黒いスーツの転生者   作:実力と発想が見合わない人

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限定が4つ引き終わりました・・・

石ねぇぞ栗原ぁッ!!


神秘とか

 

 

 

「せいっ!」

 

 

気合の入った声と共にミレニアムの廊下に鳴り響く金属音。

目の前で剣を振るう少女―――アリスを相手にしながら、俺は少々退屈していた。

 

剣を振る速度と力は俺と同等以上だが、それを置いて有り余るほどの技量と経験の差があるのだ

握ってから数週間しかたっていない初心者、そしてそもそもの実戦経験の少ないアリスは・・・正直な話、簡単に倒せる。

だが、アリスに渡したあの剣の力を見ておきたい。

練習では何も起きなかったが・・・実践であれば何かしらの反応を見せるだろうか?

 

アリスの振るう剣を刀で受け流し、返す刃で切りつける。

 

 

「当たりません!」

 

 

当てる気のない、適当に振るった攻撃。

当然よけられる。

 

高価なオーパーツ類を大量につぎ込んで作った剣は未だに大きな反応を見せない。

このままではただの小さめの大剣だ。

 

アリスの言っていた〈声〉・・・何かの加護だろうか?それとも―――

 

 

「光―――よっ!」

 

『何ッ⁉』

 

 

思考に耽っていたその時、俺は至近距離から放たれた眩しいほどの光波に目を焼かれた。

脳が全力で警告を放つと共に、ほとんど反射的に防御を行う。

 

 

『なんのっ!』

 

 

当たるギリギリで刀を使って上へ逸らすように打ち上げ、何とか被弾を防ぐ。

打ち上げられた光波は天井に当たり小さく爆発した。

いきなりで驚いたがすぐに思考を切り替え、警戒を強める。

 

 

『驚いた。まさかそんな手を隠していたとはな。』

 

「こ、これもだめですかっ⁉」

 

 

俺の使う淡い輝きの光波とは違い、目を焼くような爆発的な強さの光波。

お世辞にも綺麗とは言えず、綻びのある技。

威力は弱く、多少命中しても痛手にはなりにくいだろう。

 

しかし、その光は俺の使う〈それ〉とは全く性質の違う代物。磨けばもっと良くなるはずだ。

いつの間に使えるようになったんだ?

 

まぁ、何でもいい。ひとまずいいものが見れた。

だが、まだ足りないな・・・

 

 

『ふむ・・・もう少し遊んでやるとしようか。』

 

 

幸いにもC&Cはほぼ無力化している以上いつでも逃げられる状態だ。

ならば少しくらい欲張っても問題ないだろう。

 

それに、死に触れなければ見えぬ物もある。

撤退ラインは誰か増援が来た時だ。

 

 

『血の刀よ。』

 

 

持っていた刀を左手に移し、空いた右手でもう一振りの刀(屍山血河)を取り出す。

 

鞘から抜かれたその刃は全体が血に濡れており、左手の刀(名刀月隠)とは違って不気味な見た目をしていた。

 

 

「に、二刀流ですかっ!?」

 

 

単純な手数が2倍。

簡単で効果的な戦闘術だ。

 

 

『では、今度はこちらから。』

 

 

振り上げた左の刀を力を込めて叩きつける。

アリスは剣の側面で受け止めたが、がら空きになった横から右の刀で切りつける。

しかし、アリスも気が付いたらしく、こちらに向けて剣を刀ごと押し込んできた。

 

 

「やぁぁぁっ‼」

 

 

片腕ではとても抑えきれない為、やむなくバックステップで距離をとる。

それと同時に左の刀で光波を放つ。

アリスは負けじと光波を飛ばし、二つの光が空中でぶつかり合う。

 

強烈な光が迸り、周囲を青く染め上げる。

俺は目を焼くような閃光を突っ切って一気にアリスに接近し、逆手に持った刀を振り下ろす。

 

 

・・・が、アリスの間に割って入るように銃弾が飛来。

俺が回避したと同時に、一つの影がアリスの近くに転がり込んできた。

 

 

「何とか間に合った・・・のかな⁉」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

 

アスナが戻ってきたか・・・さすがに潮時だな。

今から二人を振り切って逃げ――――

 

 

「させないよッ!」

 

 

――――ようとした瞬間、アスナが手に持った何かを押した。

それと同時に起こる連鎖的な爆発。

足元が崩れ、廊下のいたるところが崩落する。

 

あらかじめ爆弾を仕掛けていたのか?

いや、元からあったものだろうか・・・そんなことはどうだっていいか。

 

今は脱出を優先して―――

 

 

「よぉ、クソ野郎。」

 

『・・・マジか。』

 

 

着地先に待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべるネル。

俺が認識するよりも早く接近し、組み付いてきた。

 

 

『しつこいな・・・』

 

「悪いな。負けっぱなしは性に合わないもんでなぁ!」

 

 

組み付くネルを引き剝がそうとするが、その体躯からは想像できないような力でこちらを掴んできやがる。おまけに右の刀はネルの銃についていた鎖が巻き付き引っ張られるように固定され、反対の刀は本人が抑えてきている。どうやっても武器が振るえない状態だ。

 

致し方ない、できれば避けたがったが武器を惜しんで大事になれば面倒だ。

俺は鎖の巻き付いた刀を手放し、空いた手でネルに向けて思いっきり突き飛ばす。

 

弱っていたのか簡単に離れたネルに向け、さらに光波を飛ばして牽制。

当たらずとも怯んでくれればそれでいい。

さっさと逃げて――――

 

 

「お姉ちゃん今!」

 

「わかってるって!」

 

『・・・は?』

 

 

俺の位置する場所の真横。

廊下の壁の向こう側から聞こえた微かな声。

背筋を凍らせるような嫌な予感がしたと同時に――

 

 

『嘘だろっ!?』

 

 

―――声の聞こえた壁を突き破りながら出現した巨大なエネルギーの塊が俺を吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「あ・・・あたった?」

 

「煙がすごくて・・・わかんない。」

 

 

尻もちをついているミドリと少し離れた場所で仰向けで大の字になっているモモイ。

この双子は強烈な反動で吹き飛ばされながらも、アリスの持つレールガンを撃ったのだ。

 

先生の作戦・・・アスナが爆弾で地面を崩し、待ち構えていたネルが足止め。

人が持つ事を想定されていないレールガン(それ)を何とか双子(モモミド)が運び、一発勝負でぶっ放す。再現性のない出鱈目な作戦。

だが、それをシッテムの箱の性能と各々の技量、そして気合(ガッツ)で何とか形にしたのだ。

 

 

「二人とも!大丈夫ですか?」

 

「リーダー!」

 

 

天井の空いた穴から飛び降りてくるアリスとアスナ。

飛び起きるモモイと駆け寄ってきたアリスの手を借りて起き上がるミドリ。

 

 

「ちょっ、あぶねぇ!」

 

 

勢いよくアスナに飛びつかれるネル。見つめる先には、壁に空いた大きな穴が一つ。

レールガンによってあけられた穴だ。

そこには、うっすらと明け始めるミレニアムの夜空が広がっていた。

 

 

「逃げられちまったか・・・クソッ!」

 

 

アスナに抱き着かれたままその場に倒れこむネル。

 

レールガンが直撃するほんの一瞬、その瞬間に見えたバリアのようなものを展開し防御に徹したウォーデンの姿。

吹き飛ばされた衝撃を利用して壁を突き破り、そのまま建物の外へと逃げられたのだ。

 

外から監視していたスナイパー(カリン)はいない為、追跡は不可能。

たとえ深手を負っていたとしても、あいつ(ウォーデン)は千切れた腕すらくっつける再生能力を持っているため意味はない。完全に逃げられた。

 

 

「残ったのはあれくらいか?」

 

 

ネルが視線を向けた先、鎖で絡められ壁に刺さった一本の刀。

彼が最後に手放し、衝撃で吹っ飛ばされた刀。

戦果と言うには少々微妙だ。

 

 

「次は・・・絶対に・・・」

 

「リーダー?・・・リーダー⁉」

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

◇ミレニアム・セミナー執務室

 

 

「・・・結局、取り逃してしまったわね。」

 

「仕方のないことです。犠牲が出なかっただけ良いじゃないですか。」

 

「・・・そうね。」

 

「せっかくAL-1S(アリス)の正体を明かすために用意した舞台でしたのに。」

 

「でも、彼を捕まえられる絶好のチャンスだったのよ。」

 

「・・・楽園の監視者、ウォーデン。ブラックマーケットの執行者。」

 

「ヘイローを破壊する術を持つ危険人物。放っておく理由はないわ。」

 

「そうですが!・・・もしあの場で誰かが犠牲になっていたらどうするのですか⁉」

 

「・・・アカネは重症だけど一命は取り留めたわ。」

 

「結果論です!カリンもヒビキも、下手したら・・・」

 

「何が何でも、彼は仕留めるべきだったのよ。だから先生とC&Cを向かわせた・・・可能であればトキも向かわせるべきだったわね。」

 

「ですから・・・!」

 

()()()()()()()()()今はこれからの事を考えるべきだわ。」

 

「待ちなさい!リオ!!」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

◇ゲマトリア拠点

 

 

『・・・ゴハッ!』

 

「おや、随分とボロボロですね?ヨハネ。」

 

『あぁ、ボス・・・お見苦しい所を・・・』

 

「珍しいですね。」

 

『少々欲張りすぎてしまったようで・・・すみません。』

 

「いいですよ、今は回復に努めてください。」

 

『・・・ありがとうございます。』

 

 

 




今回はここまでです


Q;ヨハネ君、今回のメインストーリーについて一言!

A;『NKウルトラ計画でしたっけ?既にもっといいものを知っている故になんとも・・・』


〈セルブスの精薬〉

魔術教授セルブスから渡された小瓶
青黒く濁った精薬

ネフェリという女を探し出し、飲ませるのだ



〈琥珀の星光〉

琥珀色に輝く、儚い細片
束の間に流れた星光の残滓

星光が運命を司るとすれば
琥珀色のそれは、神々の運命であるとされ
特別な精薬の材料となる

人の身で口にすることはできない


〈琥珀色の精薬〉

魔術教授セルブスから渡された小瓶
琥珀色に艶めいた、秘め事の精薬

これをラニに飲ませてくれたまえ
私たちは、最上の傀儡を手に入れ
愛でることができるのだ



それではまた次回・・・

これからの方針

  • メイン優先
  • 閑話あり
  • 曇らせを書きなさい
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