黒いスーツの転生者   作:実力と発想が見合わない人

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さっさとエデン条約編に行くんだよォ!

限定二人だと?・・・おのれYOSTARめ!!


―――は何を望む?

◇ミレニアム・ゲーム開発部・部室

 

 

『たしか・・・ここだな。』

 

 

ミレニアムの校舎。

長い廊下の途中、数ある部屋の一つの扉。その目の前にヨハネは立っていた。

手の中には白い布に包まれた何かがあった。

 

その何かとはヨハネがオーパーツやその他の良質な素材をふんだんに使用し、丸一日かけて作り上げた剣であった。

コスト度外視でとにかく全力を掛けて作った最高級の一振り。これ一本でそこら一帯の学校の財政をひっくり返せるくらいの価値があるだろう。

もし領収書を作ってセミナーの会計に見せれば泡を吹いて倒れるに違いない。

 

だがこれは観賞用ではない。実戦でこそより美しく輝く。

 

振るわれる剣の軌跡。

風を切り、空間を裂き、敵を打ち倒す様はきっとこの上ないほど素晴らしいに違いない。

これを自身で振るうことができないのは甚だ残念ではある。

 

 

ヨハネは梱包された剣を片手で持ちながら扉を数回ノックする。

部屋の中からバタバタと慌ただしい音が聞こえ始めた。

しばらくすると、扉が開かれて元気な挨拶と共に一人の少女が飛び出してきた。

 

 

「こんにちは!」

 

『おう、数日ぶりだな。』

 

 

開かれた扉からその部屋・・・ゲーム開発部の部室へと入るヨハネ。

 

ゲーム機などが転がる部室。

部屋には才羽姉のモモイと才羽妹のミドリ。

一瞬でロッカーの中に隠れた・・・恐らくユズ。

そしてソファに座り、いつも通りの笑みを浮かべる先生。

 

 

”や、ヨハネ。”

 

『こんにちは、先生。』

 

”その白いのはどうしたの?”

 

『わかり切った事でしょう?』

 

「も、もしかして・・・!」

 

『あぁ・・・約束のモノだ。』

 

 

そう言ってヨハネは手に持っていた剣を部屋の中央にあった机に置くと、包んでいた布を丁寧に外す。

すると青を基調としたシンプルな装飾の施された鞘に収まった剣が姿を見せた。

持ち手は鈍い鋼色をしており、所々にはクリスタルの様な装飾も付いている。

 

まさに物語(ファンタジー)から飛び出してきたような代物だった。

 

 

「「「・・・わぁっ!」」」

 

”これは・・・”

 

 

キヴォトスでもキヴォトス外でもまずお目に掛かれ無い本物の剣。

それもしっかりと実用目的で作られた一品を前に、ゲーム開発部の全員の目が輝いていた。

 

 

「こ、これが・・・」

 

「アリスちゃんの剣・・・!」

 

「す、すごいですっ!」

 

 

ワイワイとはしゃぐゲーム開発部を満足げな表情で眺め、開いているソファに腰かけるヨハネ。

隣に座っている先生がそんなヨハネを労う様に声を掛けてきた。

 

 

”本当にありがとね。ヨハネ。”

 

『いえ、気にしないでください。』

 

”なんか、いつもヨハネに頼りっぱなしになっちゃってるね。”

 

『気にしないでください。アビドスの一件は人命が掛かっていましたし、今回はかなりのレアケースですので。』

 

”それでもだよ。もし何か力になれる事があったらいつでも言ってね!”

 

『えぇ、その時は是非とも・・・それよりも―――』

 

 

ヨハネが視線を部屋の中央に向ける。

そこにはアリスを囲んでわちゃわちゃしているゲーム開発部の姿があった。

 

なにやらかなり喜んでいるようだが・・・

 

 

「アリス‼それ本当⁉」

 

「はい!確かに聞こえました!!」

 

『なんだ?何か問題でもあったのか?』

 

 

少し大げさにも思える反応に、不思議に思ったヨハネは思わず声を掛ける。

 

 

「アリスが、剣を持ったら声が聞こえたって!」

 

「はい!頭に響く様にしっかりと!」

 

”もしかして、持ち主を選ぶとか剣が意思を持ってるとかそんな感じの奴⁉”

 

 

双子(モモミド)やアリス、先生が興奮気味にヨハネに問いかける。

しかし、ヨハネは眉を顰めながら引き気味に答えた。

 

 

 

 

 

 

 

『え?・・・知らん、何それ・・・こわ・・・』

 

 

”「「「・・・え?」」」”

 

『とにかく頑丈になるようには作ったが・・・何かしらのオーパーツが反応したか?ははは、少し気になるな。』

 

 

ヨハネの発言に部屋の空気が凍り付いた。

全員が数秒間その場で固まり、アリスの持つ剣を凝視している。

しばらくして、恐る恐る先生が口を開いた。

 

 

”ヨハネ・・・だ、大丈夫なんだよね?”

 

『うーむ・・・・まぁ、命に関わることは無いかと。』

 

 

 

顎に手を当て考えるヨハネ。

だが、しばらくして降参した様に両手を上げた。

 

 

『考えても仕方ありませんし、使える内は使っても大丈夫ですよ。』

 

「そんな適当な・・・」

 

 

諦めたように笑うヨハネ。

アリスは剣を手に持ったままじっと見つめている。

 

 

『・・・んで、なんて聞こえたんだ?』

 

「・・・え?」

 

『何か聞こえたんだろ?何て言っていた?』

 

「〈汝は何を望むのか?〉―――って言っていました。」

 

『ふむ、なるほど。条件型か?・・・いや、オーパーツが自我を・・・さすがにそれはないか?

 

 

ぶつぶつとつぶやきながら思考を巡らせるヨハネ。

その様子を見ながら、横から先生がアリスに話しかける。

 

 

”それで、アリスはなんて答えたの?”

 

「えっと・・・アリスは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇者になりたい。――って答えました!」

 

 

 





今回はここまでです。


次回辺りでセミナー襲撃回。
それからエデン条約やね。
補習授業部へんは暗躍中心で行く予定だわよ。


それではまた次回・・・・

これからの方針

  • メイン優先
  • 閑話あり
  • 曇らせを書きなさい
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