◇アビドス・廃墟
「ん!ん!」
『はぁ・・・』
目の前で跳ね回るオオカミ・・・またの名を砂狼シロコ。
アビドスの廃墟を散歩してたら何故か奇襲された。もちろん体が勝手に反応して返り討ちにしたけど・・・身勝手の極意みたいだな。
そしてそのあと何故か懐かれた。訳が分からん。
「ん!ウォーデンはなんでここに来たの?」
『あ?・・・あー、俺は散歩だな。そう言うお前は何してたんだ?』
「食べ物とか、役に立ちそうなものを探してた。」
『へぇー、頑張ってるんだな。』
「ん!でも、まだ何も見つかってない・・・」グゥ~
それと同時にシロコの腹の虫がなる。
言動からして安定して食料を手に入れているとは思えない。そもそも、このアビドス砂漠で安定した食料調達何て存在するのか?答えはノーだ。こんな砂しかない様な僻地で食べられる物なんてそうそう見つかるはずがない。むしろ何も無い。逆に何を食べてきたのかが気になるくらいだ。
やべぇ奴に魂を売った俺でも、目の前で腹を空かせた少女を無視できるほど人間を捨ててはいない。そうと決まれば飯の用意だ。
俺は火を起こす。簡易的なかまどを作り、少し小さめの鍋を用意する。
黒服の所から(勝手に)持ってきた食材を刻んで放り込む。蓋をしてしばらく煮込めば、鍋なのか雑炊なのかよく分らん物の出来上がりだ。
『・・・これでいいのか?』
「ん、おいしそう。」
中身を(勝手に)持ってきた器に取り、試しに少しだけ食べてみる。
とりあえずで放り込んだ出汁が良い感じに食材にしみこんでいる・・・気がする。とりあえず食べられるだろう。
『ほら、お前も食べな。』
「・・・ありがとう。」
シロコにも器を渡し食べさせる。よほどお腹が空いていたのかモグモグと一心不乱に食べ始める。
あっと言う間に鍋の中身は無くなり、シロコは満足そうにしていた。
そして満腹になった為か、ウトウトと船をこぎ始める。
『寝な。これ貸してやるから。』
「ん・・・」
予備の上着をシロコに被せる。しばらくすると小さな寝息が聞こえ始めた。
そして俺が使った器具を片付けていると、黒服から連絡が来た。
「ヨハネ、今どこでしょうか?」
『アビドスの廃墟だな。正確な位置はわからん。』
「そうですか。今から戻ってこられますか?仕事です。」
『・・・わかった。すぐに行く。』
通信を切り、未だ眠っているシロコを見る。
連れていくことも可能かもしれないが、未来の事を考えるとここに置いていくのが良いのだろう。
そうすればその内アビドス・・・ホシノやノノミと出会う事が出来るはずだ。
『元気でな。がんばれよ。』
なんか山で出会った野生の猫とお別れするような感覚だな。
・・・上着は渡したままでいいだろう。その内捨てるか無くすかするだろうからな。
俺はシロコを起こさないように、ゆっくりとその場を後にした。
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◇???
『戻りました。ボス。』
「・・・ボス?」
『いや、黒服よりもこっちの方が良いかなって思って・・・俺は部下なわけだし。』
「私はこだわりはないので、好きにして下さい。」
『オーケーボス。それで、仕事ってのは?』
「ゲマトリアの一人・・・ベアトリーチェを覚えてますか?」
『あー・・・あの赤い婦人か?』
「そうです。彼女があなたを戦力として貸してほしいと言ってきたのです。」
『俺は構わないが・・・理由は分かるか?』
「彼女は今、アリウスと言う場所を統治しようとしています。ですが、そこは現在は内戦状態です。」
『なるほどね。さっさと内戦を終わらせる為に少しでも戦力が欲しいと。』
「おそらくは。」
『わかった、場所を教えてくれ。すぐに行く。』
「いいですが・・・えらく乗り気ですね。」
『内戦中の場所なら戦い方を覚えるのには手っ取り早いだろ?』
「なるほど、そういう理由で・・・こちらが座標です。」
『おけ、じゃあ、ちょっくら行ってくるわ。』
アリウスならサオリやアツコがいるだろう。シロコがまだアビドスに所属していないならおそらく本編の1・2年前の可能性が高い。色々とするには面白そうな時期だ。
俺は内心ワクワクしながら渡された地図に記された場所へと向かった。
今回はここまでです。
この半年後?くらいにはシロコはホシノとノノミに合流する感じです。
ちなみに時間軸はホシノが1年生でユメと喧嘩別れしたくらいですかね?
次回、アリウス
それではまた次回・・・