黒いスーツの転生者   作:実力と発想が見合わない人

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ごめんね。ヨーツベで曇らせ物見てたら書きたくなっちゃった。
これはヨハネ君が先生たちと完全に敵対するっていうIFのお話・・・本編には関係ないです。


IF;終焉・戦いの先

 

D.U地区

 

 

 

『はぁ・・・はぁ・・・』

 

”終わりだよ、ウォーデン。”

 

『ははっ!確かにそのようだな。』

 

 

大人のカードとシッテムの箱を持ち、先生はボロボロの黒いスーツの男に向かって言う。

先生の周りにはアビドス、トリニティ、ゲヘナ、ミレニアムをはじめとした各学校の精鋭たちが彼に銃を向けていた。

 

それに対してウォーデンと呼ばれたその男は剣を杖のようにして立っているのがやっとの状態だ。

黒いスーツはボロボロになっており、特徴的な白いのっぺりとした仮面は崩れかけている。赤い手袋は片方が無くなっており、青いネクタイは下半分が引きちぎられている

もはや何かできるほどの力は残っていないが、最後の最後まで抵抗する意思が感じられる。

 

 

『もはや戦える武器も、道具も残っておらん。再生するためのオーパーツも千切れた・・・

 

 

 

 

 

俺の負けだよ。先生。』

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

事の始まりは単純だった。

D.U地区にて生徒の遺体が見つかったと報告があったからだ。

そして調査の結果、ゲマトリアの一人・ウォーデンが犯人だと分かった。

そこから先生の呼びかけに応じて様々な学園の協力を仰ぎ、ウォーデン討伐作戦が始まった。

 

その作戦はいたってシンプルだった。罠を張り、ウォーデンを表舞台に引きずり出す。そして各学校から集まった精鋭の戦闘部隊で一気に叩くと言うものだった。

 

集まったメンバーも相当であった。

ゲヘナ風紀委員会や対策委員会、C&Cに正義実現委員会、SRTや連邦生徒会も参戦している。各校の腕利きが揃い、一人の為に全力を注ぐ。過剰ともいえる戦力だが、今回の相手がそれほど危険であることも意味していた。

情報室長だけは参加を拒否していたが、それでも十分な戦力である。

 

 

そして作戦は成功。

奇襲から始まった戦闘は先生の指揮もあり、終始先生側が有利に進んでいった。

包囲網を構築し、怪しい動きを見せたら一気に火力をぶつけて邪魔をする。

相手の動きを封じ、選択肢を奪っていく。完全な想定外などには〈大人のカード〉で対抗する。

全てが先生の指揮通りに進み、先生たちに全くの被害が無いまま、ウォーデンは戦う力を削られていった。

 

 

 

『素晴らしい・・・まさか俺一人の為にここまでするなんてな。感激だよ!』

 

”黙れ、お前は大切な生徒を殺した。”

 

「それに過去の殺人もあなたが行っている形跡もありました。もう言い逃れはできませんよ。」

 

 

通信機から行政官・・・リンの声が聞こえてくる。

どうやら彼は彼女らの情報収集能力を甘く見ていたらしい。

 

 

『それで、俺を殺すのか?俺の行い・・・その報いを受けさせるために。』

 

”・・・生徒に殺人はさせられない。”

 

『なんだ、殺さないのか?まさか改心させようとは思ってないだろうな?』

 

”・・・・・・・”

 

『それはやめた方が良い。ゲマトリアに入る奴だ・・・改心なんて望める物ではない。』

 

”私が・・・・終わらせる。”

 

『そうか・・・それは本望だ。ボスは羨ましがるだろうかな?』

 

 

剣を捨て、その場に膝をつくウォーデン。

先生は拳銃を取り出し、近づいていく。

 

 

「っ!・・・先生!」

 

”止めないでヒナ。これは私がやらないといけない事なの。”

 

 

様々な生徒が警戒心を高める。

いくら満身創痍でも何をしてくるか分からない。

いつでも撃てるように構える者、いつでも突撃できるように足に力を入れる者、先生を守れるように盾を構える者、誰もが先生を守ろうと・・・敵を排除しようとした。

 

 

”・・・最後にその仮面を取ってくれない?”

 

 

ウォーデンのすぐ前まで来た先生は、拳銃を構えながら言った。

最後にどんな奴が相手だったのかを知るために・・・今から葬る相手を、せめてその顔を覚えておくために。

 

 

『それはできんよ。これを取ればあんたは意志が揺らぐかもしれん。それに、殺せばいくらでも見れるものだろう?』

 

”・・・そっか。”

 

 

ゆっくりと狙いを定める。

動かない相手、それも至近距離だ。外すことはまずない。

 

であれば問題は狙う場所だ。

せめて最後くらいは苦しまずに、一発で終わらせる。

 

頭はダメだ。仮面に阻まれて致命傷を与えられないかもしれない。

であれば、心臓だろうか?

 

 

『・・・狙うならここにしとけ。そうすれば顔も確認しやすいだろう?』

 

”・・・・・・・”

 

『安心しろ、もう防ぐ手段は持っていない。それに今の俺の体はあんたと同じだ。銃弾一発で致命傷になる。』

 

”そっか・・・”

 

『はは・・・死、か。遠いと思ったものが今やすぐそばにある。素晴らしいな。』

 

”・・・・・”

 

『さようなら・・・・・先生。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バァン!

 

 

 

 

 

鳴り響く一発の銃声。

放たれた銃弾はウォーデンの胸を貫き、心臓を破壊する。

真正面からの銃撃で後ろに倒れ、地面に赤い液体が広がっていく。

 

 

『すべて、長い夜の夢だったよ・・・』

 

 

あおむけの状態で最後に天に向かって腕を上げたウォーデンだったが、やがてその腕も力を無くした。地面には一つの骸。

 

やっと終わったとすべての生徒が警戒を解く。

ずっと緊張状態だったためか、その場にへたり込む者もいる。

 

しかし、先生には最後にやらなければならないことがある。

彼の顔を確認することだ。

 

 

”ごめんね。”

 

 

ウォーデンの死体に近づき、着けられている仮面に手を掛ける。

一部の生徒は気になるのか、こちらを見ていたり、近づいたりしている。

 

 

そして先生は一思いに仮面を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”・・・・え?”

 

「うそ・・・」

 

「え?・・・あれって・・・」

 

「情報室長?」

 

「ヨハネさん!?」

 

 

仮面の下にあったのは、連邦生徒会の幹部の一人。

オーパーツをこよなく愛し、様々な学園の問題解決に手を貸し、先生が良く助けを求めていた人物。

 

 

 

 

 

四騎ヨハネだった。

 

 

 

”・・・え・・・な、んで・・・”

 

「ヨハネさん!ヨハネさん!」

 

「私・・・ヨハネを・・・撃って?」

 

”・・・う・・・そ・・・”

 

 

先生の後ろからやってきたリンはヨハネの死体に駆け寄った。

ヒナやホシノなどはまだ状況が呑み込めていないのか、茫然としている。

 

私は・・・先生は何をした?

 

 

”私が・・・生徒を?”

 

 

撃った。

撃ち殺した。

 

何で殺した?・・・生徒を殺したからだ。

でも、なんで生徒だと気づけなかった?

なぜその可能性を考えなかった?

相手が大人だと、どうやって確信していた?

 

 

いや、気が付く材料はあったはずだ。

あの赤い手袋、青いネクタイ。この二つはウォーデンもヨハネも持っていた。あんな特殊な効果を持つ物が二つもある訳がない。

なぜ、この二つが結びつかなかったのか・・・なぜ気づけなかったのか。

 

 

”私が・・・私が・・・「終わりましたか。」・・・・・?”

 

 

突然の声。

声の聞こえる方を向くと、そこには――――

 

 

 

「ヨハネ・・・忠実で、実に優秀な部下でした。今までお疲れ様でした。」

 

 

ゲマトリアの一人、黒服が立っていた。

いつの間にかヨハネの死体を回収したのか、その手に抱えている。

 

ヨハネを抱える黒服、顔のように見える白い亀裂はいつもの笑っている様な状態から全く持ってつまらなさそうな・・・口角が下に向いている。

 

 

”待て、黒服。”

 

「おや?これは先生。私の部下の・・・ウォーデンの討伐、おめでとうございます。」

 

”お前は知っていたのか?”

 

「えぇ、彼が連邦生徒会にいたのも。彼が死ぬと分かってあなた達の罠にわざとかかったのも。全部知ってました。」

 

”は?”

 

「律儀に最後の別れを言いに来たときは驚きました。ですが、これも彼の選んだ選択です。」

 

 

黒服はヨハネを抱えたまま去ろうとする。

しかし、周囲を生徒に囲まれている状況だ。すぐに全員が銃を構えた。

 

 

”ヨハネを離して。”

 

「なぜでしょうか?」

 

”その子は私の―――「生徒・・・とでもいうのですか?」――――ッ!”

 

「それは違いますね。あなたの生徒以前に、私の部下です。それに私は部下を殺された被害者。あなたの指図を受ける必要はありません。」

 

「ですが、私の・・・連邦生徒会の仲間でもあります!」

 

「・・・七神リンさん。では、あなたは彼について何を知っていますか?」

 

「それは―――」

 

「何も知らなかったでしょう?」

 

「ッ!そんなことは!」

 

「いえ、知りませんでした。現に、彼は最後まであなた達を欺き、真実を話しませんでした。」

 

「彼の中では、あなた達は秘密を明かすに値しないと、判断されたのではないのですか?」

 

 

黒服の言葉に、誰も答える事が出来ない。

 

 

「返す言葉もありませんか・・・では私はこれで―――」

 

「ダメ!」

 

 

周りの生徒が一斉に銃を撃つ。

ヨハネを避けて、黒服だけを狙い。退路を塞ぐように・・・

 

しかし、その銃弾はどれも届く事は無かった。

 

 

「最後まで私を守るとは・・・本当に素晴らしい。」

 

 

銃弾は空中で止まり、力を無くして地面に落ちた。

ヨハネがよく使った力の一つだ。

 

 

「それでは、さようなら。」

 

 

黒服は黒いもやの中に消えていき、そこに残されたのは絶望した表情の先生と生徒だけとなった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

その後、先生は自責と後悔の念に押しつぶされそうになりながらも「先生」を全うした。

 

連邦生徒会では、情報室長の座は、副室長が引き継いだ。

 

先生は長い時間眠ることが無くなり、仕事に没頭するようになり、無理をする事が増えた。

 

しかし、キヴォトスは今日も動いている。

 

ひとりの死・・・それも異物が無くなっただけでは揺るがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

秘密は暴かれるべきとは限らない。しかし、それは知らなければ分からない物だ。




今回はここまでです。

割と端折っているところが多いですし、深夜テンションで書いたので文面や表現がだいぶ不足してます。けど、書きたかったからしゃーないし、書いちゃったから勿体ない精神で投稿しました。

ちなみに、〈呪い〉の力で死なないはずじゃね?って思った方。これについてはもう設定が決まっているので、本編ストーリーで明かしていきます。


それではまた次回・・・

これからの方針

  • メイン優先
  • 閑話あり
  • 曇らせを書きなさい
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