黒いスーツの転生者   作:実力と発想が見合わない人

34 / 37
事故で死にかけてました。
さぁ、書くゾイ!


勇者とか

◇ミレニアム・廊下

 

 

 

『特と見るが良い・・・』

 

 

そう言って俺は鞘に収めた刀を振りぬき、正面を薙ぎ払った。

初手大技は紳士の嗜み。君もそう思うだろう?

 

 

”みんな避けて‼”

 

 

大きく振られた刃は光り輝き、特大の光波を撃ち放つ。

さらに続いて二撃、三撃と廊下を埋め尽くすように光波を放つ。

 

 

「ありかよそんなの!」

 

「レーザー避けるゲームみたい!」

 

 

悪態を吐きながらもネルはスライディングを駆使しながら光波を避ける。

ネルの後方にいたアスナも何とか回避に成功。

 

だが、援護のために距離を置いていたアカネ。彼女が回避をしようとした時だった。

 

 

『罪の茨。』

 

「なっ⁉」

 

 

地を這うように接近する赤い茨に足を取られた。

ウォーデンは輝く光波に隠れるようにこの魔術を密かに放っていた。

幾重にも重ねた光波に気を取られ、誰も気が付けなかった。

 

そうして足を取られ回避の遅れたアカネに光波が直撃。

光が爆ぜると同時に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。

 

 

「・・・え?」

 

「アカネ!!」

 

『まず、一つ。』

 

 

壁際で倒れ、ピクリとも動かないアカネ。

仰向けに倒れるその体には、肩口からバッサリと切られた傷口が大きく開いていた。

 

 

”アスナ、アカネを連れて今すぐ撤退!ネル達はその援護を!”

 

 

先生の怒号のような指示が聞こえると同時に、それぞれが迅速に行動を開始する。

 

アスナは倒れるアカネを背負い、治療のために全力で走り出す。

流れる血がアスナのメイド服を赤く染め上げる。

 

 

「ぜったい・・・絶対助けるから!」

 

 

アカネを抱えて走るアスナを背に、ネルはウォーデンに向けて突撃。

今の彼女は仲間を傷つけられ激昂しているものの、あくまで思考は冷静だった。

放たれる光波を躱しながら自身の銃を乱射する。

 

 

「やってくれたな!」

 

『仕掛けてきたのはそっちだろうに・・・』

 

 

ウォーデンは迫りくる銃弾を切り飛ばし、お返しとばかりに光波を放つ。

ネルは先ほどと同じように全ての光波を躱し切る。

 

 

「はっ!その攻撃はもう見切った。大振りな上に密度もねぇ。慣れれば楽勝だ!」

 

『そうか。』

 

 

言葉の通り、ネルは次々とやってくる光波を回避する合間に射撃を行い始める。

だが、それでもウォーデンは絶え間なく同じ攻撃を繰り返す。

 

そしてネルがリロードを行おうとした瞬間、光に隠れるようにウォーデンの姿が一瞬で消えた。

 

 

”ネル!後方回避ッ!”

 

「なっ!!」

 

 

放った光波に隠れるように姿勢を低くしての急接近。

先生の指示でとっさのバックステップを行ったネルの眼前を、刀の切っ先が通り抜ける。

 

 

「あぶねぇ⁉」

 

”カリン、ヒビキ。射撃開始!”

 

 

ネルが一旦距離を取ると同時に、迫撃砲と大口径のライフル弾が窓を突き破りながら飛来。

銃弾は的確にウォーデンの急所を、迫撃砲は榴弾で足元を狙ってくる。

 

狙撃に気を取られれば榴弾に足を取られ、かと言って榴弾の回避をすれば行動を読まれやすい。

 

 

『ふむ・・・』

 

 

それに――――

 

 

「そこか!」

 

『まぁ、そう来るよな。』

 

 

ネルによる爆炎を突っ切っての突撃。

気を抜けば命取りになる。

 

ネルを光波で牽制し、狙撃を避け、迫撃弾を迎撃する。

まったくもって休む暇がない。

さすが先生の指揮だ、並みの奴ならこれだけで手も足も出せずに終わるだろう。

だが・・・

 

 

『相手が悪かったなぁ・・・』

 

 

ウォーデンが腕を振るうと、ミレニアムの廊下を真っ白な霧(氷の霧)で埋め尽くされた。

慌てて後退したネルだが、スカジャンの裾が霧に触れたらしく完全に凍り付いていた。

 

 

「なんだよそれ!」

 

 

眼前に広がる霧に悪態を付くネル。

銃弾ではどうする事も出来ず、かと言って無視して突っ込んで良い類の物ではない。

爆弾で吹き飛ばそうにもアカネはおらず、霧は廊下いっぱいに広がっている為迂回も出来ない。

 

しかし、そんなことを考える必要はなかった。

 

 

『彗星・・・アズール。』

 

 

小さな呟きと共に霧を突き破って、青い光の尾を引いた彗星が飛び出した。

ネルは本能的に横へ転がって回避。

巨大な光の奔流はネル掠め、ミレニアムの空を横断しながら―――

 

 

―――――ネルが先ほどまで居た場所の先、カリンたちが居るビルの屋上へ衝突した。

 

 

「なっ・・・!」

 

”そんなっ!”

 

 

彗星が突き抜けた屋上付近は爆発と共に崩壊し、そこら中に瓦礫を撒き散らす。

遠方ゆえに安否は不明。だが、少なくとも無事ではないだろう。

 

 

『届くかどうかは賭けだったが・・・上手くいってよかった。これで三つ。』

 

「テメェ・・・!」

 

 

よほど激昂しているのか、ネルの動きが先ほどよりも速く鋭くなっている。

だが、感情的な動きはとても分かりやすい。それに、仲間を立て続けに倒されたからか、少し狼狽えている様だ。鴨でしかない。

 

銃の威力と精度が上がっている様だが・・・ずいぶんと攻撃が分かりやすくなっている。

 

どれだけ指揮官が良くとも、駒がだめになれば終いだろう。

 

 

『では、終わりにしようか。』

 

 

刀を鞘に収め、腰だめで静かに構える。

突然動きを止めた相手に先生とネルは警戒を強めた。

だが、そんな警戒も無意味だった。

 

瞬間移動と思えるほどの速度で居合を行うウォーデン。

鞘の内で輝きの増した刀身が露わになり、戦場を一筋の光が駆け抜けた。

 

射線上にある全てを切り刻み、少し遅れて通過した場所を無数の光波が追いかける。

 

一瞬で回避不可能と判断したネルは咄嗟に防御に徹した。

腕と銃で頭と胴体(最低限の急所)を庇いながら、少しでも攻撃の軸から外れるように移動する。

 

 

 

そして、衝撃と共にネルは吹き飛ばされ、ミレニアムの廊下を小さな体が転がった。

 

 

攻撃を諸に受けた右手の銃が粉々に破壊され、追い縋る光波により体中に痛々しい傷が出来る。

おまけに吹き飛ばされた先で強く頭を打ったためか、ネルは視界がぼやけてうまく立てなくなってしまった。

 

 

「・・・ぁ・・・クソッ!」

 

 

激痛と共に右手がだらりと下がり力が入らない。

おそらく脱臼しているだろう。

 

ぼやける視界の先で白い丸が少しずつ近づいてくる。

 

 

『想像以上に時間がかかったが・・・これまでだな。』

 

 

刀を収め、赤い手でネクタイを絞め直す黒スーツの化け物。

出血のためか、意識が朦朧とし始めたネルが最後に見たのは・・・

 

 

「はぁぁぁぁぁっ!」

 

『おっと・・・』

 

 

光る剣を振りかざし、化け物に挑む少女(勇者)の姿だった。

 

 

 




今回はここまでです。


裏設定ですが、ウォーデン君は多対一に強いです。
相手の数が多ければ多いほど(設定的に)強くなります。
なので、下手に弱い奴らが戦闘に参加するとただの強化リソースにされます。
どこぞの会社Lのオフィサーみたいですね。

だから基本的にウォーデン君はタイマンを嫌います。
特にヒナホシノネルツルギミカあたりとは。

まぁ、先生が大人のカードを代償無視で使えばまず勝てるんですけどね。


ウォーデン君、次回はアリスと戦ってね♡
連戦だけどいけるでしょ?


それではまた次回・・・

これからの方針

  • メイン優先
  • 閑話あり
  • 曇らせを書きなさい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。