかな?』

 

 

牢獄の中でも、一番奥に位置する小部屋。

そこが色彩の反応のあった場所だった。

 

 

『鬼が出るか蛇が出るか・・・』

 

 

覚悟を決め、勢いよく扉を蹴り飛ばした。

大きな音を立てて扉が開き、中の様子が露わになる。

 

 

「あ・・・・」

 

『おやぁ?』

 

「・・・ひっ!」

 

 

そこにいたのはここにはいないはずの生徒―――

 

 

『黒見セリカさん・・・ですね?』

 

 

アビドス高校1年生・黒見セリカだった。

ボロボロの布切れを身にまとい、壁に鎖でつながれている。

体の各所には包帯や縫合痕がいくつも存在し、べっとりとした血が体中に張り付いている。

 

 

『これは・・・いや、なぜここに・・・』

 

 

俺は、黒服から呼ばれてすぐにここに来ている。

ゲマトリアの基地を経由して来ているとはいえ、彼女が捕らえられてアビドスからここまで運ばれるにはあまりにも早すぎる。

 

おまけにこの体中の怪我・・・・ほとんどが治りかけである。

いくら回復力の高いキヴォトスの住民でも、こうなるには数日は掛かるはずだ。

 

つまり、彼女はつい最近ここに来たわけではない・・・と言う事だ。

 

 

『何か、手掛かりになるものは・・・』

 

 

部屋の外に移動し、彼女について知れるものが無いか探す。

しかし、それらしいものは何も見つからなかった。

 

 

『致し方ない・・・』

 

 

部屋には彼女以外何もなかった。

つまり、彼女が色彩と何か関係ある可能性が高い。

そのため、彼女を回収する。あまり気乗りしないが、何も情報を得ずに帰る訳にはいかない。

 

鎖を破壊し、セリカ(仮)を背負う。

明らかに痩せ細り軽くなった彼女は、弱々しく俺に体を預けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨハネ・・・せんぱ・・・い・・・」

 




今回はここまでです。


と、言う訳で・・・プレ先世界のセリカ、放り込んでしまいました(笑)
とりあえずは本編と同時並行で進めようと思うよ。
続きは・・・その内出すわよ。

まずい・・・寝不足で死にそう・・・
みんなは健康に気を付けてね!


それではまた次回・・・

これからの方針

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